ジギョケイ作成代行はどこまで頼める?費用と無料支援の違い

「事業継続力強化計画(通称ジギョケイ)を自社だけで作り切れるか不安。作成代行に頼めるのか、頼むとしてどこまで任せられるのか」——このページは、その判断材料を整理するための記事です。作成代行の費用表を眺めるだけでなく、支援の範囲がどこからどこまでかを分解し、自社に必要な伴走の広さを見極められるようにします。結論を先に言えば、頼むべきは「全部」ではなく「自社が詰まっている工程」です。

Summaryこの記事のポイント

  • 作成代行は、相談のみ・下書き作成・電子申請前チェック・修正対応・認定後運用の5範囲で比較します。
  • 費用だけで選ぶと、自社が使えない計画や、資金・保険の視点が抜けた計画になりやすくなります。
  • 無料支援と有料代行の違いは、質ではなく「伴走の範囲と主体」に表れます。
  • 相談前に、委託したい作業と社内で判断すべき作業を分けると、過不足のない支援を選べます。

本記事の制度概要・申請手順・認定件数は、中小企業庁の事業継続力強化計画ページおよび地域別認定件数一覧を参照しています。復旧資金と保険に関する事実は、関東経済産業局のリスクファイナンス資料日本損害保険協会「企業のための保険ナビ」に基づきます。数値は2026年7月時点の公表情報です。

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ジギョケイ(事業継続力強化計画)作成代行とは何か——まず事実で確認する

作成代行を頼むかどうかを考える前に、そもそも何を作る手続きなのかを事実で押さえておきます。中小企業庁は、事業継続力強化計画を、中小企業者等が策定する防災・減災の事前対策計画として認定する制度だと説明しています。自然災害や感染症などの緊急事態を想定し、事前の備えを計画としてまとめ、国が認定する仕組みです。制度の全体像は事業継続力強化計画とは?BCPとの違いと使い方で詳しく整理しています。

普及状況も数値で確認できます。中小企業庁の地域別認定件数一覧(2026年6月19日更新)では、2026年5月末時点の累計認定件数は99,860件とされています。制度自体はすでに広く使われており、「特別な会社だけのもの」ではありません。だからこそ、作成の手段は「作れるか」ではなく「どう効率よく、使える形で作るか」で選ぶ段階に来ています。

申請は原則として電子申請で、gBizIDプライムが必要です。GビズIDの公式サイトでは、マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短で即日アカウントを発行でき、書類による申請は申請から審査、発行まで最大1か月かかるとされています。また、申請から認定までの標準処理期間は約45日、計画の実施期間は最大3年とされています。これらは保証された期間ではありませんが、「思い立ってすぐ認定」ではなく逆算が要る手続きだ、という前提を先に押さえておくと、代行を頼むかどうかの判断もぶれません。スケジュールの逆算は事業継続力強化計画の期間|認定45日と逆算手順で扱っています。

「作成代行を頼むべきか」は、そもそも誰の論点か(自社への当てはめ)

作成代行の検討が現実的になるのは、多くの場合、次のような立場の会社です。総務や経営企画の担当者が防災・BCP対応を兼任しており、通常業務の合間に計画づくりまで進めなければならない中小企業。あるいは、様式は入手したものの、どの粒度で書けば認定で見られる項目を満たせるのか判断がつかない会社です。

ここで大切なのは、「作れないから外注する」ではなく、「どの工程が自社のボトルネックか」を先に切り分けることです。様式を埋める作業なのか、リスクの洗い出しなのか、電子申請の操作なのか、認定後の運用なのか。詰まっている場所が違えば、頼むべき範囲も費用も変わります。自社が対象になるかどうか自体が曖昧な場合は、まず事業継続力強化計画の対象企業とは?申請前の確認で該当性を確認してから、代行の要否を考えると順序に無理がありません。

書類が通ることと、いざという時に使えることは別

作成代行の話は、放っておくと「リスクはある→だから書類を用意する」と一足飛びになりがちです。しかし、認定を受けること自体が目的ではありません。目的は、緊急時に事業を止めない、あるいは早く立て直すことです。ここに、作成の手段を選ぶ意味があります。手段を間違えると、認定は取れても有事に動かない計画になります。

関東経済産業局は、復興時に役立った対策の約8割が資金面の対策だった一方で、半数以上の事業者が災害発生時の対策資金を十分に把握していないと紹介しています。いざという時にものを言うのは資金であり、その資金繰りを平時に把握できている会社は少数派だ、ということです。計画づくりを「様式を埋める作業」に矮小化すると、この一番大事な資金の視点が抜け落ちます。

ここに、保険を扱う立場からしか見えにくい非対称があります。保険金は自動では支払われません。実際に補償を受けるには、被保険者の側が「対象となる事故が起きたこと」「対象となる損害が生じたこと」「その金額」「事故と損害の因果関係」「発生の時期」「免責事由に当たらないこと」を、書類で説明していく必要があります(詳しくは日本損害保険協会の解説)。つまり計画は、作って終わりではなく、有事に保険金請求の資料として説明できる状態にしておいて初めて資金の備えになります。想定する災害・被害・復旧に必要な資金と、それをどの手段(自己資金・融資・保険など)でまかなうかを計画段階で言語化できているかは、緊急時の説明力に直結します。作成代行を「様式作成だけ」で捉えるか、「資金と説明の設計まで」で捉えるかは、この点で大きく分かれます。

作成代行の支援範囲を5つに分けて理解する

「作成代行」と一口に言っても、実際の中身は連続した工程で、どこまでを頼むかで内容も費用感も変わります。次の5つに分けて考えると、比較がしやすくなります。この5範囲が、後述する無料支援との比較軸にもそのまま使えます。

1. 相談のみ(壁打ち・レビュー)

自社で書いた内容を見てもらい、方向性や抜けを指摘してもらう範囲です。手を動かすのは自社。費用は抑えやすい一方、作成そのものの負荷は残ります。

2. 下書き作成(ドラフト作成の伴走)

ヒアリングをもとに計画の下書きを一緒に組み立てる範囲です。リスクの洗い出しや対応方針の言語化を支援してもらえますが、内容は自社の実態を反映している必要があり、最終確認は自社の責任で行います。書き方の勘所は事業継続力強化計画の書き方|認定で見られる項目も参考になります。

3. 電子申請前チェック

gBizIDや電子申請システムの操作、入力内容の整合を、申請前に確認する範囲です。手続きでのつまずきを減らせます。GビズIDの取得手順は事業継続力強化計画の申請方法|GビズIDと手順で詳しく解説しています。

4. 修正対応

申請後に補正や差し戻しがあった場合の直しを支援する範囲です。ここが含まれるかどうかで、認定までの手戻りの負担が変わります。契約前に「修正対応がどこまで料金内か」を確認しておくと、追加費用の想定違いを避けられます。

5. 認定後運用(更新・実施報告まで)

認定はゴールではありません。実施期間は最大3年で、満了後も続ける場合は新たな計画として申請し、2回目以降は実施状況報告書も論点になります。ここまで見据えるかどうかで、伴走の性格が変わります。更新の考え方は事業継続力強化計画の更新|再申請と実施報告を参照してください。

作成代行の支援範囲の比較(上から下へ、自社の負荷は小さくなり、伴走の広さは大きくなる)
支援範囲主な中身残る自社の作業向いているケース
相談のみ方向性の確認・レビュー作成・申請・運用のほぼ全て自分で書けるが第三者の目が欲しい
下書き作成ヒアリングと下書きの伴走内容確定・申請・運用リスクの言語化から詰まっている
電子申請前チェックgBizID・入力内容の確認内容確定・運用中身はあるが手続きが不安
修正対応補正・差し戻しの直し支援運用手戻りの負担を減らしたい
認定後運用更新・実施状況報告の伴走実行そのもの3年後まで含めて続けたい

この表の使い方はシンプルです。自社が「詰まっている行」から下を頼み、それより上は自社でやる、という切り分けができます。全部を頼む必要はありません。逆に、上の行だけ頼んで手続きや修正で止まる、という抜けも避けられます。

有料の作成代行と無料支援は、何が違うのか

事業継続力強化計画には、商工会議所・商工会、中小企業基盤整備機構、金融機関、認定経営革新等支援機関などが提供する無料の相談・支援もあります。当社も、この計画づくりを無料でご支援しています。中小機構のBCPはじめの一歩のような公的な入口も利用できます。

有料と無料の違いは「質」ではなく、多くの場合「伴走の範囲と主体」にあります。前の5範囲でいえば、無料支援は相談のみ・書き方レビューが中心になりやすく、手を動かすのは自社が基本です。一方で、下書き作成から電子申請前チェック、修正対応、認定後運用までを一定の範囲で継続して伴走する形は、提供者によって有料・無料が分かれます。費用の面では、有料代行は工程を肩代わりする分だけ支出が増え、無料支援は支出が抑えられる代わりに自社の作業時間が残る、という交換関係になります。

だからこそ、まず無料で相談し、どこまで自走できそうかを確かめてから、足りない工程だけを補う——という順番なら、費用の判断に無理がありません。無料支援の具体的な選び方は事業継続力強化計画の無料支援|相談先の選び方で整理しています。

「どこまで自社でやり、どこを任せたいか」の切り分けは、一度相談してみると一気に具体的になります。当社では事業継続力強化計画の策定を無料でご支援していますので、対象判定や重要業務の整理からお気軽にご相談ください。

「丸投げ」への懸念にどう向き合うか(対象外にしておくべき工程)

作成代行でよく聞く不安が、「丸投げすると、自社の実態と合わない計画になってしまうのでは」というものです。この懸念はもっともです。計画は自社の設備・立地・取引先・従業員の実態を反映していないと、認定で見られる項目を満たしにくく、何より緊急時に機能しません。

ここでの現実的な向き合い方は、「作成の主体は自社に置いたまま、工程を補ってもらう」という発想に立つことです。具体的には、次の判断は代行の対象外にして自社に残すのが基本です——想定リスクの洗い出し、止まると困る中核事業の特定、復旧の優先順位づけ、そして「いくらまで、どの手段で備えるか」という資金方針。これらは外部が代わりに決められるものではありません。支援者の役割は、それを引き出し、言語化し、様式に落とすことを助ける点にあります。全部任せるのではなく、判断は自社・作業は補助という線を引く——これが、丸投げの不安を避けつつ負担を減らす筋道です。

費用対効果をどう考えるか(経済合理性)

費用を判断するときは、代行費という支出だけでなく、計画があることで動きやすくなる「資金の備え」も一緒に見ます。前述のとおり、復興時に役立った対策の約8割は資金面でした。平時に、想定災害・想定被害・復旧に必要な資金を計画として言語化しておくことは、いざという時の資金調達や、保険金請求時の説明力につながります。

制度面の後押しもあります。中小企業防災・減災投資促進税制では、2026年7月時点で特別償却16%の措置が示されています。ただし、対象となる設備・取得の時期・認定の時期などの確認が必要で、適用可否は個別の要件で決まります。税制の適用や補助金加点を当て込んで判断するのではなく、あくまで確認事項として扱ってください。

費用対効果は「代行費が高いか安いか」だけでは決まりません。自社のどの工程を短縮できるか、資金と保険の備えをどこまで具体化できるか、認定後まで続けられる形かどうか。この3点が、必要な範囲と支出のバランスを決めます。

支援の要否を見極める5つのチェック項目

作成代行でも無料相談でも、必要な範囲は自社の現在地で決まります。次の項目のうち埋まっていない行が、そのまま支援を頼むべき候補になります。

  • 想定する災害・緊急事態(自社の立地や事業から想定されるもの)を書き出したか
  • 止まると困る中核事業と、その復旧の優先順位を仮でも決めたか
  • 復旧に必要な資金と、その調達手段(自己資金・融資・保険など)の当たりをつけたか
  • 加入中の保険証券を確認し、想定被害が補償対象に含まれそうか当たりをつけたか
  • gBizIDプライムの取得状況を確認したか(未取得なら、オンライン申請は最短即日・書類申請は最大1か月の見込みを逆算に入れたか)

この5項目は、答えを出してから相談するためのものではありません。判断がつかない行こそ、那由他保険テクノロジーズが一緒に確かめながら埋めていく部分です。

認定後の運用と更新まで見据えて範囲を選ぶ

作成代行を検討するときに見落とされやすいのが、認定の「その後」です。実施期間は最大3年で、満了後も継続する場合は新たな計画として申請し直します。2回目以降は、計画に書いたことを実際にどう進めたかを示す実施状況報告書も論点になります。つまり、一度作って終わりではなく、回し続ける前提の仕組みです。

作成の範囲を選ぶときは、「認定までを乗り切ること」だけでなく、「3年後に自社だけで更新できる状態になっているか」も基準に入れてください。支援を受けながらでも、判断の主体と運用のノウハウが自社に残る形が、長い目で見て経済的です。どこまで任せるか迷う場合は、まず現状の整理から相談してみるのが近道です。

よくある質問

Q1. ジギョケイの作成を外部に頼むのは問題ありませんか?

A. 事業継続力強化計画の作成を外部が支援すること自体は、一般的に行われています。ただし計画は自社の設備や事業の実態を反映する必要があり、リスクの洗い出しや復旧の優先順位づけといった判断の主体は自社に残ります。支援者の役割は、その言語化と様式への落とし込みを助ける点にあると捉えると、頼む範囲を決めやすくなります。

Q2. 作成代行に頼むと、どのくらいの期間で認定されますか?

A. 中小企業庁は、申請から認定までの標準処理期間を約45日としています。加えて、電子申請に必要なgBizIDプライムの取得は、GビズID公式サイトによれば、マイナンバーカードを使うオンライン申請で最短即日、書類による申請では最大1か月とされています。これらは保証された期間ではなく目安ですが、代行の有無にかかわらず逆算に入れておくと、余裕を持って準備できます。

Q3. 無料支援と有料の作成代行は、どちらを選べばよいですか?

A. 質の違いというより、伴走の範囲と主体の違いで考えると整理しやすくなります。まず無料の相談で方向性を確認し、自社でどこまで自走できそうかを見極めたうえで、下書き作成・電子申請前チェック・修正対応・認定後運用のうち足りない工程だけを補う、という順番が無理のない選び方です。

Q4. 認定を受けると、税制の優遇は受けられますか?

A. 中小企業防災・減災投資促進税制では、2026年7月時点で特別償却16%の措置が示されています。ただし、対象となる設備・取得の時期・認定の時期などの確認が必要で、適用できるかどうかは個別の要件によって決まります。適用を当て込む前に、所管の情報や税理士など専門家にご確認ください。

Q5. 保険に入っていれば、計画は不要ではないですか?

A. 保険は資金面の備えの一つですが、保険金は自動で支払われるわけではありません。実際に補償を受けるには、対象となる事故が起きたこと、対象となる損害とその金額、事故と損害の因果関係、発生の時期、免責事由に当たらないことなどを、書類で説明していく必要があります。計画づくりの段階で想定被害と必要資金を言語化しておくことは、この説明力を高める点で保険と補い合う関係にあります。

Q6. 認定後は、特に何もしなくてよいのですか?

A. 実施期間は最大3年です。満了後も続ける場合は新たな計画として申請し直し、2回目以降は実施状況報告書も論点になります。作成の範囲を選ぶ際は、認定後に自社で更新・運用を回せる状態になるかどうかも基準に入れておくと安心です。

参考一次情報・公的資料

情報確認日:2026年7月6日

執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年7月6日

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度要件、補助金、税制、融資、補償範囲、保険金支払、保険料、引受可否は、最新の公表情報、約款、契約条件、個別事情により変わります。法務・税務・労務・会計の判断は、必要に応じて専門家へご確認ください。