
総重量25kg以上のドローンを業務で飛行させる場合、機体を購入してから保険を探すのでは、飛行許可・承認申請や元請への証明書提出に間に合わないことがあります。2025年10月1日以降に新たにカテゴリーⅡ飛行の許可・承認を申請する場合、国土交通省は第三者賠償責任保険への加入を求め、申請時に保険加入状況を記載するよう案内しています。この記事では、制度の適用範囲、保険証券で確認する項目、測量・建設・農薬散布など用途別の追加確認を整理します。(2026年7月時点)
Summaryこの記事のポイント
- 対象は、2025年10月1日以降に新たに行うカテゴリーⅡ飛行の許可・承認申請で、総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合です。
- 申請では保険加入状況の記載が必要で、飛行時には付保状況と有効期間の確認が求められます。
- 加入済みでも、法人名、機体、用途、操縦者、保険期間、支払限度額が申請内容と一致しているか確認します。
- 第三者への対人・対物賠償と、機体損害、受託物、プライバシー、業務過誤は同じ補償ではありません。
- 発注者が求める保険証明は航空法上の申請とは別の契約条件なので、両方を照合します。
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25kg以上のドローンで保険加入が必要となる範囲
国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」は、2025年10月1日以降に新たにカテゴリーⅡ飛行の許可・承認申請をする場合、総重量25kg以上の無人航空機について、第三者の負傷や交通障害等の不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入が必要と案内しています。
同ページでは、総重量25kg以上のカテゴリーⅡ飛行は、無人航空機操縦士の技能証明や機体認証の有無を問わず、個別の許可・承認が必要な飛行として説明されています。一方、カテゴリーⅠや、許可・承認申請が不要となる別の飛行まで、この記事の保険要件を一律に広げてはいけません。実際の飛行カテゴリーと手続の要否は、最新の審査要領とDIPS2.0で確認します。
| 確認事項 | 国土交通省の案内 | 法人側の実務 |
|---|---|---|
| 対象 | 総重量25kg以上で、カテゴリーⅡ飛行の許可・承認申請を行う場合 | 機体・搭載物・飛行方法を基に最新の申請条件を確認 |
| 保険 | 第三者賠償責任保険への加入 | 対人・対物、限度額、免責、対象機体・用途を証券で確認 |
| 申請 | 保険加入状況を記載 | 申請内容と証券情報の表記を合わせる |
| 飛行時 | 付保状況と有効期間を確認 | 更新日、飛行日、変更機体、追加操縦者を運航管理で照合 |
飛行許可申請前に保険証券で確認する八項目
「ドローン保険に加入済み」という事実だけでは、申請する飛行と補償が一致しているか分かりません。少なくとも次の八項目を、申請書・運航計画・委託契約と照合します。
- 契約者・被保険者:申請法人、運航会社、機体所有者、操縦者、協力会社の誰が対象か。
- 対象機体:メーカー、型式、製造番号、登録記号、追加・代替機が対象か。
- 飛行用途:測量、点検、撮影、資材運搬、農薬散布等が申告した業務に含まれるか。
- 対人・対物賠償:第三者の身体障害・財物損壊について、限度額と免責がどう設定されているか。
- 補償地域・飛行条件:飛行場所、空域、夜間・目視外等が契約条件に抵触しないか。
- 保険期間:申請期間と実際の飛行日をすべて含むか。
- 操縦・管理条件:技能、訓練、飛行マニュアル、整備記録等に条件が付いていないか。
- 事故通知:誰がいつ保険会社・代理店へ連絡し、修理・示談前に何を確認するか。
国土交通省は「十分な補償が可能」としていますが、すべての事業者に共通する具体的な限度額を同ページで示しているわけではありません。限度額は、最大離陸時の影響、飛行場所、第三者の立入り、周辺交通、発注契約で求められる金額等を基に検討します。
見積で確認する機体・運航・契約の情報
重量の大きい機体では、同じ用途名でも飛行場所や搭載物で事故の影響が変わります。保険の見積・更新では、機体情報、運航情報、管理体制、契約条件を分けて資料化します。
| 資料群 | 主な内容 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 機体 | メーカー・型式・登録記号・重量・搭載物・取得価額 | 対象機体と事故時の影響を特定する |
| 飛行 | 用途、地域、頻度、高度、夜間・目視外、人口集中地区、飛行経路 | 第三者・物件・交通へのリスクを把握する |
| 操縦・安全管理 | 操縦者、技能証明、経験、補助者、立入管理、点検・整備、飛行日誌 | 運航管理の実態と条件を確認する |
| 事故歴 | 墜落、接触、紛失、ヒヤリハット、行政報告、再発防止 | 告知と引受審査の整合を取る |
| 契約 | 元請・発注者の保険条件、追加被保険者、証明書、再委託 | 航空法上の要件以外の契約条件を確認する |
DIPS2.0で法人として申請する場合、国土交通省はアカウント作成時に「企業・団体」を選ぶよう案内しています。申請主体と保険証券上の法人名が異なる場合は、単なる表記ゆれなのか、別法人・協力会社を対象に含める必要があるのかを確認します。
測量・建設・農薬散布で追加する補償
第三者賠償責任保険は、すべての業務上の損失をまとめて補うものではありません。用途別に、対人・対物以外の損害が発生する経路を確認します。
- 測量・撮影:撮影データの消失、成果物の誤り、プライバシー侵害、立入先の管理物損害。業務過誤や情報に関する補償が別になることがあります。
- 建設・点検:工事現場内の既設物、元請・施主の管理物、作業中の請負賠償との重複・空白。ドローン保険と請負業者賠償責任保険の対象作業を照合します。
- 農薬・肥料散布:薬剤の飛散、作物への損害、物件投下・危険物輸送に関する申請、使用薬剤・散布区域・気象条件。通常の対物賠償だけで扱われると決めつけず、用途を申告します。
- 資材運搬:搭載物の落下、運搬物自体の損害、荷主・発注者への契約責任。第三者財物と受託物を分けます。
機体自体の墜落・水没・盗難を補う機体保険も、第三者賠償責任保険とは別の論点です。高額機体では修理費だけでなく、代替機の確保、業務延期、再飛行の費用も事業継続上の課題になりますが、どこまで補償されるかは契約条件によります。
元請・発注者へ保険証明書を出す前に照合する
飛行許可・承認申請で保険加入状況を記載することと、元請・発注者が契約で保険証明書を求めることは別です。発注者から「対人・対物各○円」「元請を追加被保険者にする」「作業期間全体を含める」といった条件が示される場合、証明書の発行前に契約書と証券を照合します。
特に、発注者名を証明書へ記載しただけで追加被保険者になったとは限りません。証明書は契約内容の要約であり、補償そのものは証券・約款・特約で決まります。提出時の一般的な照合方法は、元請へ保険加入証明書を提出する際の確認記事も参考になります。
事故が起きたら、救護・安全確保と記録を並行する
墜落・接触事故では、人の救護、二次事故の防止、警察・消防・施設管理者等への連絡を優先します。航空法上の事故等報告が必要かは、国土交通省の最新案内で確認します。その上で、保険会社・代理店への連絡と次の記録を残します。
- 飛行日時、場所、天候、飛行目的、飛行経路、操縦者・補助者
- 機体・送信機・バッテリー・搭載物の状態と写真
- 飛行ログ、映像、通信・警告表示、点検・整備記録
- 第三者の負傷・物件損害、交通・施設運営への影響
- 警察、消防、行政、発注者、施設管理者への連絡時刻と内容
- 相手方とのやり取り。責任や賠償額を独断で確定しない
申請・飛行前の最終チェック
- 最新の審査要領で、飛行カテゴリーと許可・承認申請の要否を確認する。
- 総重量、機体登録、用途、搭載物、飛行経路を申請内容と合わせる。
- 契約者・被保険者・対象機体・用途・操縦者を証券で確認する。
- 対人・対物の限度額、免責、保険期間、補償地域を確認する。
- 元請・発注者の契約条件と、航空法上の申請記載を分けて確認する。
- 機体損害、受託物、業務過誤、プライバシー、薬剤飛散等の空白を確認する。
- 飛行日ごとに付保状況と有効期間を運航管理者が確認する。
確認に使う情報は、①機体一覧、②登録記号・重量・搭載物、③飛行目的と経路、④操縦者・管理体制、⑤許可・承認申請内容、⑥元請・発注契約、⑦現契約の証券・明細、⑧事故歴です。
那由他保険テクノロジーズによる許可・承認申請内容と賠償責任保険証券の照合支援
25kg以上の機体では、保険に加入していること自体より、DIPS2.0で申請する内容と証券の記載が同じ事実を指しているかが問題になります。実務で残りやすいのは、①申請法人名と証券上の契約者・被保険者が一致せず、協力会社の操縦者や機体所有者が対象に入るか判断できない、②機体を追加・代替した際に対象機体と登録記号の更新が抜ける、③測量データの消失、受託した搭載物、薬剤の飛散、元請の管理物損害が、第三者への対人・対物賠償と別の補償になっているかを自社で切り分けられない、という三点です。
那由他保険テクノロジーズでは、賠償領域のリスク構造分析と補償ギャップ分析、保険プログラムの設計・調達支援として、次の照合を行います。保険証券・約款・特約と、DIPS2.0の申請内容(機体の登録記号、総重量、搭載物、飛行目的、飛行経路、承認された操縦者)を項目単位で並べ、契約者・被保険者、対象機体、飛行用途、対人・対物の支払限度額と免責金額、保険期間、補償地域・飛行条件の記載差を特定します。あわせて、元請・発注者の契約書の保険条項(要求限度額、追加被保険者の指定、作業期間、再委託の扱い)と保険加入証明書の記載を突き合わせ、航空法上の申請記載として必要な事項と、契約条件として満たす必要がある事項を分けて整理します。
その結果として、機体損害(機体保険の対象機体・全損条件・代替機費用)、受託物、業務過誤、プライバシー侵害、薬剤飛散の各項目について、現契約で対応する条項、対応しない条項、保険会社へ照会する事項(協力会社の操縦者が被保険者に該当するか、追加機体の自動担保があるか、農薬散布用途が引受条件に含まれるか)を分けた比較表をお渡しします。複数機体・複数契約がある場合は、証券番号、更新月、対象機体、受付窓口を整理し、飛行日ごとの付保状況を運航管理者が確認できる形にします。
飛行カテゴリーの判定や許可・承認申請の要否そのものは国土交通省の最新の審査要領とDIPS2.0でご確認いただく領域で、当社が代わって判断するものではありません。補償の有無は最終的に約款・特約と個別の契約条件で決まるため、当社の支援は補償条件の比較・設計と調達の支援であり、引受や保険料の水準、補償が適正化される結果をお約束するものではありません。現契約のままで申請と発注契約の双方を満たせる場合は、変更せずその旨をご説明します。現状の把握が途中でも、まずはご相談ください。必要な確認は、そのうえで一緒に整理します。
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よくある質問
25kg以上のドローンはすべて保険加入が必要ですか
国土交通省の案内は、2025年10月1日以降に新たにカテゴリーⅡ飛行の許可・承認申請をする場合を対象としています。飛行カテゴリーや手続の要否は個別に確認し、すべての飛行へ一律に広げないでください。
飛行許可申請で保険証券の提出が必要ですか
国土交通省は申請時に保険加入状況の記載を必須としています。添付・提示する資料は最新のDIPS2.0画面、審査要領、補正指示で確認し、証券情報と申請内容を一致させます。
必要な支払限度額はいくらですか
一律の金額では決められません。飛行場所、機体・搭載物、第三者や交通への影響、発注契約で求められる金額を基に検討します。「十分な補償」の判断は申請要件と個別リスクの双方を確認してください。
協力会社の操縦者も自社の保険に含まれますか
契約者・被保険者の定義、承認された操縦者、再委託・協力会社の扱いによります。法人名だけで判断せず、協力会社と操縦者が対象となる条件を証券・約款で確認します。
機体の墜落損害も第三者賠償責任保険で補償されますか
第三者への対人・対物賠償と、自社機体の損害は別です。機体保険の有無、対象機体、修理・全損の条件、免責、代替機費用を別途確認します。
参考一次情報
情報確認日:2026年7月14日
執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年7月14日
本記事は情報提供を目的としたものであり、飛行許可・承認、補償の有無、引受可否、保険料、保険金の支払を保証するものではありません。最新の申請要件は国土交通省・DIPS2.0で、補償内容は商品・約款・特約・契約条件および個別事情でご確認ください。