サイバーセキュリティ保険の補償内容|賠償・費用・利益・資金
サイバーセキュリティ保険の補償内容は、大きく「賠償損害」「費用損害」の基本2区分と、オプション特約の「利益損害」「資金損害」で構成されます。それぞれ何が補償の対象となるのかを、中小企業の実務目線で解説します。
補償の全体像:基本の2区分+オプション特約
あいおいニッセイ同和損保のサイバーセキュリティ保険は、情報漏えいやシステム障害などのサイバー事故で生じる損害を、複数の区分でカバーする商品です。まず押さえていただきたいのは、補償が「基本」と「オプション特約」に分かれている点です。
基本となるのは賠償損害と費用損害の2区分です。事故で他人に与えた損害の賠償と、自社が事故対応のために支出する費用を広くカバーします。これに加えて、利益損害(事業が止まったことによる利益の減少など)と資金損害(不正送金やビジネスメール詐欺など)は、オプション特約としてセットできる仕組みになっています。
・基本補償は「賠償損害」+「費用損害」の2区分。他人への賠償と自社の対応費用を広くカバーします。
・「利益損害」「資金損害」はオプション特約のセットが必要な補償です。
・どの特約をどのプランにセットできるか等の詳細は、パンフレットおよび「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」でご確認ください。
下の表で、4つの区分と「補償される損害の例」、そして基本かオプションかの別を一覧にしました。実際にどの補償が対象となるか、支払われる保険金の範囲は、ご契約のプランおよび普通保険約款・特約集の内容によります。
| 補償の区分 | 補償される損害の例 | 基本/オプション |
|---|---|---|
| 賠償損害 | 情報漏えい等により他人へ与えた損害についての、法律上の損害賠償金・争訟費用など | 基本 |
| 費用損害 | 事故原因調査費用、コンピュータシステム・データ復旧費用、見舞金、謝罪広告費用、コールセンター設置費用など | 基本 |
| 利益損害 | 事故でシステムが止まったことによる喪失利益、営業を継続するための追加費用など | オプション特約 |
| 資金損害 | 不正送金やビジネスメール詐欺(BEC)などにより盗取または詐取された預貯金に関する損害 | オプション特約 |
それぞれの区分について、次の見出しから順に掘り下げていきます。サイバーセキュリティ保険がなぜ必要かという背景を先に知りたい方は、サイバーセキュリティ保険の必要性のページもあわせてご覧ください。
賠償損害の補償
「賠償損害の補償」とは、サイバー事故によって「他人」に損害を与えてしまった場合の、法律上の損害賠償責任をカバーする基本補償です。情報漏えいなどをきっかけに、取引先や顧客から損害賠償を請求されるケースを想定しています。
たとえば、自社が預かっていた顧客の個人情報や、取引先から受け取った機密データが、不正アクセスやランサムウェア感染によって漏えいしたとします。被害を受けた相手方から損害賠償を求められた場合、この賠償損害の補償が対象となり得ます。補償の対象となるのは、支払うべき法律上の損害賠償金のほか、相手方との交渉や訴訟にかかる争訟費用(弁護士費用など)です。
サイバー攻撃の被害は自社だけにとどまりません。サイバー攻撃被害を受けた中小企業の約7割で、取引先など他社にも影響が及んだという調査結果もあります(出典:IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」2025年5月・経済産業省 2025年2月19日発表)。委託元や取引先を経由して被害が連鎖する「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」は、IPAの組織向け脅威ランキングでも8年連続で2位に挙げられており(出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」2026年1月)、自社の事故が取引先への賠償問題に発展するリスクは決して小さくありません。
なお、実際にお支払いの対象となるかどうか、また支払われる保険金の範囲は、ご契約のプランおよび普通保険約款・特約集の内容によります。具体的な想定ケースは事故事例のページでご紹介していますので、あわせてご確認ください。
費用損害の補償
「費用損害の補償」とは、サイバー事故が起きたときに「自社が対応のために支出する費用」をカバーする基本補償です。賠償損害が“他人への賠償”をカバーするのに対し、費用損害は“自社の後始末にかかるコスト”を広く対象とします。
補償の対象となり得る費用には、主に次のようなものがあります。
- 事故原因調査費用:不正アクセスの経路や漏えいの範囲を突き止めるためのデジタルフォレンジック調査などの費用
- コンピュータシステム・データ復旧費用:暗号化・破壊されたシステムやデータを元の状態に戻すための費用
- 見舞金:情報漏えいの被害を受けた方へお渡しするお見舞いの費用
- 謝罪広告費用:新聞広告やお知らせの掲載など、謝罪・告知にかかる費用
- コールセンター設置費用:問合わせが殺到した際に臨時のコールセンターを設置・運営する費用
これらの費用は、いざ事故が起きると想像以上に高額になります。JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)の調査では、初動対応とフォレンジック調査はPC・サーバー数台程度の調査でも概ね300〜400万円、コールセンターの委託は1か月あたり概ね120〜200万円(3か月対応の場合600〜1,000万円程度)が目安とされています(出典:JNSA「インシデント損害額調査レポート 第2版」2021年)。また、実際にランサムウェア被害を受けた従業員20〜999名の製造業の事例では、事故原因・被害範囲調査費用800万円、詫び状送付・見舞品等購入費用4,500万円、コールセンター費用600万円、システム復旧費用4,000万円など、費用の合計は1億2,400万円に達しました(出典:JNSA「インシデント損害額調査レポート 別紙『被害組織調査』第2版」2025年7月)。実際の費用は事故の規模や内容によって大きく変わりますが、複数の対応が同時に必要になれば、合計は数千万円規模に達し得ることがわかります。
費用損害の補償は、こうした「事故対応の実費」を幅広くカバーする点に大きな意味があります。ただし、対象となる費用の範囲や上限は、ご契約のプランおよび普通保険約款・特約集の内容によりますので、詳細はパンフレットおよび「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」でご確認ください。
オプション特約:利益損害・資金損害
基本の2区分に加えて、事業への影響をさらに手厚くカバーするのがオプション特約です。ここでは「利益損害」と「資金損害」の2つをご紹介します。いずれも、業種や事業内容によって必要性が大きく変わる補償です。
利益損害補償特約
利益損害補償特約は、サイバー事故によって事業が中断したことで生じる喪失利益や、事業を継続するための営業継続費用などをカバーする特約です。たとえばランサムウェアに感染して基幹システムが停止し、受注や出荷が数日間止まってしまうと、その間の売上・利益が失われます。こうした「攻撃を受けていなければ得られたはずの利益」の減少を補うことを想定しています。
実際、ランサムウェア被害では復旧に時間を要するケースが多く、1か月未満で復旧できた組織は5割強にとどまります(出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」2026年3月)。業務停止が長引くほど、失われる利益や余計にかかる費用は膨らんでいきます。
資金損害補償特約
資金損害補償特約は、不正送金やビジネスメール詐欺(BEC)などにより盗取または詐取された預貯金に関する損害をカバーする特約です。ビジネスメール詐欺とは、取引先や自社経営者になりすましたメールで、担当者をだまして偽の口座へ送金させる手口を指します。近年、中小企業でも被害が報告されている類型です。
※これらオプション特約のセットには制限があります。ご契約のプランにセットできるかなどの詳細については、パンフレットでご確認ください。自社の事業内容にどの補償が必要かを整理したうえで、資料請求・お見積もりでご相談いただくのがおすすめです。
補償の対象とならない主な場合
サイバーセキュリティ保険は幅広い損害をカバーしますが、あらゆる損害が無条件に補償されるわけではありません。ここでは、あいおいニッセイ同和損保の「サイバーセキュリティ保険」で補償の対象とならない主な場合の考え方をご説明します。具体的にどこまでが対象・対象外となるかは、必ずパンフレットおよび「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」でご確認ください。
まず、サイバーセキュリティ保険を語るうえで誤解されやすいのが、ランサムウェアの身代金(ランサム)の支払いそのものです。攻撃者へ支払う身代金それ自体は補償の対象外です。実務上も、国内の調査では身代金を支払ったと回答した組織は存在しなかったと報告されており、支払いに応じることは推奨されていません(出典:JNSA「インシデント損害額調査レポート 別紙『被害組織調査』第2版」2025年7月)。サイバーセキュリティ保険が対象とするのは、あくまで調査・復旧などの正当な対応費用や賠償・利益の損害であり、犯罪者への支払いを肩代わりするものではありません。
このほか、サイバーセキュリティ保険には、契約者・被保険者の故意による損害などについて、補償の対象外とする「免責事由」が定められています。
ただし、何がどこまで対象外となるかは商品・特約ごとに細かく定められており、本ページで断定的に列挙できるものではありません。ご検討にあたっては、必ずパンフレットおよび「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」で対象外となる主な場合をご確認ください。ご不明な点は、よくある質問のページもご参照のうえ、取扱代理店または引受保険会社までお問合わせください。
事故対応をサポートするサービス
サイバーセキュリティ保険は、保険金による経済的な備えだけでなく、事故発生時の「対応」を支えるサービスもあわせて提供しています。中小企業では社内にセキュリティの専門家がいないことも多く、いざというときに何から手をつければよいかわからない、という不安に応えるものです。
- 専門業者紹介サービス:セキュリティベンダ、データ復旧・デジタルフォレンジック業者、コールセンター、ネット炎上対策、PR業者など、事故対応に必要な専門業者を紹介するサービスです。
- サイバーセキュリティ緊急サポート:事故が疑われるときの初期アドバイスや、リモートによる支援などを行うサポートです。
- 簡易リスク診断:Verizon社と共同開発した、25問・0〜1,000点で評価する自己診断です。自社のサイバーリスクの現状を把握する手がかりになります。
これらのサービスは、専門知識がなくても事故に対応できる体制づくりに役立ちます。実際に加入して補償やサービスを利用するまでの流れは、加入方法のページでご案内しています。サービスの内容・利用条件の詳細は、パンフレットおよび「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」でご確認ください。
自社に必要な補償と保険料は、無料お見積もりでご確認ください
業種・事業内容によって必要な補償は異なります。資料請求・お見積もりで、貴社に合ったプランをご確認ください。
お電話でのお問合わせ:050-1725-4773(受付時間 平日9:00〜19:00)