For Construction
建設業の労災上乗せ保険——リスク対策と、経審・元請要件への対応
建設業にとって労災上乗せ保険(任意労災)は、事故への備えであると同時に、経審の加点や元請の現場入場要件という「仕事を取るための条件」でもあります。建設業に固有の論点をまとめました。
死亡災害は、いまも建設業が最多です
Fatalities
214人
建設業の労災死亡者数(令和7年)。全業種の死亡者700人の30.6%を占め、業種別で最多です。墜落・転落が典型的な原因です。
出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
Casualties
13,437人
建設業の死傷者数(休業4日以上、令和7年)。重篤な災害の比率が高く、1件あたりの賠償額が大きくなりやすいのが建設業の特徴です。
出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
Verdict Level
1億円超も
死亡・重度後遺障害の労災訴訟では、政府労災の給付を差し引いてもなお高額の賠償が命じられた事案が公表されています。使用者賠償の限度額設計が重要です。
参考:判例の紹介
経審の加点——法定外労働災害補償制度への加入は評価対象
公共工事の入札に参加するための経営事項審査(経審)では、社会性等の審査項目(W点)のうち「労働福祉の状況」で、法定外労働災害補償制度への加入が加点評価の対象になっています。審査基準の要件(下請負人を含む対象範囲や補償内容など)を満たす業務災害補償保険への加入は、この評価に対応する代表的な方法です。
- 要件を満たす設計が前提:どんな上乗せ保険でも加点されるわけではありません。対象者(直接雇用だけでなく下請負人を含むこと等)や補償内容の要件を満たす必要があります
- 公共工事に参入したい会社の第一歩:経審対策として新規加入するケースでは、要件充足と保険料のバランスから設計を逆算します。経審目的であることを最初にお伝えください
- 証明書類:審査には引受保険会社等が発行する証明書類を用います。取得の段取りもあわせてご案内します
※ 経審の審査基準・評点の詳細は国土交通省の告示等によります。制度は改正されることがあるため、申請時点の基準をご確認ください。
元請の現場入場要件——「任意労災の加入」を求められたら
- 確認が広がっている背景:元請には現場全体の安全管理責任があり、下請の労災は元請の管理問題にも波及します。このため協力会社の登録時やグリーンサイト等の書類で、政府労災に加えて任意労災(上乗せ保険)の加入状況を確認する運用が広がっています
- 求められる水準は元請により異なる:死亡・後遺障害の補償額の下限などを指定される場合があります。指定条件が分かる書類をお送りいただければ、条件を満たす最小構成からお見積もりします
- 下請を使う側の設計:自社が元請の立場なら、下請負人まで対象に含める設計により、現場単位のリスクをまとめてカバーする方法があります
一人親方・事業主の備え——特別加入との関係
- 政府労災の特別加入:一人親方や中小事業主は労働者ではないため政府労災の当然の対象にならず、特別加入制度で任意にカバーするのが基本です。まずここが土台になります
- 上乗せ保険での備え:特別加入も給付水準は法定の範囲です。休業時の収入減や障害への備えを厚くしたい場合、商品により事業主・役員を対象に含める設計や、傷害保険を組み合わせる方法があります
- 下請に一人親方がいる場合:雇用関係がなくても、現場の事故で発注者側の責任が問われる可能性はあります。下請負人を含む設計や賠償責任の補償で、現場単位の備えを検討します
建設業のお客さまからのよくある質問
一人親方は労災上乗せ保険の対象になりますか?
一人親方は労働者ではないため、政府労災は特別加入制度でカバーするのが基本です。上乗せ保険では、商品によって下請負人(一人親方を含む)を補償の対象に含める設計ができます。元請として現場全体をカバーしたいのか、一人親方ご自身の備えなのかで最適な形が変わりますので、立場をお聞かせください。
経審の加点には、どんな保険に入ればよいですか?
経営事項審査では、審査基準の定める要件(対象者の範囲や補償内容など)を満たす法定外労働災害補償制度への加入が評価されます。一般的な業務災害補償保険で要件を満たす設計が可能ですが、下請負人を含むことなどの条件があるため、経審目的であることをお見積もり時に必ずお伝えください。要件に合致する設計でご提案します。
元請から「任意労災に入っているか」を確認されました。何を用意すればよいですか?
現場入場やグリーンサイト等の書類で、政府労災とは別に任意労災(上乗せ保険)の加入状況を確認される例が増えています。加入後は引受保険会社が発行する証明書類・証券の写しで対応するのが一般的です。急ぎの場合はその旨をお知らせください。必要な補償内容から逆算してご提案します。
本ページは建設業における労災上乗せ保険(業務災害補償保険)の一般的な論点を説明したものであり、特定の保険商品の内容を記載したものではありません。経営事項審査の評価基準・特別加入制度の内容は改正されることがあります。補償の内容・引受の可否は引受保険会社・商品・契約条件により異なります。当サイトの解説は、労災上乗せ保険(業務災害補償保険)の一般的な仕組みに関する情報提供です。引受保険会社・商品の詳細は、お見積もり・ご提案の際にご案内します。取扱代理店:那由他保険テクノロジーズ株式会社