
事業継続力強化計画は、中小企業者等が自然災害や設備故障などのリスクに備える事前対策をまとめ、経済産業大臣(中小企業庁)が認定する制度です。この記事は、はじめて検討する中小企業の経営者・総務経理・管理部門に向けて、自社が対象か、申請に何が必要か、自社で進めるか無料の策定支援に相談するかを、公的な一次情報に沿って判断できるよう整理します。読み終えたときに、次に集める資料と着手順が具体的に決まっている状態を目標にしています。
Summaryこの記事のポイント
- 制度の中心は、守る重要業務・想定リスク・復旧資金を自社の実態に沿って言語化し、電子申請して認定を受けることです。
- 認定は税制・金融支援・補助金加点の入口になり得ますが、適用可否はいずれも個別要件の確認が前提です。
- 災害復旧で効くのは資金面の備えです。復旧にいくら要り、保険でどこまで回収できるかを平時に見える化することが計画づくりと重なります。
- 保険金は自動では支払われません。事故・損害・金額・因果関係・発生時期を示す資料を、契約者側が提出できる状態を平時につくることが要点です。
- gBizID取得・作成・審査を足して認定希望時期から逆算すると、着手日が決まります。
本記事の制度・件数・処理期間・税制の記述は、中小企業庁「事業継続力強化計画」「申請方法等について」「地域別認定件数一覧」「認定制度の概要」に基づきます。復旧資金の統計は関東経済産業局、保険と対策の実態は日本損害保険協会を参照しています。数値は各一次情報の更新で変わり得るため、申請時は最新の公表内容をご確認ください。
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事業継続力強化計画とは何を認定する制度か
中小企業庁は、事業継続力強化計画を、中小企業者等が策定する防災・減災の事前対策計画として認定する制度と説明しています。自然災害・感染症・設備故障・供給停止といったリスクを洗い出し、被害を抑える平時の備えと、発災直後の初動対応を計画書としてまとめ、電子申請して認定を受ける、という枠組みです。数十ページの大部の文書を求めるものではなく、想定リスク・初動・平時の備え・実施体制という論点を、自社の規模と実態に合わせて記述する形が中心になります。
よく混同されるBCP(事業継続計画)との関係でいえば、事業継続力強化計画ははじめの一歩に当たる位置づけです。詳細な復旧手順まで作り込むBCPに対し、まず取り組むべき備えを整理して国の認定という形にするのが本制度で、そこからBCPへ広げていく流れが想定されています。両者の違いと使い分けは事業継続力強化計画とは?BCPとの違いと使い方で補足しています。
累計で100,864件という規模は、この取り組みが特別な大企業向けではなく、多くの中小企業に広がってきている事実を示しています。制度として定着し、認定を受けた企業が積み上がっていることを出発点に、自社に当てはめて読み進めてください。認定を受けること自体が目的ではなく、有事に事業を止めない備えを平時に用意し、その成果として認定という外形が残る、という順序で捉えると全体像がつかみやすくなります。
自社は対象になるか、申請目的は何か
制度を理解しても、次に立ち止まるのは、そもそも自社が対象なのかという点です。事業継続力強化計画は中小企業者等を対象とした制度で、業種ごとに定められた資本金・従業員規模の基準によって、中小企業者に当たるかどうかの判定が入ります。たとえば同じ規模でも、製造業・建設業と、卸売業・小売業・サービス業とでは基準が異なります。まずは自社が形式的な対象要件に当てはまるかを、中小企業庁の定義に照らして確認してください。判定の詳細と業種別の考え方は事業継続力強化計画の対象企業とは?申請前の確認で整理しています。
対象確認と並んで先に決めておきたいのが、申請目的です。認定を受けて何を得たいのかによって、計画書に書き込む粒度も、社内で確保すべき時間も、そろえるべき資料も変わります。目的は実務上おおむね次の四つに分かれ、どれを主目的にするかで準備物が具体的に動きます。
| 主目的 | 先にそろえる材料 | 締切・注意点 |
|---|---|---|
| 補助金の加点 | ねらう補助金の公募要領と加点区分、認定希望時期の確定 | 公募締切から逆算し、締切前に認定が下りる着手日を確保する |
| 税制の活用余地 | 導入予定設備の見積・仕様、取得予定時期、税理士への確認 | 対象設備・取得時期・認定時期の前後関係で適用可否が変わる |
| 社内BCP・防災体制の整備 | 重要業務の棚卸し、想定リスク、初動の役割分担 | 締切に縛られにくい分、実効性ある内容に踏み込む余地がある |
| 取引先・元請への説明 | 認定の事実を示す資料、供給継続の考え方の整理 | 先方が求める体制水準に合わせ、記述の粒度を調整する |
四つのうち動かせない期限に縛られるのは補助金の加点と税制の活用余地で、いずれも認定時期との前後関係が着手日を決めます。社内の防災体制整備と取引先への説明は締切に追われにくい分、記述の深さを自社の判断で決められます。対象ではあることと、今取り組む理由があることは別です。最優先の目的を一つ決めておくと、以降の計画づくりも相談も判断がぶれません。
計画前に決める3つの中身
認定書類を書き始める前に、社内で先に固めておきたい中身が三つあります。守るべき重要業務、想定するリスク、そして復旧資金です。この三つが曖昧なまま様式を埋めようとすると、一般論の作文になり、有事に使えない計画になりがちです。逆に、ここさえ自社の言葉で決まっていれば、記述作業はぐっと速くなります。書式ごとの記載論点は事業継続力強化計画の書き方|認定で見られる項目で扱っています。
| 決める中身 | 問い | アウトプット例 |
|---|---|---|
| 守る重要業務 | 止まると最も影響が大きい業務はどれか。何日以内に再開したいか | 主力製品の受注・生産・出荷、基幹システム、決済業務など、優先順位を付けた一覧 |
| 想定するリスク | 立地・業種から現実的に起こり得る事象は何か | 地震・水害・停電・設備故障・感染症・仕入先の供給停止と、過去のヒヤリ事例 |
| 復旧資金と備え | 止まったとき、いくら必要でどこから調達するか | 運転資金の見込み、損害保険で回収できる範囲、融資枠、自己資金の順序 |
難しいのは、この重要業務の置き方が業種によって大きく変わる点です。製造業なら、特定の生産ラインや金型・治具、限られた仕入先からの部材が止まると出荷全体が止まるため、設備と調達の代替性が焦点になります。建設業では、現場そのものより、施工管理・安全管理を担う人と、工程を左右する重機・資材の確保、そして発注者への連絡体制が生命線です。飲食店なら、冷蔵・冷凍設備の停止による在庫の毀損と、店舗が使えない期間の売上消失が直撃するため、食材ロスと休業損害の両面を見ます。IT・受託業務では、物理的な被災より、サーバー・データ・開発環境と、納期を抱えた顧客への影響が重く、バックアップと連絡手段の確保が中心になります。同じ様式でも、どこが止まると事業が回らないかは業種ごとに違うため、他社の書き方を写すのではなく、自社で止まって困る順に並べることが出発点になります。
リスクは、自治体のハザードマップや過去の被災・トラブルの記憶を手がかりに、立地と業種から現実的なものへ落とし込みます。そして三つ目の復旧資金が、実は最も後回しにされやすく、かつ有事に効く論点です。次章で数値とともに掘り下げます。
復旧資金を先に見える化する理由
災害時に効いてくるのは、設備や体制だけではありません。復旧の現場では資金の備えが結果を左右します。関東経済産業局は、被災から復興する際に役立った対策の多くが資金面の対策であった一方、災害発生時に必要な対策資金を十分に把握できていない事業者が相当数にのぼることを紹介しています。この非対称——お金が要るのは分かっているが、いくら要るかは把握していない——が、多くの中小企業に共通する空白です。
ここで押さえたいのは、復旧資金は保険・融資・自己資金の三層で考えると整理しやすいという点です。損害保険で回収できる部分、金融機関からの融資でつなぐ部分、手元の自己資金で賄う部分を、平時に順序立てておく。休業期間中も人件費や家賃、リースなどの固定費は出続けますから、売上がゼロでも何か月持ちこたえられるかという運転資金の視点が欠かせません。実務では、設備の再取得にいくら、休業中の固定費が月いくら、その何か月分を見込むか、という順で概算を置くと、必要額の輪郭が見えてきます。そのうえで、保険で回収が見込める部分を差し引き、残りを融資と自己資金でどう埋めるかを決めると、資金計画が具体化します。事業継続力強化計画づくりは、単なる書類作成ではなく、この資金面の空白を平時に埋める作業と重なります。だからこそ、様式を埋める前に復旧資金を見える化する意味があります。
自社作成と無料策定支援はどう選ぶか
取り組む理由と中身の当たりが付いたら、次はどう進めるかです。大きく分けて、社内で自作する道と、無料の策定支援に相談してから進める道があります。どちらが優れているという話ではなく、社内リソース・確認したい論点の広さ・締切までの余裕・資金や保険まで踏み込みたいかによって、最適解が変わります。まずは自社の状況を下表に当てはめてください。
| 比較の観点 | 自社で進める | 無料の策定支援に相談する |
|---|---|---|
| 向いている状況 | 対象確認と記述の要点を把握済みで、社内に担当時間を確保できる | 初めてで論点を整理したい、資金面・保険まで含めて相談相手が欲しい |
| 強み | 自社の裁量で進められ、社内にノウハウが残る | 抜けや誤解を平時に洗い出しやすく、進め方の当たりを付けやすい |
| 注意点 | 対象要件・記述の論点・スケジュール逆算をすべて自力で担う | 支援範囲や相談先の性格(誰が・どこまで見るか)を事前に確認する必要がある |
| 資金・保険の観点 | 復旧資金と保険金請求の実務まで自社で紐づける必要がある | 保険代理店の知見を踏まえ、資金面と保険の論点を同時に確認しやすい |
無料の策定支援と、費用のかかる作成代行は別物です。それぞれの見極め方は、事業継続力強化計画の無料支援|相談先の選び方と、ジギョケイ作成代行の費用と支援範囲|無料支援との違いで詳しく扱っています。判断に迷う場合は、対象確認と復旧資金の二点を自社だけで詰めきれるかを基準にすると分かりやすいでしょう。
保険に入っていても計画が必要な理由
検討段階でよく聞かれるのが、損害保険に入っているから計画は不要ではという誤解です。ここには、当社が保険代理店として日々向き合っている情報量の差があります。保険と計画は代替関係ではなく、役割が違います。日本損害保険協会の中小企業向け調査でも、損害保険への加入と、事業継続力強化計画の申請・認定取得とは、別々の対策として区別して捉えられています。保険に入っていることと、有事に保険金を実際に受け取れる状態にあることは、同じではありません。
保険金は自動では支払われません。保険契約があっても、被保険者側から、対象となる事故・損害・金額・因果関係・発生時期を示す資料を提出することが求められます。平時に何を記録・整理しておくかで、有事の請求のしやすさが大きく変わります。
では、平時に何を残しておけばよいのか。有事の請求で問われるのは、事故が起きた事実、損害の内容、金額、事故と損害の因果関係、発生の時期、そして免責事由に当たらないことです。これらを後から示せるよう、次の資料を平時からそろえておくと請求が滞りにくくなります。
| 立証したい論点 | 平時に残す記録 |
|---|---|
| 何が補償対象か・免責でないか | 保険証券、補償範囲と免責条件の分かる約款・設計書の控え |
| 損害の対象と金額 | 対象資産の写真・台帳・取得価額の分かる書類、被害後の修理・復旧見積書 |
| 因果関係と発生時期 | 被害直後の日付入り写真、気象・被災の記録、発生を裏づける社内報告や連絡履歴 |
| 休業損害の金額 | 売上台帳、月次の固定費が分かる資料、決算書類 |
保険金請求の現場では、証券に書かれている補償名だけで結論が出るわけではありません。たとえば同じ水害でも、建物・設備・在庫・休業損害のどこに損害が出たか、直接の原因が何か、復旧に要した費用が通常必要な範囲かによって、確認すべき資料は変わります。計画段階で重要業務と資産を結びつけておくと、事故後に「何を撮影し、どの帳票を出し、どの見積りを取るか」を迷いにくくなります。
これらが散逸していると、損害があったこと自体は事実でも、金額や因果関係を示せず請求が滞ることがあります。とりわけ、被害直後に日付の分かる写真を残せていないと、後から発生時期や範囲を立証しにくくなります。事業継続力強化計画で重要業務とリスクを棚卸しする作業は、この説明の材料を先にそろえる作業と自然に重なります。制度書類づくりを、有事に保険金を説明できる状態づくりまで一続きで設計できる点に、保険代理店の知見が生きます。どの証券のどの条項が効くか、免責に触れないためにどの記録が要るかまで踏み込めるのは、契約の内実を扱う代理店ならではです。中小企業を取り巻くリスクと対策の実態は日本損害保険協会の調査でも継続的に公表されています。
申請手順とスケジュールをどう逆算するか
進める判断が固まったら、いよいよ手続きです。中小企業庁の申請方法ページでは、事業継続力強化計画の申請は原則として電子申請とされ、電子申請にはgBizIDプライムが必要で、その取得には約2週間程度を見込む旨が示されています。さらに、申請から認定までの標準処理期間は約45日とされています。つまり、gBizIDの取得、計画の作成、審査を足し合わせ、認定を受けたい時期から逆算して着手日を決めるのが現実的です。補助金の締切などこの日までに認定が要るという事情があるなら、なおさら早めの着手が要になります。
| 段階 | 目安 | この段階ですること |
|---|---|---|
| gBizIDプライム取得 | 約2週間程度 | 電子申請の前提。印鑑証明書などが必要になるため最初に着手する |
| 社内ヒアリング | 数日〜数週間 | 重要業務・想定リスク・初動の役割を関係部署から聞き取り、優先順位を決める |
| 保険証券の確認 | 数日 | 加入中の証券・補償範囲・免責を洗い出し、復旧資金の回収見込みと突き合わせる |
| 計画の作成・申請 | 社内状況による | 整理した中身を様式へ落とし込み、電子申請システムから提出する |
| 審査(標準処理期間) | 約45日 | 認定希望時期から逆算して申請日を確定する |
| 認定後の実行 | 最大3年 | 実施期間は最長3年。備えを実行し、継続時は新たな計画として再申請する |
時系列で見ると、まず時間のかかるgBizIDプライムの取得を先頭に置き、その待ち時間の間に社内ヒアリングと保険証券の確認を並行して進めると、全体が詰まりません。ヒアリングで重要業務とリスクを固め、証券の確認で復旧資金の回収見込みを押さえてから様式へ落とし込むと、記述が一般論に流れず自社の実態に沿います。電子申請は事業継続力強化計画電子申請システムから行います。具体的な入力の流れとgBizIDの準備は事業継続力強化計画の申請方法|GビズIDと手順、実施期間と逆算の考え方は事業継続力強化計画の期間|認定45日と逆算手順で詳しく扱っています。
認定後に使える措置と注意点
認定を受けると、いくつかの支援措置の入口に立てます。ただし、いずれも認定さえあれば自動で受けられるものではなく、それぞれの制度要件を満たすことが前提です。ここは期待を保証としてではなく、確認すべき論点として押さえてください。
代表的な措置は三つです。第一に税制で、認定計画に基づく設備投資について中小企業防災・減災投資促進税制の特別償却が示されています。ただし対象設備・取得時期・認定時期などの条件があり、認定より前に取得した設備が対象外になるなど、時期の前後で扱いが変わります。適用の可否は個別事情で変わるため、税務の取り扱いは必ず税理士など専門家にご確認ください。第二に金融支援で、日本政策金融公庫の融資や信用保証などの措置が用意される場合があります。第三に補助金の加点で、ものづくり補助金などで認定が加点対象となる場合があります。いずれも制度側の要件と募集回次で扱いが変わるため、最新の公募要領で確認する姿勢が必要です。
だからこそ、認定を目的化せず、自社がねらう措置ごとに要件を先に確認しておくことが大切です。無料相談の場では、ねらう補助金の加点区分と締切に自社の認定時期が間に合うか、税制の対象設備と取得予定時期が要件の前後関係に収まるか、金融支援を使うなら想定する資金使途と条件が合うか、といった論点を具体的に突き合わせておくと、認定後に慌てずに済みます。あわせて忘れやすいのが、認定後の運用です。計画は作って終わりではなく、実施期間中に備えを実行し、必要に応じて見直します。更新・再申請や実施状況報告の実務は事業継続力強化計画の更新|再申請と実施報告で整理しています。
検討の前に整理しておきたい観点
自社で進めるにせよ、無料の策定支援に相談するにせよ、次の観点で現状を見渡しておくと、検討が具体的になります。すべてが分かっていなくてもかまいません。整理できていない段階でも、那由他保険テクノロジーズが論点を一つずつ一緒にほどいていきますので、気になった時点でお気軽にご相談ください。
- 自社が中小企業者等の対象要件に当てはまるかの確認メモ(業種・資本金・従業員規模)
- 認定を受けて達成したい主目的(補助金加点・税制の活用余地・防災体制の整備・取引先説明など)
- 止まると困る重要業務と、現実的に想定する主なリスク(自然災害・設備故障・供給停止など)と過去のヒヤリ事例
- 災害時に必要になりそうな復旧資金のざっくりした見込みと、調達手段(保険・融資・自己資金)の当たり
- 現在加入している損害保険の証券・補償範囲・免責の条件
- gBizIDプライムの取得状況(未取得なら取得予定日)
- 認定を目指したい時期と、そこから逆算した申請目標日
対象確認や書き方の要点は分かったが、復旧資金や保険金請求まで含めて誰かと確認しながら進めたい。そう感じたら、無料の策定支援で進め方を整理するのも選択肢です。当社は保険代理店としての知見を踏まえ、対象判定・重要業務・復旧資金・保険金の説明資料・gBizIDと認定希望時期の逆算までを一緒に確認し、有事に保険金を説明できる状態づくりまで見据えて相談に応じます。
那由他保険テクノロジーズによる復旧資金と保険証券の照合
対象要件の確認、重要業務と想定リスクの棚卸し、gBizIDの取得から認定希望時期の逆算までは、様式と一次情報をたどれば自社で進められます。残りやすいのは、契約の中身を見ないと決められない二点です。第一に、見込んだ復旧資金のうち、現在加入している損害保険でどこまで回収が見込めるのか。第二に、計画に書く重要業務と想定リスクが、証券の保険の対象・補償条項・免責事由と噛み合っているのか。この二点は、認定の様式を埋めても埋まりません。
那由他保険テクノロジーズは、法人のリスク診断と、保険プログラムの見直しを行っています。事業継続力強化計画の検討では、計画の様式作成や電子申請そのものではなく、その前提になる保険契約側の確認を担当し、財物と事業中断(休業損害)を軸に現契約と事業実態のずれを整理します。
具体的には、次の資料を並べて照合し、計画の復旧資金欄に書く金額の根拠と、契約側で手当てが要る箇所を分けて整理します。
- 計画に書く重要業務と、保険証券の「保険の対象」の記載(建物・設備・什器・在庫・データなど)を並べ、対象に含まれていない資産を特定する
- 想定リスク(地震・水害・停電・設備故障・供給停止)ごとに、補償条項・免責事由・除外・水災や地震の担保有無・支払限度額・免責金額(自己負担額)を確認する
- 休業損害は、約定復旧期間(てん補期間)・給付の算定基礎・対象となる固定費の範囲を、月次の固定費と粗利益が分かる資料と照らし、休業何か月分が回収見込みかを概算する
- 回収見込みを差し引いた残額を、融資枠と自己資金でどの順に充てるかを書き出す
- 有事の説明材料(対象資産の写真、取得価額の分かる書類、被害直後の日付入り記録、売上と月次固定費が分かる資料)について、保管場所と担当部署を決める
証券や設計書だけでは読み取れない特約の適用範囲や引受条件は、保険会社への照会事項として書き出し、回答を待って判断します。実際の保険金の支払可否と金額は事故発生後の保険会社の確認によるため事前に結論を保証するものではなく、保険料の削減余地や補償の適正化も分析・比較・設計の支援として行います。税制の適用可否は税理士、認定の可否は中小企業庁の審査によります。照合の結果、現在の補償で足りると分かれば、契約を変更しない判断もそのまま整理します。復旧資金と証券の突き合わせを含めて進め方を確認したい場合は、下記の相談窓口からお進みください。
よくある質問
事業継続力強化計画は何のための制度ですか?
中小企業庁は、事業継続力強化計画を、中小企業者等が策定する防災・減災の事前対策計画として認定する制度と説明しています。自然災害や設備故障などのリスクを洗い出し、平時の備えと初動対応を計画書にまとめて電子申請し、認定を受ける仕組みです。
認定を受けている企業はどのくらいありますか?
中小企業庁「地域別認定件数一覧」(2026年7月17日更新)では、2026年6月末時点の累計認定件数は100,864件とされています。年々積み上がっており、取り組みを進める中小企業が幅広く広がっていることがうかがえます。
申請から認定までどのくらいかかりますか?
中小企業庁の申請方法ページでは、申請から認定までの標準処理期間は約45日とされています(2026年7月時点)。加えて電子申請にはgBizIDプライムが必要で、取得に約2週間程度を見込む旨が示されているため、認定希望時期から逆算した準備が現実的です。
認定を受けると具体的にどんな効果が期待できますか?
認定計画に基づく設備投資では、中小企業防災・減災投資促進税制として2026年7月時点で特別償却16%の措置が示されているほか、金融支援や補助金の加点の入口となる場合があります。いずれも対象設備・取得時期・認定時期や各制度の要件確認が前提で、適用可否は個別にご確認ください。
保険に入っていれば計画づくりは不要ではないですか?
保険契約があっても、保険金は自動では支払われません。被保険者側から、対象となる事故・損害・金額・因果関係・発生時期を示す資料の提出が求められます。計画づくりは、この資料を平時から準備する作業と重なるため、保険加入と計画は代替関係ではありません。
計画の実施期間や更新はどうなりますか?
計画の実施期間は最長3年です。満了後も続ける場合は新たな計画として申請し、2回目以降は実施状況報告書などの対応も論点になります。作って終わりではなく、実施期間中に備えを実行し、必要に応じて見直すことが想定されています。
自社で進めるべきか、支援に相談すべきか迷っています。
対象確認や書類の要点が把握でき、社内に担当時間を確保できるなら自社での作成も選択肢です。一方、初めてで論点を整理したい、災害時の復旧資金や保険まで含めて確認したい、社内リソースが限られるといった場合は、無料の策定支援に相談し、進め方を決める方法があります。
参考一次情報・公的資料
- 中小企業庁「事業継続力強化計画」
- 中小企業庁「事業継続力強化計画の申請方法等について」
- 中小企業庁「地域別認定件数一覧」
- 中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」
- 事業継続力強化計画電子申請システム
- GビズID
- 関東経済産業局「リスクファイナンス判断シート」
- 日本損害保険協会「中小企業を取り巻くリスクに対する意識・対策実態調査」
制度・税制・件数・処理期間などの数値は各一次情報の更新により変わり得ます。申請時は原則として最新の公的情報をご確認ください。
情報確認日:2026年8月3日
執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年8月3日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。補償範囲、引受可否、保険料、保険金支払は、商品・約款・契約条件・個別事情により変わります。制度要件、補助金、税制、融資の適用可否も最新の公表情報や個別事情によります。法務・税務・労務・会計の判断は、必要に応じて専門家へご確認ください。