公共工事の契約保証金とは|いくら・いつ返る・勘定科目と消費税の扱い

公共工事を落札すると、契約書の頭書に「契約保証金」の欄があります。契約保証金は、受注者が工事を最後まで履行することを担保するために、契約の締結と同時に発注者へ納める金銭です。国の契約では契約金額の10%以上と法律で決まっており、地方公共団体も多くは規則で10%以上と定めています。

ただし、現金で納めるのは選択肢の1つにすぎません。有価証券や金融機関・保証事業会社の保証を「契約保証金に代わる担保」として出す方法と、履行保証保険や公共工事履行保証証券(履行ボンド)を付けて納付そのものを「免除」してもらう方法があります。どれを選ぶかは原則として受注者ですが、発注者が選択肢を絞っていることもあります。

初めて落札した建設会社の総務経理の方に向けて、金額の決まり方、納付の期限、返ってくる時期と請求の要否、利息、勘定科目、消費税の考え方を、会計法・地方自治法施行令・国税庁の資料で確認できる範囲で整理します。

本記事は特定の保険会社、保険商品、保険契約や特約の内容を説明するものではなく、公共工事の契約保証制度に関する一般的な考え方の整理です。個別の引受や保険金支払の可否は、ご契約の約款と事実関係に基づいて保険会社が判断します。制度の運用は発注者ごとに異なるため、実際の手続きは各発注者の契約書・入札公告・規則をご確認ください。

Summaryこの記事のポイント

  • 契約保証金は受注者が契約履行の担保として発注者に納める金銭で、国は契約金額の10%以上(会計法第29条の9)、地方公共団体は各団体の規則で率または額を定めます。
  • 納付は原則として契約締結と同時です。落札から契約締結までは発注者により5〜10日程度と短く、現金以外の方法を選ぶなら落札前の準備が要ります。
  • 有価証券や金融機関等の保証は「契約保証金に代わる担保」、履行保証保険・履行ボンドは「納付の免除」で、法令上の位置づけが異なります。
  • 返還は工事完成後に発注者が履行を確認してからで、受注者の請求書が必要な運用が多く、利息は原則付きません。契約金額が大きく変わると増減額があります。
  • 現金で納めた契約保証金は費用ではなく資産(差入保証金等)として処理し、消費税の課税対象にはならないと整理するのが一般的です。

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契約保証金とは何か

契約保証金とは、公共工事などの請負契約で、受注者が契約上の義務を確実に履行することを担保するため、契約の締結と同時に発注者へ納める金銭です。受注者が義務を履行しなかったときは、損害賠償や違約金について契約に別段の定めがない限り、納めた契約保証金は発注者に帰属します(会計法第29条の10、地方自治法第234条の2第2項)。

国の契約では会計法第29条の9が「契約金額の百分の十以上の契約保証金を納めさせなければならない」と定め、地方公共団体では地方自治法施行令第167条の16が、団体の「規則で定める率又は額」の契約保証金を納めさせると定めています。契約保証金は発注者が任意に要求しているものではなく、法令上の原則です。会計法は契約書の記載事項にも「契約保証金に関する事項」を挙げており(第29条の8)、契約書の頭書に欄があるのはこのためです。

公共工事標準請負契約約款(中央建設業審議会)では第4条が「契約の保証」を定め、受注者は「この契約の締結と同時に」、契約保証金の納付を含む5つの方法のいずれかで保証を付すことになっています。契約保証金の納付はこの5つのうち第1号の方法です。

何を担保しているのか

担保する対象は、受注者の債務不履行によって発注者に生じる損害です。工事の途中で受注者が施工を続けられなくなり、発注者が残りの工事を別の業者に発注し直すと、追加の費用や損害が生じます。契約保証金はその回収に充てられます。発注者が前払いした金額の返還を保証する「前払金保証」とは対象が異なる別の制度で、標準約款でも第4条(契約の保証)と第35条(前金払)に分かれています。

契約保証金はいくらか

国の契約では契約金額の10%以上、地方公共団体では各団体の規則で定める率または額です。多くの都道府県・政令市は規則で「契約金額の百分の十以上」としており、国土交通省直轄の工事請負契約書も「請負代金額の10分の1以上」です。一方で、公共工事標準請負契約約款の本文は「請負代金額の十分の〇以上」と空欄になっていて、「一」は注書きの例示にすぎません。規則本文の率が10%でない契約もあり(北九州市は物品・役務の契約で契約価格の100分の5以上)、10%は「多くの発注者の標準」であって全国一律の制度ではありません。契約書の頭書と入札公告で実際の率を確認してください。

低入札価格調査を受けた工事では30%になることがある

国土交通省直轄では、低入札価格調査を受けた者との契約について「請負代金額の10分の1以上」を「10分の3以上」に読み替える通知(国地契第85号)があります。秋田県・和歌山県・広島県・横浜市なども、調査基準価格を下回る価格で落札した場合は10分の3(100分の30)としています。ただし根拠は国の通知、自治体の要綱や規則など発注者ごとに異なり、すべての発注者が同じ扱いではありません。低入札価格調査の対象になった場合は、契約保証の額が通常の3倍になる可能性があるものとして入札公告の記載を確認してください。

「いくらから」必要か:少額の工事は免除されることが多い

国の契約では、資格を有する者との契約で契約金額が250万円を超えないものは契約書の作成を省略でき(予算決算及び会計令第100条の2)、国土交通省の通達ではその場合に契約の保証を要しないとしています。地方公共団体では金額基準が団体ごとに異なります。

発注者 契約保証が不要・免除できる金額基準(一次資料で確認したもの)
国(国土交通省直轄) 契約金額250万円以下(契約書を省略できる契約)
広島県 請負対象設計金額250万円以下は保証不要
宮城県 請負契約金額150万円未満は免除可
長野県 契約金額100万円未満で確実に履行すると認めたとき免除可
茨城県 建築一式1,000万円未満・その他の工事500万円未満に限り免除可
高知県・沖縄県 500万円未満の工事は免除可(沖縄県は当初契約金額500万円未満は保証不要)

免除の金額基準は100万円未満から500万円未満(茨城県の建築一式工事は1,000万円未満)まで幅があり、「○円以上なら一律に必要」と一般化はできません。基準を下回る工事でも、発注者が必要と判断すれば契約保証を求めることがあります。

契約保証金はいつまでに納めるか

原則は「契約の締結と同時」です。公共工事標準請負契約約款第4条第1項がそう定めており、国土交通省の通達では落札者に「工事請負契約書案の提出とともに」契約保証の書類を提出させるとしています。発注者は保証が付されたことを確認してから契約を締結するため、実務上は契約書案を出す日が納付の期限になります。

落札から契約締結までの日数は法令に規定がなく、発注者の入札心得や規則で決まります。一次資料で確認できた例では、茨城県は落札の通知を受けた日から5日以内、国土交通省関東地方整備局は落札決定日の翌日から起算して7日以内(行政機関の休日を含まない)、横浜市は電子契約の案件で落札決定日から3開庁日以内(紙契約は5開庁日以内)です。神戸市は2024年4月の規則改正で5日以内から10日以内に延長する方針を公表しました。高知県は「納付書による納付期限は契約予定日の前日」と明記しています。

初めて落札した会社がつまずきやすいのはここです。現金で納めるなら納付書の受け取りと振込で足りますが、金融機関や保証事業会社の保証、履行保証保険・履行ボンドを使う場合は、それぞれの審査や証券の発行に時間がかかります。福岡市の説明書はこれらの方法について「事前に各取扱機関の審査を必要とします」とし、落札後に初めて申し込んだのでは保証を受けられない場合があると注意しています。秋田県のように、保証の取得に5日を超える場合は期限の延長願を出させる発注者もありますが、延長が認められる前提で動くのは危険です。入札に参加すると決めた段階で、どの方法で契約保証を付けるかを決めておくのが安全です。

現金で納めなくてもよい場合:「代わる担保」と「納付の免除」

契約保証金を現金で納めずに済む方法は、法令上2つの系統に分かれます。1つは「契約保証金に代わる担保」の提供、もう1つは「契約保証金の納付の免除」です。結果はどちらも「現金を出さない」ですが、契約書の記載と法令上の整理が異なります。

系統 方法(公共工事標準請負契約約款第4条第1項の号) 法令上の位置づけ
現金 第1号 契約保証金の納付 契約保証金そのもの
代わる担保 第2号 有価証券等の提供(国は当分の間、利付国債に限る運用) 契約保証金に代わる担保(約款第4条第5項、会計法第29条の9第2項)
代わる担保 第3号 銀行又は発注者が確実と認める金融機関等の保証(保証事業会社の保証はここで扱われる) 同上(国は契約事務取扱規則第16条で保証事業会社の保証を担保に指定)
免除 第4号 公共工事履行保証証券(履行ボンド)による保証 契約保証金の納付を免除(約款第4条第5項、予算決算及び会計令第100条の3第2号)
免除 第5号 履行保証保険契約の締結 契約保証金の納付を免除(同第100条の3第1号)

「代わる担保」は、契約保証金を納めたのと同じ扱いで、担保の価値(保証書なら保証金額)が契約保証金の額とみなされます。「免除」は契約保証金を納めなくてよいという整理です(標準約款のひな形の注書きは、役務的保証を求める第4条(B)を使う場合に契約保証金の欄へ「免除」と記入するとしています)。地方公共団体も、地方自治法施行令第167条の16第2項が準用する第167条の7第2項により「国債、地方債その他長が確実と認める担保」で代えることができ、履行保証保険・履行ボンドによる免除は各団体の規則(福岡県財務規則第170条など)に定められています。

どの方法を選ぶかは原則として受注者ですが、発注者が選択肢を絞ることがあります。千葉県は金融機関等の保証・履行ボンド・履行保証保険の3つを原則の選択肢とし、履行保証保険を使う場合に「定額てん補」の特約を指定する発注者(北海道・和歌山県・高知県・福岡市・広島市など)も多くあります。落札後にどの方法を選び、いつまでに何を提出するかは、公共工事の履行保証の選び方と提出期限で整理しています。

実際にはどの方法が使われているか

国土交通省が公表した令和6年度(2024年度)の直轄工事の履行保証実績では、合計12,659件のうち履行保証を免除した案件が4,306件で、保証を付した8,353件の内訳は、保証事業会社の保証4,600件、金融機関の保証1,975件、公共工事履行保証証券1,091件、履行保証保険499件、契約保証金の納付(現金)185件、利付国債3件でした(国土交通省「各部局工事契約状況等(統合版)」令和6年度)。保証を付した案件のうち現金は約2%(本記事での計算値)で、国の直轄工事では大半の受注者が現金以外の方法を選んでいます。直轄工事に限った統計で全発注者の数値ではありませんが、「現金で納めるのが普通」ではないことを示す公的な数値です。

保証事業会社の側では、西日本建設業保証の有価証券報告書(第73期・2024年度)に、契約保証の取扱いが58,400件・3,882億円、発注者別では市町村29,479件、都道府県23,381件、国3,354件と記載されています。市町村・都道府県の工事でも、保証を使って契約保証金の納付に代える受注者が多数いることが分かります。

契約保証金はいつ返るか

現金で納めた契約保証金は、工事が完成し、発注者が契約の履行を確認した後に返還されます。ただし、法律・政令には返還の時期や手続の規定がなく、発注者の規則・通達・契約書で決まります。三重県会計規則は「契約の履行を確認したときは、直ちに契約保証金を返還しなければならない」、福岡県財務規則は「当該契約の履行後、還付する」としています。

返還には請求書が必要なことが多い

返還が自動的に振り込まれるとは限りません。国土交通省直轄では、工事完成時に請負代金の支払請求書とともに「保管金払渡請求書」の提出を求める運用です。いわき市の手引きは、完成物の引渡し後に担当課へ請求書を出すよう求め、請求書が提出されないと還付が遅延するおそれがあると注意しています。総務経理としては、工事ごとに契約保証金の納付日・金額・還付請求の提出日・入金日を台帳で管理し、完成検査後に請求を忘れないことが実務上の要点です。

契約金額が変わったときの増減額

標準約款第4条第6項は、請負代金額が変更された場合、保証の額が変更後の請負代金額の所定割合に達するまで、発注者は増額を請求でき、受注者は減額を請求できると定めています。運用は発注者で異なり、国土交通省直轄では契約保証金の額が変更後の請負代金額の100分の5以下になるときに10分の1以上へ増額変更するとし、福岡県は契約金額に3割以上の増減があったときに追加納付または還付、長野県は増額時に変更後の総額に対して求める一方、減額は受注者から申出がない限り不要としています。減額分の還付は受注者の請求が前提になっている例が多いので、設計変更で減額になった場合は申出を検討してください。

利息は原則付かない

地方公共団体に納めた契約保証金には、原則として利息が付きません。地方自治法第235条の4第3項が、法令または契約に特別の定めがある場合を除き「歳入歳出外現金には、利子を付さない」と定めており、契約保証金は団体の所有に属しない現金として保管されるため、この規定の対象になると解されます。国土交通省直轄でも、契約保証金は保管金取扱店に納付する保管金として受け入れられ、保管金規則第2条は法律・契約等によるほか利子を付さないとしています。返還時に受け取る金額は納めた金額と同額が原則で、運用益は見込まないでください。利息の定めは契約書と発注者の規則で確認できます。

契約保証金の勘定科目

現金で納めた契約保証金は費用ではなく、将来返還を受ける権利として資産に計上します。一般的には「差入保証金」(会社の科目体系によっては「預け金」「営業保証金」等)を使い、返還を受けた時点で取り崩します。工期が1年を超える工事では投資その他の資産に区分する考え方が自然ですが、財務諸表等規則第32条は「差入保証金」を独立項目として列挙しておらず、科目名が法令や会計基準で一義に決まっているわけではありません。自社の科目体系と顧問税理士・会計士の判断に合わせてください。

仕訳のイメージは、納付時が「差入保証金 / 普通預金」、返還時が「普通預金 / 差入保証金」です。決算をまたぐ場合は工事別に残高を管理し、完成済みで未還付のものがないかを確認します。

一方、履行保証保険の保険料や、金融機関・保証事業会社の保証料は、返ってこない支出ですので支払時の費用(支払手数料、保険料など)です。契約保証金(資産)と保証料・保険料(費用)を混同しないことが、公共工事の経理で最初に押さえる区別です。

契約保証金と消費税

契約保証金は、工事の対価として受け取るものでも、サービスの対価として支払うものでもなく、発注者に預ける担保です。消費税は「対価を得て行う資産の譲渡等」を課税の対象としているため(国税庁タックスアンサーNo.6105)、対価性のない契約保証金の納付・返還は課税の対象外(不課税)と整理するのが一般的です。国税庁は事業用建物の賃貸借の保証金・敷金について、契約の終了により返還されるものは資産の譲渡等の対価に該当せず課税の対象にならないとしており(タックスアンサーNo.6225、消費税法基本通達5-4-3)、返還を前提に預ける契約保証金にも同じ考え方が当てはまると考えられます。ただし、公共工事の契約保証金を名指しした国税庁の資料は確認できていません。受注者の債務不履行で契約保証金が発注者に帰属した場合の処理も含め、個別の判断は税理士に確認してください。

保証料・保険料の側は非課税です。消費税法別表第二第3号は「信用の保証としての役務の提供」と「保険料を対価とする役務の提供」を非課税取引とし、タックスアンサーNo.6201も信用保証料と保険料を非課税取引として挙げています。したがって履行保証保険の保険料や金融機関等の保証料には消費税がかからず、仕入税額控除の対象にもなりません。消費税の申告では「不課税(契約保証金)」と「非課税(保証料・保険料)」を区分して処理します。

入札保証金との違い

入札保証金は、入札に参加する者が入札前に納める保証金で、落札者が契約を締結しないときに発注者に帰属します(地方自治法第234条第4項)。国は見積金額の100分の5以上(会計法第29条の4)、地方公共団体は規則で定める率または額です(地方自治法施行令第167条の7)。契約保証金が「契約を結んだ後に履行を担保する」ものであるのに対し、入札保証金は「落札したら契約を結ぶこと」を担保するもので、時期も目的も異なります。

項目 入札保証金 契約保証金
納める時期 入札前(入札書の提出期限まで) 契約締結と同時
担保する内容 落札者が契約を締結すること 受注者が契約上の義務を履行すること
国の率 見積金額の100分の5以上(会計法第29条の4) 契約金額の100分の10以上(会計法第29条の9)
保険による免除(国) 入札保証保険契約(予算決算及び会計令第77条第1号) 履行保証保険契約・工事履行保証契約(同第100条の3)

国土交通省直轄では、入札保証金(入札ボンド)の提出を求める試行の対象を大型工事に限っており、2025年4月1日以降に契約する工事では一般土木・建築で予定価格3億4,000万円以上の工事が対象です(2012年3月の試行通知を2024年12月に改正)。中小規模の工事では入札保証金は免除されることが多く、初めて落札する会社が実際に直面するのは契約保証金のほうです。福岡県財務規則のように、納めた入札保証金を契約保証金に充当できる団体もあります。

那由他保険テクノロジーズが契約保証の手配でご支援できること

公共工事の契約保証は、契約書の保証条項、発注者の指定(定額てん補の有無、保証割合、証券の提出方法)、落札から契約締結までの日数という3つの条件がそろって初めて手段を選べます。初めて落札した会社では、この3つを契約締結の数日前に一度に読み解くことになり、現金納付の資金繰りか、間に合わない保証の申込みかの二択になりがちです。

当社は損害保険について特定の保険会社の代理店として(比較推奨販売方針)、入札予定の段階で契約書案や入札公告の保証条項を拝見し、履行保証保険・公共工事履行保証証券で発注者の条件を満たせるか、保険会社の事前審査に何が必要かを整理します。保険会社は引受の前に受注者の財務内容を審査し、保証の上限額(引受限度額)を設定するのが一般的で、引受の可否や条件はその審査の結果によります。ご相談いただくと、現金納付との資金面の違い、証券の電子提出に発注者が対応しているか、契約金額の変更時に保証をどう変えるかまで、手元の資料から分かる範囲を一緒に確認できます。

公共工事の契約保証

入札予定の段階で契約保証の手段と事前審査の要否を整理する

契約書案や入札公告の保証条項をお送りいただければ、発注者の指定に合う方法と、保険会社の事前審査に向けた準備を整理してお返しします。

保証条項の読み解き 事前審査に必要な準備 契約金額変更時の対応

NEXT STEP

入札の予定が立った時点でご相談ください

よくある質問

契約保証金は現金で納めるしかないのですか?

いいえ。公共工事標準請負契約約款第4条は、契約保証金の納付のほか、有価証券等の提供、銀行等の金融機関の保証、公共工事履行保証証券(履行ボンド)、履行保証保険契約の5つの方法を定めており、受注者が選べます。有価証券・金融機関等の保証は「契約保証金に代わる担保」、履行ボンド・履行保証保険は「契約保証金の納付の免除」という位置づけです。ただし発注者が選択肢を絞ったり特約を指定したりすることがあるので、入札公告と契約書案で確認してください。

契約保証金はいつ返ってきますか?請求は必要ですか?

工事が完成し、発注者が契約の履行を確認した後に返還されます。法令に返還時期の規定はなく、発注者の規則や通達で決まります。国土交通省直轄では請負代金の支払請求書とともに保管金払渡請求書を提出する運用で、いわき市のように請求書が出ないと還付が遅れると注意する発注者もあります。完成検査後に還付請求の手続を確認し、台帳で入金まで管理してください。

契約保証金に利息は付きますか?

原則として付きません。地方公共団体では地方自治法第235条の4第3項により歳入歳出外現金に利子を付さないとされ、国土交通省直轄でも契約保証金は保管金として受け入れられ、保管金規則第2条は保管金に原則として利子を付さないとしています。法令または契約に特別の定めがある場合は別ですので、契約書の記載を確認してください。

契約保証金の勘定科目は何にすればよいですか?

現金で納めた契約保証金は費用ではなく資産です。一般に「差入保証金」などの科目で計上し、返還時に取り崩します。科目名は法令・会計基準で一義に決まっていないため、自社の科目体系と顧問税理士・会計士の判断に合わせてください。履行保証保険の保険料や金融機関・保証事業会社の保証料は返還されない支出なので、支払時の費用として処理します。

契約保証金に消費税はかかりますか?

契約保証金は対価性のない預け金・担保なので、納付も返還も消費税の課税対象外(不課税)と整理するのが一般的です。国税庁は賃貸借の保証金について、返還されるものは資産の譲渡等の対価に該当しないとしており、契約保証金も同じ考え方で整理できると考えられます。一方、履行保証保険の保険料や保証料は消費税法上の非課税取引です。公共工事の契約保証金を名指しした国税庁資料は確認できていないため、個別の処理は税理士に確認してください。

契約金額が変更になったら契約保証金も変わりますか?

変わることがあります。公共工事標準請負契約約款第4条第6項は、請負代金額の変更後も保証の額が所定の割合に達するまで、発注者が増額を、受注者が減額を請求できると定めています。国土交通省直轄では契約保証金が変更後の請負代金額の100分の5以下になると増額、福岡県は契約金額に3割以上の増減があったときに追加納付または還付としており、運用は発注者によって異なります。減額分の還付は受注者の申出が前提になっている例が多いので、設計変更の際に確認してください。

参考一次情報・公的資料

本記事は特定の保険会社、保険商品、保険契約や特約の内容を説明するものではなく、公共工事の契約保証制度に関する一般的な考え方の整理です。個別の引受や保険金支払の可否は、ご契約の約款と事実関係に基づいて保険会社が判断します。制度の運用は発注者ごとに異なるため、実際の手続きは各発注者の契約書・入札公告・規則をご確認ください。

情報確認日: 2026年11月2日