全東信破産で飲食店が確認すべきカード決済停止・未入金・保険

全東信破産の飲食店への影響は、全東信経由のカード決済が2026年7月6日付で止まり、最後の入金日以降のカード売上が未入金になったことでした。その後、破産管財人とカード会社の案内により、所定の確認を経た未精算売上金は2026年10月15日にカード会社6社(破産管財人が管理する支払システム経由)とクレディセゾン(直接)から加盟店の登録口座へ支払われ、支払われた部分については破産債権の届出が不要になりました。影響の有無は、JCBなどのカードを扱っているかではなく、店舗の決済端末・加盟店契約・入金明細で全東信経由かどうかで決まります。この記事では、飲食店の経営者や経理担当者に向けて、支払いまでの時系列、支払対象と対象外の見分け方、振込明細書と自店の未入金台帳の突合、貸し倒れと消費税の扱い、資金繰りの手段、店舗保険で棚卸しする範囲を順に整理します。

Summaryこの記事のポイント

  • 全東信を通じた未精算売上金のうち、2026年7月1日〜31日の売上と6月以前の未精算分で各カード会社の確認手続を経た金額は、所定手数料を控除のうえ2026年10月15日に加盟店の登録口座へ支払われました。支払われた部分の破産債権届出は不要です。
  • 全東信破産の影響は、JCBなどのカードブランドではなく、全東信経由の決済端末や決済代行サービスを使っていたかで決まります。
  • 支払いを受けた店舗は、破産管財人またはクレディセゾンから届く振込明細書と、最後の入金日以降に自店で集計した日別・店舗別の未入金台帳を突き合わせ、差額と対象外の取引を確認します。
  • 支払対象に含まれなかった売上は、破産手続開始の申立てや開始決定だけで直ちに貸倒損失や消費税の貸倒税額控除にできるとは限らないため、決算前に税理士と確認します。
  • 一般的な店舗保険は物損や第三者への賠償を主に想定しており、決済代行会社の破綻による未入金がそのまま補償対象になるとは限りません。当面の資金は、公的支援、経営セーフティ共済、法人保険の契約者貸付について、貸付可能額・利率・着金予定日を各窓口へ確認して手当てします。

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全東信の未精算売上金はどうなったか(2026年10月15日にカード会社が支払い)

結論から書くと、全東信の破産で未精算となっていたカード売上金のうち、カード会社各社の所定の確認手続を経た金額は、2026年10月15日に加盟店へ支払われました。破産管財人の案内によると、支払カード会社はユーシーカード、ジェーシービー、三菱UFJニコス、三井住友トラストクラブ(ダイナースクラブカード)、三井住友カード、イオンフィナンシャルサービスの6社で、6社が資金を準備し、破産管財人が管理する全東信の支払システムから加盟店の登録済み受取口座へ送金する方法が取られました。クレディセゾンの取扱いカード分はこの6社の枠組みには含まれず、同日に同社から加盟店へ直接支払われています。

表1:全東信破産から未精算売上金の支払いまでの時系列(一次資料ベース、2026年11月2日時点)
日付出来事(出典)
2026年7月6日大阪地方裁判所が全東信の破産手続開始を決定。JCBが加盟店向けに、全東信によるサービスの即日中止を案内。食団連が第1報で端末停止・未入金集計・代替決済の手配を呼びかけ
7月7日食団連が第2報で支援策(公庫のセーフティネット貸付、セーフティネット保証1号、経営セーフティ共済の一時貸付金、貸倒処理は税理士確認、管財人室への債権届出)を案内
7月10日経済産業省が、日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫・商工組合中央金庫・信用保証協会への特別相談窓口の設置、セーフティネット貸付の要件緩和、セーフティネット保証1号の適用手続開始と事前相談、既往債務の返済条件緩和の要請を公表(7月24日付で、7月31日に告示・指定する旨の注記を付けて更新)
7月14日全国信用保証協会連合会が、全国の信用保証協会に特別相談窓口を設置し、セーフティネット保証1号の事前相談を開始していると案内
7月31日経済産業省が告示し、全東信をセーフティネット保証1号に指定
9月25日破産管財人が「クレジット売上金の未精算分に関する今後の取扱いについて」を公表。カード会社6社の協力で未精算売上金を支払う見込み(当初10月30日頃予定)。JCBとクレディセゾンが同日付で加盟店向けに案内
10月9日破産管財人が支払日を10月15日と決定し公表。クレディセゾンも同日支払いを案内。JCBが9月25日付お知らせを更新
10月15日カード会社6社分を全東信の支払システムから、クレディセゾン分を同社から直接、加盟店の登録口座へ送金
10月15日以降破産管財人から振込明細書を郵送(時期の記載なし)。クレディセゾン分の振込明細書は10月末発送予定。口座不備等で送金できなかった分は確認のうえ順次送金

支払対象は、2026年7月6日の破産手続開始の前後を問わず、7月1日から7月31日までに発生した売上金と、6月以前に発生した未精算売上金のうち、各社所定の確認手続を経た金額です。支払額は、所定の手数料を控除し、取消や返品などの売上調整を反映した金額になります。確認が必要な取引は10月15日の支払いに含まれず、別途対応されるとされています。破産管財人は、支払いがあった部分について破産債権の届出その他破産手続への参加は不要になり、今後は加盟店へ個別の案内をしないとしています。報道では影響を受けた加盟店は約2万店、未払いの売上金は約54億円とされました。

つまり、7月時点で「破産債権として割合的な配当しか見込めない」とされていた未精算売上金の大半は、カード会社の負担で加盟店へ戻る形になりました。ただし、自店の売上のうちどこまでが支払対象に含まれたか、手数料や売上調整でいくら差し引かれたか、確認が必要として残った取引がないかは、店舗ごとに振込明細書で確かめる必要があります。この記事の以下の節は、支払いを受けた店舗と、対象外や確認中の売上が残る店舗の両方を想定して書いています。

全東信破産で飲食店に出た影響

株式会社全東信は、2026年7月6日付で大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。JCBは加盟店向けの告知で、全東信によるサービスが同日付で即日中止となった旨を案内しています。発生した事実は、このJCBの一次案内、破産管財人の案内、加盟店に届いた通知を軸に整理すると、伝聞や憶測に振り回されずに済みます。全東信の端末や決済代行サービスを経由してカード決済を受けていた飲食店では、その日を境に、カード決済の受付が止まり、最後の入金日以降の売上代金が入金されない状態になりました。

東京商工リサーチによると、全東信の負債総額は2025年3月期決算時点で約1,259億円で、加盟店は報道で2018年時点約20万店規模とされています。影響範囲が広いだけに、「うちはJCBが使える店だから大丈夫」とカードブランド名だけで判断するのは危険でした。確認するのは、カードブランドではなく、店舗の決済端末・加盟店契約・入金明細の裏側で、どの決済代行会社が入っていたかです。JCBやダイナースクラブのカードを扱えることと、全東信を経由していないことは、同じ意味ではありません。

JCB加盟店への影響と「使えないカード」の確かめ方

全東信の破産では、「JCBのカードが使えなくなったのか」という疑問が多く寄せられました。JCBが加盟店向けの告知で案内しているのは、全東信によるサービスが2026年7月6日付で即日中止となったことです。止まったのは全東信が提供していた決済代行サービスであり、店舗が影響を受けるかどうかは、お客様が出すカードのブランドではなく、店舗がどの経路でカード決済を受け付けていたかで決まります。

そのため、JCBやダイナースクラブのカードを扱っていること自体は、全東信経由であることを意味しません。反対に、全東信の端末や決済代行サービスを経由していた店舗では、同日以降のカード決済の受付と売上代金の入金に影響が出ました。報道では加盟店は2018年時点で約20万店規模とされており、影響範囲は広かったと考えられます。

自店が該当するかは、次の順に確かめます。1つ目は店頭の決済端末で、全東信から提供された端末かどうかです。2つ目は加盟店契約書で、契約の相手方や決済代行会社の名称を見ます。3つ目は入金明細で、カード売上の振込元を確認します。4つ目は全東信やJCBから届いた通知です。加盟店リストのような外部情報を探すよりも、手元の契約書と入金明細で確かめるほうが確実です。

全東信経由と分かった店舗は、端末の使用を止めて店内で共有し、代替決済を手配しました。食団連も、全東信端末の即時停止、未入金売上代金の集計、代替決済手段の手配を呼びかけています。多店舗を運営している場合は、店舗ごとに端末と契約が異なることがあるため、店舗別に同じ確認を行い、未入金額の記録へ進みます。全東信の端末の返却を希望する場合は、JCBが加盟店デスクへの連絡を案内しています(端末の設置会社がJCB以外の場合は設置会社へ)。

支払いを受けた店舗・受けていない店舗が次に確認すること

一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)は7月の第1報で、全東信のサービスを利用する飲食店に向けて、全東信端末の即時停止、未入金売上代金の集計、代替決済手段の手配を呼びかけました。特に、「最後に入金があった日」と「それ以降にカード決済した金額」を確認・記録するよう案内しています。この金額は当初、損失額および破産手続における債権届出額の基礎と位置づけられていましたが、10月15日の支払い後は、振込明細書と突き合わせて支払対象の漏れや差額を確かめるための基礎資料になります。

次の表は、店舗側で確認しておきたい項目を、支払い後の使い方を含めて整理したものです。

表2:全東信経由の店舗が確認する項目と、支払い後の使い方
確認項目やること
端末・決済経路全東信経由の端末や決済チャネルを特定し、誤って使い続けないよう店内で共有する。返却の要否は設置会社に確認する
最後の入金日入金明細で最後に入金があった日付を確認し、記録する
未入金額最後の入金日以降にカード決済した金額を、日別・店舗別、可能ならカードブランド別に集計する
売上の根拠資料POSデータ、売上票、決済控え、入金明細を保存する
振込明細書との突合10月15日の入金額と、破産管財人またはクレディセゾンから届く振込明細書を、自店の未入金台帳と照合する。差額は手数料・取消・返品の調整か、確認が必要として別途対応になった取引かを切り分ける
対象外・未着の確認支払対象の範囲(7月1日〜31日分と6月以前の未精算分)に入っていない売上、口座不備で送金されなかった分がないかを確認し、破産管財人室またはカード会社の窓口に問い合わせる
代替決済他社決済、QR決済、現金対応など、当面の会計手段を確保し、本契約へ移行する
社内連絡店長、経理、本部、顧問税理士、顧問弁護士に同じ数字を共有する

この段階で大事なのは、保険請求の可否を急いで決めることではありません。まず、支払われた金額と自店の集計の差がいくらで、どの取引が残っているのかを金額と根拠資料で説明できる状態へ近づけることです。この材料は、カード会社や管財人室への問い合わせでも、資金繰りの手当てでも、保険契約の確認でも同じように使えます。状況が整理できていない段階でも、まずはお気軽にご相談ください。どの数字をどの資料から拾うかは、ご相談後に那由他が一緒に整理します。

カード決済は、入金されるまで現金ではない

経済産業省の公表によると、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%、金額では162.7兆円でした。その内訳ではクレジットカードが82.7%、134.6兆円を占めています。売上の受け取りがカード決済という一つの経路に集中しているほど、その経路が止まったときに手元へ入ってこない金額は大きくなります。飲食店にとってカード決済は、売上を受け取るための主要なインフラになっています。

ただし、カード決済が成立した時点と、店舗の銀行口座に入金される時点は同じではありません。お客様のカードで決済が通っても、その代金はカード会社や決済代行会社を経由し、一定の入金サイクルを経て店舗に入ります。この間に決済代行会社の破綻やサービス停止が起きると、帳簿上は売上が立っているのに、手元資金が増えない状態になります。全東信の件では、7月の破産手続開始から10月15日の支払いまで約3か月、売上が手元に入らない期間が続きました。

飲食店の資金繰りは、仕入、人件費、家賃、光熱費の支払いが先に来やすい構造です。カード売上を数日後・数週間後の入金として当て込んでいる店舗ほど、未入金の影響は大きくなります。今回の問題は、単なる決済端末のトラブルではなく、「入金までの売上は取引先の信用リスクに乗っている」という点を、目に見える形にしました。最終的にカード会社が支払う形になったとしても、3か月間の資金の穴を店舗側で埋めなければならなかったことは変わりません。

全東信の未入金と貸し倒れの扱い(貸倒損失・消費税)

10月15日に支払いを受けた売上については、帳簿上の売掛金(未収入金)が回収されたことになり、貸倒れの論点は生じません。手数料や売上調整で差し引かれた部分の処理は、振込明細書の内訳に沿って顧問税理士と確認します。以下は、支払対象に含まれなかった売上や、確認が必要として残った売上がある店舗に向けた整理です。

決済代行会社の破産で厄介なのは、カード売上が入金されないだけではありません。帳簿上は売上や売掛金として残っているのに、資金は入ってこないまま決算や納税時期を迎えることがあります。特に、毎日または毎週のカード入金に大きく依存している飲食店では、数週間分の入金遅れでも、仕入、人件費、家賃、消費税納付の資金繰りに響きます。

法人税の貸倒損失は、破産手続開始の申立てや開始決定があっただけで当然に全額損金になるものではありません。国税庁は、貸倒損失として処理できる場面として、会社更生法・会社法・民事再生法などにより金銭債権が切り捨てられた場合、債務者の資産状況や支払能力から全額回収不能が明らかになった場合、一定期間取引停止後に弁済がない場合などを示しています。つまり、破産管財人による財産調査や配当見込みの確認が進む前の段階では、「回収できなさそうだから今期で全額落とす」とは判断しにくくなります。今回のように、後から第三者の負担で支払われる可能性もあるため、早い段階での損金処理には慎重さが要ります。

一方で、破産手続開始の申立てなど一定の事由があるとき、個別評価金銭債権として貸倒引当金を検討できることがあります。法人税法施行令上、破産手続開始の申立てなどが生じている債務者への金銭債権について、取立て見込みがある部分などを除いた額の50%相当額を繰入限度額とする取扱いがあります。ただし、貸倒引当金の損金算入制度はすべての法人が自由に使えるものではなく、中小企業者等、銀行・保険会社を含む一定の金融業を営む法人等など、適用対象に制限があります。決算が近い店舗は、顧問税理士に早めに確認します。

消費税も別に考えます。売掛金などが貸倒れとなったときには、その金額に対応する消費税額を、貸倒れが発生した課税期間の売上げに対する消費税額から控除する制度があります。ただし、控除を受けるには、債権の切捨てや貸倒れの事実を明らかにする書類の保存が要ります。破産手続が進み、配当がないことや債権の切捨てが客観的に確認できる前の段階では、売掛金の入金がない一方で、通常の申告・納税資金を別に確保する局面もあります。

この税務上のタイムラグが、公的支援や経営セーフティ共済、法人保険の契約者貸付を確認する理由になります。未入金をすぐに損金や消費税控除で吸収できないなら、納税と運転資金をつなぐ別の手段が要ります。入金停止、貸倒処理、消費税納付、資金繰りを別々に見るのではなく、同じ資金繰り表の中で並べて確認します。

決済代行会社を1社に寄せない備え

今回のような破綻は、店舗側の努力だけで防ぎきれるものではありません。だからこそ、決済の入口を1社・1端末・1回線に寄せない設計が、営業を止めない備えになります。今は月額費用が重くない決済サービスや、比較的安価に端末を用意できる選択肢もあります。具体的な料金や条件は変動するため個別比較は避けますが、バックアップ決済を持つこと自体は、以前より現実的な選択肢になっています。

次の表は、決済まわりを冗長化するときに見る観点を整理したものです。

表3:決済まわりの集中要素と、1系統だけの場合の止まり方・備えの例
集中している要素1系統だけの場合の止まり方備えの例
決済代行会社破綻やサービス停止でカード売上の受付・入金が止まる別系統の決済契約を一つ確保する
決済端末端末停止で店頭会計が滞る予備端末やスマートフォン決済を用意する
通信回線回線障害で決済処理ができないモバイル回線や別回線で最低限の会計を残す
入金サイクル一つの入金予定日に資金繰りが集中する入金元と入金日を分散し、滞留売上の上限を把握する
現場オペレーション店長やスタッフが切替手順を知らず、会計が止まる非常時の会計手順を短いメモで店舗に置く

冗長化は、すべての店舗で同じ水準にするものではありません。カード売上比率が高い店舗、多店舗展開している本部、現金管理を絞っている店舗ほど優先度は上がります。月商に対して未入金の滞留額がどこまで膨らむのかを把握し、その金額が止まったときに何日耐えられるかを見ると、決済をどこまで分散すべきか判断しやすくなります。全東信の件では、支払いまで約3か月かかりました。この期間を自店の月商とカード売上比率に当てはめると、耐えられる滞留額の上限が見えてきます。

ただし、決済代行会社を複数にする備えは、次に同じようなことが起きたときの再発防止です。今回すでに入金が止まった店舗では、未入金が回収されるまで、または代替決済の入金サイクルが安定するまで、仕入、人件費、家賃、光熱費をどうつなぐかという別の問題がありました。決済の入口を分けることと、資金繰りの予備線を持つことは、分けて考えます。

資金繰りを止めないための公的支援・共済・保険

カード売上の未入金は、飲食店にとって売上の減少ではなく、入金予定だった現金が手元に来ない問題です。仕入先への支払い、スタッフの給与、家賃、リース料、光熱費は待ってくれません。だからこそ、決済端末や決済代行会社を複線化するだけでなく、入金が止まった数週間から数か月を越えるための資金繰りの予備線を、平時から確認しておきます。

全東信の件では公的支援が用意されました。経済産業省は2026年7月10日に、全国の日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫・商工組合中央金庫・信用保証協会への特別相談窓口の設置、日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付の要件緩和、セーフティネット保証1号(信用保証協会が一般保証と別枠の限度額で融資額の100%を保証)の適用手続の開始と事前相談、既往債務の返済条件緩和等の要請を公表し、7月31日に告示して指定しました(経済産業省「全東信の破産手続開始により影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援を実施します」2026年7月10日。同省は7月24日付で、7月31日に告示・指定した旨の注記を付けた同題の発表を掲載しています)。セーフティネット保証1号の対象は、全東信に対し売掛金債権等を有していることにより資金繰りに支障が生じている中小企業・小規模事業者です。全国信用保証協会連合会も7月14日に、全国の信用保証協会に特別相談窓口を設置し事前相談を始めたと案内しています。支払いを受けた後も、3か月分の資金の穴を借入でつないだ店舗では、返済計画と既往債務の条件変更の相談先として、これらの窓口は引き続き使えます。

ここで取引信用保険を思い浮かべる方もいるかもしれません。ただ、BtoB取引を継続的に行い、多数の売掛先を持つ企業と異なり、一般的な飲食店がカード決済代行会社に対する未入金債権を取引信用保険で個別に手当てする設計は、実務上の主役になりにくいと考えられます。むしろ現実的には、すでに加入している経営セーフティ共済や、法人で契約している生命保険の契約者貸付など、既存の制度・契約の中にある資金化手段を先に確認することになります。

経営セーフティ共済は、取引先事業者が倒産したときに中小企業の連鎖倒産や経営難を防ぐための制度です。共済金貸付は、無担保・無保証人で、回収困難となった売掛金債権等の額と、納付済み掛金総額の10倍、最高8,000万円のいずれか少ない額を上限に借入れできる仕組みです。共済金貸付は無利子ですが、借入額の10分の1に相当する額が納付した掛金から控除され、その掛金の権利が消滅します。ただし、カード決済代行会社に対する未入金が制度上の対象となる売掛金債権等に当たるかは、契約関係や債権の内容を見て個別に確認が必要です。10月15日に支払いを受けた売上は回収困難ではなくなったため、共済金貸付の対象として残るとすれば、支払対象外や確認中のまま残った部分に限られます。

また、経営セーフティ共済には、取引先倒産が起きていなくても臨時の事業資金として使える一時貸付金制度があります。加入後12か月を経過し、掛金を12か月以上納付していること、借入可能額が30万円以上あることなどの条件を満たすとき、機構解約時に支払われる解約手当金の95%を上限に借入れできる制度です。最高限度額は760万円とされていますが、審査結果によっては借入れできないこともあります。なお、無利子の共済金貸付とは異なり、一時貸付金は有利子です。利率は金融情勢等により変動し(中小機構の案内では令和6年4月1日時点で年0.9%、食団連の第2報でも令和8年7月1日現在0.9%)、利息は借入時に一括前払い、借入期間は1年の期限一括償還で、返済が遅れると年14.6%の違約金がかかります。申込み前に、利率・借入期間・返済方法・遅延時の取扱いを中小機構の窓口で確認します。

法人で定期保険などの生命保険に加入している場合は、契約者貸付も確認対象になります。契約者貸付は、解約返戻金のある保険契約について、その解約返戻金を担保に、所定の範囲内で契約者が貸付を受ける制度です。銀行融資のように事業計画や決算内容を見て新たに与信枠を作る融資とは性質が異なり、保険会社や手続方法によっては、申込みから数営業日程度で資金化できることがあります。当社が実務で確認してきた範囲では2〜3営業日程度で実行される例もありますが、保険会社、契約内容、必要書類、不備の有無によって日数は変わるため、契約ごとに保険会社へ確認します。決算や納税の時期が近く、売掛金の入金が止まったまま消費税や仕入代金の支払いが先に来る店舗では、この速度が資金繰り上の意味を持ちます。

注意したいのは、契約者貸付はすべての法人保険で使えるわけではないことです。解約返戻金のない契約、貸付制度の対象外となる契約、加入後間もない契約では、利用できないか、貸付可能額が小さいことがあります。また、所定の利息がかかり、保険金や給付金の支払時には貸付元利金が差し引かれることがあります。したがって、資金繰り手段として考えるときも、まずは保険証券、設計書、約款で、解約返戻金の有無、契約者貸付の可否、貸付可能額、利率、振込までの日数を確認します。

表4:資金繰りの予備線になる手段と、使える場面・上限・まず確認すること
手段使える主な場面資金化の目安・上限注意・まず確認すること
セーフティネット保証1号・セーフティネット貸付(公的支援)全東信への売掛金債権等により資金繰りに支障が生じているとき。支払い後の返済計画の見直しにも信用保証協会の別枠保証(融資額の100%)、公庫等のセーフティネット貸付市区町村の認定、信用保証協会・金融機関・公庫の審査が要る。特別相談窓口で手順を確認
経営セーフティ共済の共済金貸付取引先の倒産で売掛金債権等が回収困難になったとき回収困難額と、掛金総額の10倍、最高8,000万円の少ない方加入済みが前提。支払対象外として残った未入金が制度上の対象になるかは個別確認
経営セーフティ共済の一時貸付金取引先倒産がなくても、臨時の事業資金が要るとき解約手当金の95%を上限。最高限度額は760万円共済金貸付と違い有利子で、借入期間1年の期限一括償還。加入12か月、納付12か月以上、借入可能額30万円以上などの条件あり。審査により不可のことあり
法人保険の契約者貸付解約返戻金のある法人契約があり、短期の運転資金を確保したいとき解約返戻金の所定範囲内。手続に不備がなければ数営業日程度で資金化できることあり保険種類・契約内容により対象外あり。利息、保険金支払時の差引、貸付可能額を確認

これらの手段は、聞いてみるまで自店に使える金額が分かりません。だからこそ、各社へ同じ質問を投げる確認票を先に用意しておくと、電話や来店の一往復で貸付可能額・利率・着金予定日をそろえられます。次の表は、その質問と、手元に置いておく資料を並べたものです。

表5:確認先ごとに聞くことと、手元に置く資料
確認先聞くこと(貸付可能額・利率・着金予定日)手元に置く資料
信用保証協会・日本政策金融公庫の特別相談窓口セーフティネット保証1号の認定手順と別枠の限度額、セーフティネット貸付の可否、既往債務の条件変更の相談未入金額と入金予定日の一覧、振込明細書、試算表、資金繰り表
中小機構・経営セーフティ共済の窓口共済金貸付と一時貸付金の貸付可能額、無利子か利率か、申込みから着金までの予定日、残った未入金が対象になるか加入状況、掛金総額、納付月数、未入金の売上台帳
加入中の生命保険会社契約者貸付の貸付可能額、利率、振込までの営業日数、対象外の契約かどうか保険証券、設計書、約款、直近の解約返戻金額
取引金融機関短期運転資金や当座貸越の融資枠、金利、実行までの日数、必要書類試算表、資金繰り表、未入金額と入金予定日の一覧

つまり、確認すべきことは「保険で未入金を取り戻せるか」だけではありません。未入金そのものの回収可能性とは別に、入金されない売掛金、貸倒処理の時期、消費税納付、日々の運転資金を同時に見て、店を止めないための資金をどこから確保できるかを、公的支援、共済、法人保険、金融機関、手元資金の順に棚卸しすることです。そのうえで、保険は未入金の回収手段としてではなく、火災、漏水、食中毒、賠償、サイバー被害など、別の営業停止要因に備えるものとして整理します。

全東信の未入金は保険で補償されるか

資金繰りの予備線を確認したうえで、次に分けて考えるべきなのが、未入金売上そのものを保険で回収できるのかという論点です。「入っている店舗保険で未入金売上を戻せないか」と考えるのは自然ですが、ここは慎重に分けて考えます。決済代行会社の破綻による未入金は、火災や漏水のように店舗の物が壊れた事故ではなく、取引先の信用が焦げついたことによる債権の問題です。一般的な火災保険、施設賠償責任保険、店舗向けの休業補償で、そのまま回収できると決め打ちするのは危険です。全東信の件では、結果としてカード会社が支払う形で大半が戻りましたが、それは保険によるものではありません。

まず進めるのは、債権・資金繰り・契約の整理です。振込明細書との突合、支払対象外の売上の確認、顧問税理士や弁護士への相談、金融機関や公的支援の確認、代替決済の本契約が先に来ます。保険契約の確認も並行して行いますが、保険は「損失が起きたら自動で払われるもの」ではありません。補償対象、対象外、損害額、因果関係、必要書類がそろってはじめて、契約ごとの検討に進めます。

法人で加入している生命保険も同じで、全東信の破綻は保険金・給付金の支払事由ではありません。一方で、解約返戻金のある既契約は、契約者貸付などで当座資金に回せる余地があります。その考え方は全東信破綻で法人定期保険を資金繰りに使う方法(契約者貸付・減額)で整理しています。

未入金が保険の主な守備範囲から外れやすいことは、逆に、保険が本来役に立つ営業停止要因を点検する理由になります。今回のように決済が止まると、店舗は入金経路、資金繰り、契約、現場手順を同時に見直すことになります。同じように、火災や漏水、食中毒、サイバー被害が起きたときも、どの費用を保険で受け、どの費用を自己資金や契約・運用で受けるのかを先に分けておきます。

トラブル時に店を止めないため、保険も棚卸しする

飲食店の営業を止めるのは、決済停止だけではありません。火災、漏水、厨房設備の故障、食中毒、店内でのお客様の負傷、サイバー被害、従業員の事故も、起きた瞬間に売上・信用・人員配置に影響します。決済代行会社を複数にするのが「入金経路を止めない備え」だとすれば、保険の棚卸しは「事故が起きた後の復旧と資金流出を止めない備え」です。

事故が起きてから保険証券を探し、「これは対象なのか」「写真は撮るべきだったのか」「修理前に連絡が要ったのか」と確認していると、復旧は遅れます。保険で対象になるかどうかだけでなく、対象外になりやすい条件、自己負担額、事前連絡、必要書類まで平時に把握しておくと、トラブル発生時の初動が変わります。

次の表は、飲食店で営業停止や資金流出につながりやすいトラブルと、保険で棚卸しすべき論点を並べたものです。保険金の支払い可否は契約内容と事故状況で変わるため、自店の証券・約款と照らして確認する前提で見てください。飲食店の保険を火災・賠償・休業・人の4分類で整理した全体像は、飲食店の保険6種類|火災保険・食中毒・休業補償で動く証券と保険金額で扱っています。

表6:飲食店で営業停止や資金流出につながりやすいトラブルと、保険で棚卸しする論点
トラブル店への影響保険で棚卸しする論点
火災・爆発店舗損傷、休業、設備交換建物・設備・什器備品の対象範囲、休業補償の有無、自己負担額
漏水・水濡れ客席・厨房・近隣への被害水濡れ補償、借家人賠償、第三者への賠償範囲
厨房設備の故障調理停止、食材廃棄、売上減少機械設備の補償対象、経年劣化の扱い、修理前連絡の要否
食中毒・異物混入営業自粛、賠償、信用低下生産物賠償、見舞費用、原因調査費用、保健所対応の記録
店内でのお客様の負傷治療費・賠償請求・クレーム対応施設賠償、事故状況の記録、防犯カメラや写真の保存
サイバー被害予約停止、顧客情報流出、決済まわりの混乱サイバー保険の対象範囲、初動費用、外部専門家費用
従業員の事故人員不足、補償対応、店舗運営の停滞労災上乗せ、対象者の範囲、アルバイト・役員の扱い

この棚卸しは、保険を増やすためだけの作業ではありません。不要な補償を減らす、重複を整理する、対象外を理解して現場手順で補う、という見直しも含みます。今回のように決済で足元をすくわれる出来事があったときこそ、店舗を止める原因を一つずつ分解し、保険で受けるもの、契約で受けるもの、現場運用で受けるものを分けます。

決済・入金・休業・賠償をまとめて見直す

全東信の破産は、カード売上が入金されるまで現金ではないこと、そして決済の1社依存が店舗運営と資金繰りに直結することを示しました。支払いが実施された今、店舗側の実務は、振込明細書と自店集計の突合、対象外や未着の確認、代替決済の本契約、借入でつないだ分の返済計画へ移っています。その次に、同じ発想で、入金が止まったときの資金繰りの予備線と、店を止める別の事故への備えを確認します。

決済代行会社、入金サイクル、貸倒処理、消費税納付、公的支援、経営セーフティ共済、法人保険の契約者貸付、休業補償、施設賠償、食中毒、サイバー、従業員事故は、別々の話に見えて、すべて店舗の継続に関わります。保険証券だけを見ても十分ではありません。売上の入金経路、契約書、共済の加入状況、法人保険の解約返戻金、現場の初動手順、保険の対象範囲を並べて確認すると、トラブル時にどこで立ち止まるかが見えます。

自店の決済経路と保険契約を一緒に棚卸ししたいときは、まずはお気軽にご相談ください。何から手をつけるか決まっていない段階でも、決済経路、資金繰り、休業補償や賠償の契約条件を、那由他が一緒に順序立てて整理します。貸付可能額・利率・着金予定日といった資金手当の見通しも、そのなかで一緒に組み立てていけます。

那由他保険テクノロジーズが飲食店の決済停止・資金繰りと店舗保険の棚卸しでご支援できること

ここまでの整理を自店に当てはめると、会社ごとに残る実務は多くの場合3つに絞られます。1つ目は、未入金そのものは保険の守備範囲から外れやすい一方で、自店の休業補償が実際にどの事由で支払対象になるのかを証券で確認できていないこと。2つ目は、法人契約の解約返戻金と契約者貸付の可否・貸付可能額を、証券と設計書のどこで読み取ればよいか分からないこと。3つ目は、複数店舗・複数証券にまたがる火災、水濡れ、生産物賠償、施設賠償、サイバー、労災上乗せの間で、補償の重複と不足がどこにあるか把握できていないことです。

那由他保険テクノロジーズでは、法人リスクコンサルティングと保険プログラムの見直しとして、次の書類を並べて照合します。保険側は、店舗総合保険・火災保険の証券、施設賠償と生産物賠償の特約明細、サイバー保険の付帯条件、労災上乗せの被保険者範囲、法人生命保険の設計書と直近の解約返戻金額。契約・資金側は、店舗賃貸借契約書、決済代行会社との加盟店契約書、資金繰り表です。休業補償については、支払対象となる事故事由、免責期間(待機日数)、支払限度日数、支払限度額、自己負担額、事故時の通知期限を項目ごとに書き出し、今回のような決済停止・取引先破綻が対象事由に含まれない契約であることを、約款の文言まで戻って確認します。あわせて、生産物賠償と施設賠償の限度額の重ね方、借家人賠償が賃貸借契約の原状回復義務と釣り合っているか、同一リスクに対する補償の重複がないかを見て、保険料コスト削減余地の分析と、不足している補償の調達方針の検討を並行して行います。

この照合を通じて、読者側で次の判断材料が具体的な数字と文言として手元に残ります。決済停止のような資金の問題を保険で受けないと決めたうえで、火災・水濡れ・食中毒・サイバー・従業員事故のどれが起きたときに何日分・いくらまで休業補償が出るのか。証券のどの契約に解約返戻金があり、契約者貸付の照会をどの保険会社のどの窓口へ行うのか。現行の保険料のうち、重複補償として見直し候補になるのはどの特約か。判断できない項目は、保険会社への照会事項として契約番号・証券番号とともに書き出し、社内の店長・経理・本部のどこが確認するかまで分けて整理します。

境界も先に示します。全東信に対する未精算売上金の支払対象の判定や振込明細書の内容は破産管財人室と各カード会社の案内、残った債権の届出、貸倒損失や貸倒引当金の計上時期、消費税の貸倒税額控除の可否は弁護士・税理士の判断領域であり、当社は代わりに判断しません。経営セーフティ共済の共済金貸付が残った未入金に該当するかは中小機構の窓口、セーフティネット保証の認定は市区町村と信用保証協会、契約者貸付の実行可否・貸付可能額・着金日は各保険会社の所定手続によります。また、補償の見直しは削減余地の分析と調達支援であり、保険料が必ず下がることや、補償が確実に適正化されることをお約束するものではありません。今の契約のまま様子を見る、更新月まで変更しないという選択も、判断材料をそろえたうえでの結論として妥当です。書類が揃っていない段階でも、分かっている範囲から一緒に整理しますので、決済経路の見直しと同じ机の上で休業補償と賠償の証券を確認したい場合は、下記よりご相談ください。

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初回のご相談・現契約の診断は無料です。お電話(050-1725-4773/受付:平日9:00〜19:00)でも承ります。

よくある質問

自店が全東信経由かどうか、使えなくなったカードはどれかを、どこで確認できますか。

止まったのは全東信が提供していた決済代行サービスで、カードブランドで一律に決まるものではありません。JCBやダイナースクラブのカードを扱っていることと、全東信経由であることは同じではないため、店舗の決済端末、加盟店契約書、入金明細、全東信やJCBから届いた通知で自店の決済経路を確認します。JCBの加盟店向け告知や破産管財人の案内も、事実確認の入口になります。

全東信の未入金売上は、結局支払われたのですか。

破産管財人の案内によると、2026年7月1日〜31日に発生した売上金と6月以前の未精算売上金のうち、各カード会社の所定の確認手続を経た金額が、所定手数料を控除のうえ2026年10月15日に加盟店の登録口座へ支払われました。カード会社6社分は破産管財人が管理する全東信の支払システムから、クレディセゾン分は同社から直接送金されています。支払いがあった部分の破産債権届出は不要です。確認が必要な取引や口座不備で送金できなかった分は別途対応とされているため、入金額と振込明細書を自店の集計と照合してください。

振込明細書と自店の未入金額が合わないときは、どうすればよいですか。

最後に入金があった日以降のカード決済額を日別・店舗別・できればカードブランド別に集計した台帳と、破産管財人またはクレディセゾンから届く振込明細書を突き合わせます。差額は、所定手数料や取消・返品などの売上調整によるものか、支払対象の期間(7月1日〜31日と6月以前の未精算分)に入っていない売上か、確認が必要として別途対応になった取引かを切り分け、破産管財人室または該当するカード会社の窓口へ問い合わせます。POSデータ、売上票、決済控え、入金明細は同じフォルダで保管してください。

店舗保険で未入金売上は戻りますか。

一般的な火災保険や賠償責任保険は、店舗の物損や第三者への賠償を主に想定しています。決済代行会社の破綻による未入金がそのまま対象になるとは限りません。全東信の件で売上金の大半が戻ったのは、カード会社が資金を準備して支払ったためで、保険によるものではありません。加入中の契約内容を確認しつつ、振込明細書の突合や資金繰り対応と並行して整理してください。

全東信の未入金は経営セーフティ共済で借りられますか。

共済金貸付は、取引先事業者の倒産により売掛金債権等が回収困難になったときの制度です。10月15日に支払いを受けた売上は回収困難ではなくなったため、対象として残るとすれば支払対象外や確認中のまま残った部分で、それがカード決済代行会社に対する債権として制度上の対象に当たるかは、契約関係や債権の内容によって個別確認が必要です。加入済みなら、取引先倒産がなくても使える一時貸付金の可否も、貸付可能額・着金予定日とあわせて窓口へ確かめます。

法人保険を解約しなくても運転資金を作れますか。

解約返戻金のある法人保険では、解約せずに契約者貸付を使えることがあります。解約返戻金を担保にした貸付であり、銀行融資のように新たな与信枠を作る融資とは性質が異なります。契約内容により利用できないことや、貸付可能額が小さいこともあり、所定利息や保険金支払時の差引にも注意して、証券・設計書で貸付可能額と利率を確かめます。

取引信用保険でカード決済代行会社の未入金に備えるべきですか。

取引信用保険は、主に売掛債権を持つ企業が取引先の倒産等に備える保険です。BtoB取引をあまり行わない一般的な飲食店では、カード決済代行会社向けの未入金債権を個別に取引信用保険で手当てする設計は現実的でないことが多いと考えられます。実務では、決済経路の複線化、公的支援の窓口、経営セーフティ共済、法人保険の契約者貸付、金融機関との資金繰り相談をあわせて確認します。

支払対象に入らなかった未入金売上は、すぐ貸倒処理できますか。また消費税は納めるのですか。

破産手続開始の申立てや開始決定だけで、当然に全額を貸倒損失として処理できるとは限りません。債権の切捨て、全額回収不能が明らかになった事実、一定期間取引停止後の弁済なしなど、税務上の要件を確認する必要があります。消費税も、課税売上として計上されているなら直ちに申告・納税計算から外れるわけではなく、貸倒れとなったときの貸倒税額控除には、債権の切捨てや貸倒れの事実を明らかにする書類の保存が要ります。決算が近いなら、残った未入金額、債権届出の要否、破産管財人からの通知、配当見込みを税理士と確認してください。

参考一次情報・公的資料

情報確認日:2026年11月2日

執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年11月2日

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、保険金の支払い、補償、未入金の回収、貸付実行、税務処理、資金繰り改善を保証するものではありません。未精算売上金の支払対象・金額・時期は破産管財人および各カード会社の確認手続によります。共済金貸付、一時貸付金、契約者貸付、公的支援の利用可否、貸付可能額、利率、振込時期は、制度要件、契約内容、所定手続、審査結果、個別事情によって変わります。補償の対象範囲、引受、保険料、保険金支払は、商品・約款・契約条件・個別事情によって変わります。破産手続、法務、税務、会計上の扱いは、必要に応じて弁護士・税理士等の専門家に確認してください。