
事業継続力強化計画は、中小企業者等が自然災害・感染症・設備故障などのリスクに備える事前対策をまとめ、経済産業大臣(中小企業庁)が認定する制度です。この記事は、はじめて検討する経営者・総務経理・管理部門に向けて、①自社は対象に当たるか、②何のために申請するか、③様式に何を書くか、④自社で進めるか支援を使うか、⑤いつ申請すれば間に合うか、⑥認定後に何をするか——この六つを順に決められるよう整理します。あわせて、様式を埋めるだけでは埋まらない「必要な復旧資金と、いま加入している保険証券のずれ」を、保険・融資・自己資金の三層に分けて確認する手順まで踏み込みます。読み終えたときに、着手日と、自社で詰められる範囲・誰かと確認したい範囲が分かれている状態を目標にしています。
Summaryこの記事のポイント
- 進め方は「対象確認 → 申請目的 → 記載内容 → 自作か支援か → 申請日 → 認定後の運用」の順に決めると迷いません。
- 累計認定件数は100,864件(2026年6月末時点)、申請から認定までの標準処理期間は約45日。認定希望時期から逆算すると着手日が決まります。
- 様式を埋める前に復旧資金を見える化します。必要額を概算し、保険・融資・自己資金の三層に分けて置くと、有事の意思決定が速くなります。
- 保険金は自動では支払われません。計画で重要業務と資産を棚卸しする作業は、有事に自社で損害を説明する材料づくりと重なります。
本記事の制度・件数・処理期間・税制の記述は、中小企業庁「事業継続力強化計画」「申請方法等について」「地域別認定件数一覧」「認定制度の概要」、電子申請の前提となるGビズIDの公表内容に基づきます。中小企業者等の規模区分は、中小企業基本法に基づく中小企業庁の定義によります。保険と対策の実態は日本損害保険協会「中小企業のリスク意識・対策実態調査2025」を参照し、資金面の備えを自社で点検する公開資料として関東経済産業局「リスクファイナンス判断シート」を挙げています。数値は各一次情報の更新で変わり得るため、申請時は最新の公表内容をご確認ください。
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事業継続力強化計画とは何を認定する制度か
中小企業庁は、事業継続力強化計画を、中小企業者等が策定する防災・減災の事前対策計画として認定する制度と説明しています。自然災害・感染症・設備故障・供給停止といったリスクを洗い出し、被害を抑える平時の備えと、発災直後の初動対応を計画書としてまとめ、電子申請して認定を受ける、という枠組みです。数十ページの大部の文書を求めるものではなく、想定リスク・初動・平時の備え・推進体制という論点を、自社の規模と実態に合わせて記述する形が中心になります。
累計で100,864件という規模は、この取り組みが特別な大企業向けではなく、幅広い中小企業に広がってきた事実を示しています。ただし、件数の多さは「自社も自動的に該当する」という意味ではありません。認定を受けること自体を目的にせず、有事に事業を止めない備えを平時に用意し、その成果として認定という外形が残る、という順序で読み進めてください。この順序で捉えると、後半で扱う復旧資金や保険証券の確認が、なぜ様式作成と同じ重さを持つのかが見えてきます。
BCPとの違いと本記事の位置づけ
よく混同されるBCP(事業継続計画)との関係でいえば、事業継続力強化計画ははじめの一歩に当たります。詳細な復旧手順まで作り込むBCPが「中身」だとすれば、事業継続力強化計画は、まず取り組むべき備えを国の様式に沿って整理し、認定という形にする「入り口」です。両者は対立するものではなく、認定計画で骨格を固め、重要業務や復旧資金をBCPの発想で肉付けしていく階段の関係にあります。定義と使い分けの詳細は事業継続力強化計画とは?BCPとの違いと使い方で整理しています。本記事は、その入り口から認定後の運用までを一本の手順としてつなぐことに主眼を置きます。
自社は対象か、何のために申請するか
制度の輪郭がつかめても、最初に立ち止まるのは「そもそも自社が対象なのか」という点です。そしてもう一つ、対象確認と同じくらい先に決めておきたいのが申請目的です。この二つが決まると、書き込む粒度も、社内で確保すべき時間も、逆算すべき締切も自動的に絞り込まれます。
中小企業者等の判定は業種ごとに基準が異なる
事業継続力強化計画は中小企業者等を対象とした制度で、業種ごとに定められた資本金・従業員規模の基準によって、中小企業者に当たるかどうかを判定します。同じ従業員数でも、製造業・建設業と、卸売業・小売業・サービス業とでは基準が異なるため、規模の印象だけで「小さいから対象外」と早合点しないことが大切です。業種区分ごとの基準は、おおむね次のとおりです。
| 業種区分 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員の数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業(政令で範囲を拡張) | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業(政令で範囲を拡張) | 5,000万円以下 | 200人以下 |
読み方で押さえておきたいのは、資本金と従業員数はいずれか一方の基準を満たせば該当するという点です。従業員数が基準を超えていても資本金が収まっていれば中小企業者に当たり得るため、片方だけを見て対象外と判断しないでください。また、表に挙げたソフトウェア業・情報処理サービス業や旅館業のほか、ゴム製品製造業(一部を除く)のように、政令で基準が広げられている業種があります。これらは中小企業基本法に基づく区分で、法令改正により変わり得るため、申請時は中小企業庁の最新の公表内容でご確認ください。
個人事業主であることだけを理由に外れるわけでもありません。まずは自社の業種区分を確認し、そのうえで基準に照らします。業種別の考え方と判定手順は事業継続力強化計画の対象企業とは?申請前の確認で詳しく扱っています。
単独型か連携型か
申請形態は、自社単独で事前対策を計画する単独型と、取引先や地域の他社と共同で取り組む連携型に分かれます。ここでよくある誤解は「連携先がないから対象外」というものですが、単独型という選択肢がある以上、連携先の有無が該当・非該当を決めるわけではありません。自社内の設備・人員・資金の備えが中心なら単独型が素直で、社内調整だけで着手できます。逆に、特定の仕入先や委託先が止まると自社も止まる、という相互依存が事業停止の主因になり得る場合は、連携型を検討する余地があります。連携型は合意形成の時間が要るため、締切がある場合は逆算に含めてください。
申請目的で準備物が変わる
目的は実務上おおむね次の四つに分かれ、どれを主目的にするかで、先にそろえる材料と締切の性格が変わります。
| 主目的 | 先にそろえる材料 | 締切の性格 |
|---|---|---|
| 補助金の加点 | ねらう補助金の公募要領と加点区分、認定希望時期の確定 | 公募締切という動かせない期限。締切前に認定が下りる着手日を確保する |
| 税制の活用余地 | 導入予定設備の見積・仕様、取得予定時期、税理士への確認 | 対象設備・取得時期・認定時期の前後関係で適用可否が変わる |
| 社内BCP・防災体制の整備 | 重要業務の棚卸し、想定リスク、初動の役割分担 | 締切に縛られにくく、内容の実効性に時間を割ける |
| 取引先・元請への説明 | 認定の事実を示す資料、供給継続の考え方の整理 | 先方が求める体制水準と提出時期に合わせる |
四つのうち、動かせない期限に縛られるのは補助金の加点と税制の活用余地の二つです。この二つは認定時期との前後関係が着手日を決めるため、目的がここにあるなら真っ先に逆算に入ります。社内の防災体制整備と取引先への説明は締切に追われにくい分、記述の深さを自社の判断で決められます。対象であることと、いま取り組む理由があることは別です。最優先の目的を一つ決めておくと、以降の判断がぶれません。
様式を書く前に決める3つの中身
様式を開く前に、社内で固めておきたい中身が三つあります。守る重要業務、想定するリスク、そして復旧資金です。この三つが曖昧なまま欄を埋めようとすると一般論の作文になり、有事に使えない計画になりがちです。逆に、ここが自社の言葉で決まっていれば、記述作業は一気に速くなります。
| 決める中身 | 問い | アウトプット例 |
|---|---|---|
| 守る重要業務 | 止まると最も影響が大きい業務はどれか。何日以内に再開したいか | 主力製品の受注・生産・出荷、基幹システム、決済業務など、優先順位を付けた一覧 |
| 想定するリスク | 立地・業種から現実的に起こり得る事象は何か | 地震・水害・停電・設備故障・感染症・仕入先の供給停止と、過去のヒヤリ事例 |
| 復旧資金と備え | 止まったとき、いくら必要でどこから調達するか | 設備の再取得費、休業中の固定費、保険で回収できる範囲、融資枠、自己資金の順序 |
重要業務は業種で置き方が変わる
難しいのは、重要業務の置き方が業種によって大きく変わる点です。製造業なら、特定の生産ラインや金型・治具、限られた仕入先からの部材が止まると出荷全体が止まるため、設備と調達の代替性が焦点になります。建設業では、現場そのものより、施工管理・安全管理を担う人と、工程を左右する重機・資材の確保、発注者への連絡体制が生命線です。飲食店なら、冷蔵・冷凍設備の停止による在庫の毀損と、店舗が使えない期間の売上消失が直撃するため、食材ロスと休業損害の両面を見ます。IT・受託業務では、物理的な被災よりサーバー・データ・開発環境と、納期を抱えた顧客への影響が重く、バックアップと連絡手段の確保が中心になります。同じ様式でも、どこが止まると事業が回らないかは業種ごとに違うため、他社の記載例を写すのではなく、自社で止まって困る順に並べることが出発点です。リスクは、自治体のハザードマップや過去の被災・トラブルの記憶を手がかりに、立地と業種から現実的なものへ落とし込みます。欄ごとの記載論点は事業継続力強化計画の書き方|認定で見られる項目で扱っています。
復旧資金を先に見える化する理由
三つ目の復旧資金は、最も後回しにされやすく、かつ有事に効いてくる論点です。設備が壊れても、売上が途絶えても、給与・仕入・家賃の支払いは続きます。私たちが相談をうかがう場面でも、お金が要ること自体は分かっているものの、いくら要るかまでは決めていない、という状態は珍しくありません。この空白は様式の欄を埋めるだけでは埋まらないため、記述に入る前に金額の輪郭を出しておきます。資金面の備えを自社で点検する公開資料としては、関東経済産業局のリスクファイナンス判断シートも参考にできます。
保険・融資・自己資金の三層で置く
復旧資金は、損害保険で回収できる部分、金融機関からの融資でつなぐ部分、手元の自己資金で賄う部分の三層に分けると整理しやすくなります。三層に分ける利点は、金額の正確さより順序が決まることにあります。休業期間中も人件費・家賃・リースなどの固定費は出続けるため、売上がゼロでも何か月持ちこたえられるか、という運転資金の視点が欠かせません。どこまでを保険に寄せ、どこから融資と自己資金で持つのかを平時に決めておくと、被災後に「結局どこからお金が出るのか」で止まらずに済みます。
概算の置き方
実務では、次の順で置くと必要額の輪郭が見えてきます。第一に、被災した設備を再取得するといくらかを、固定資産の一覧や過去の取得額から粗く見積もります。第二に、休業中の固定費が月いくらかを出し、想定する復旧期間の月数を掛けます。第三に、その合計から、現在加入している損害保険で回収が見込める部分を差し引きます。第四に、残った金額を融資枠と自己資金にどの順で充てるかを書き出します。この四段階で出した数字を、そのまま様式のカネの欄の根拠として使えます。精緻な金額でなくてかまいません。桁と順序が決まっているかどうかが、有事の意思決定の速さを分けます。
保険に入っていても計画が必要な理由
検討段階でよく聞かれるのが、損害保険に入っているから計画は不要ではないか、という誤解です。日本損害保険協会「中小企業のリスク意識・対策実態調査2025」では、リスクへの対策として「損害保険への加入」を挙げた企業が55.5%、「事業継続力強化計画の申請・認定取得」が9.0%と、それぞれ別の対策として集計されています。保険と計画は代替関係ではなく、役割が違います。保険に入っていることと、有事に保険金を実際に受け取れる状態にあることも、同じではありません。
保険金は自動では支払われません。保険契約があっても、被保険者側から、対象となる事故・損害・金額・因果関係・発生時期、そして免責事由に当たらないことを示す資料を提出することが求められます。保険会社はその資料と約款、必要な現地確認を踏まえて支払可否と損害額を判断します。平時に何を記録・整理しておくかで、有事の請求のしやすさが大きく変わります。
では、平時に何を残しておけばよいのか。有事の請求で問われる論点と、その裏づけになる記録は、おおむね次のように対応します。
| 立証したい論点 | 平時に残す記録 |
|---|---|
| 何が補償対象か・免責でないか | 保険証券、補償範囲と免責条件の分かる約款・設計書の控え |
| 損害の対象と金額 | 対象資産の写真・台帳・取得価額の分かる書類、被害後の修理・復旧見積書 |
| 因果関係と発生時期 | 被害直後の日付入り写真、気象・被災の記録、発生を裏づける社内報告や連絡履歴 |
| 休業損害の金額 | 売上台帳、月次の固定費が分かる資料、決算書類 |
ここで注目したいのは、この表の右側が、事業継続力強化計画の作成で行う棚卸しとほとんど重なることです。重要業務を挙げれば、それを支える資産の一覧が必要になります。想定リスクを挙げれば、どの災害でどの資産が損なわれるかが具体化します。復旧資金を三層に置けば、売上と固定費の資料に一度は目を通すことになります。つまり計画づくりは、制度書類の作成であると同時に、有事に自社で損害を説明するための材料づくりでもあります。この二つを別々の作業として二度やる必要はありません。認定後の証券点検の進め方は事業継続力強化計画の保険見直し|認定後に証券と補償の空白を点検で具体化しています。
記載内容を様式へ落とす順序
ここまでで決めた中身を、様式の骨格に沿って並べ替えます。様式は大きく、自社のリスク認識 → 発災直後の初動対応 → ヒト・モノ・カネ・情報の備え → 平時の推進体制、という流れで構成されています。この順に書くと、前の欄が次の欄の前提になるため、記述が自然につながります。
リスク認識の欄には、立地と業種から絞り込んだ想定リスクを書きます。初動対応の欄は、誰が最初に安否を確認し、どの連絡手段を使い、どの時点で取引先へ一報を入れるかまで落とすと、実際に発動できる記述になります。ヒトの欄は安否確認と役割分担、モノの欄は重要設備の保全と代替、情報の欄はデータのバックアップと連絡手段、というように対応します。そしてカネの欄には、前章で出した復旧資金の三層をそのまま書きます。設備の再取得と休業中の固定費の見込み、保険で回収が見込める部分、残りを融資と自己資金でどう埋めるか——この順に書けば、様式の欄がそのまま自社の資金計画になります。最後の推進体制の欄では、計画を誰が管理し、いつ見直すかを決めます。各欄の書き分けは書き方の解説を、証券側との突き合わせは保険見直しの記事を併読すると、記述が一般論に流れにくくなります。
自社作成・無料支援・有料代行をどう選ぶか
中身の当たりが付いたら、次はどう進めるかです。選択肢は大きく四つあり、どれが優れているという話ではありません。社内で確保できる時間、締切までの余裕、資金や保険まで踏み込みたいかによって、最適解が変わります。
| 観点 | 自社で進める | 公的窓口・中小機構の無料支援 | 那由他の無料策定支援 | 有料の作成代行 |
|---|---|---|---|---|
| 向く状況 | 対象確認と記述の要点を把握済みで、社内に担当時間を確保できる | まず制度の概要と書き方の当たりをつけたい | 復旧資金と保険まで含めて確認しながら進めたい | 社内で着手する時間がどうしても取れない |
| 強み | 自社の裁量で進められ、ノウハウが社内に残る | 一次情報に沿った一般的な助言を無料で受けられる | 証券の中身を踏まえて資金面の論点を同時に確認できる | 作業工程を肩代わりしてもらえる |
| 支援に含む範囲 | すべて自社 | 制度の概要説明と書き方の一般的な助言 | 対象確認・申請目的・重要業務・想定リスク・復旧資金の整理と、保険証券との照合 | 契約した工程(下書き作成・申請前チェックなど) |
| 含まない範囲 | — | 契約の中身の確認は扱わないことが多い | 計画様式の記入代行と、電子申請システムの操作 | 契約範囲外の工程は追加費用になる場合がある |
| 注意点 | 対象要件・記述・逆算をすべて自力で担う | 支援範囲や継続的な伴走の有無は窓口により異なるため要確認 | 申請の主体は自社。認定の可否を保証するものではない | 費用が発生し、対応範囲は契約次第 |
| 資金・保険の扱い | 復旧資金と保険金請求の実務まで自社で紐づける | 計画づくり中心で、契約の中身までは扱わないことが多い | 財物・休業を軸に、現契約と事業実態のずれを整理する | 範囲は契約次第で、証券の確認を含まない場合がある |
有料の作成代行は、必須の選択肢ではありません。社内の着手時間が取れないときに工程を補う手段として位置づけると、費用の判断に無理がなくなります。まずは無料で相談し、どこまで自走できそうかを確かめてから、足りない工程だけを補う順番が現実的です。無料で使える公的な入口としては、商工会議所・商工会・よろず支援拠点のほか、中小機構のBCPはじめの一歩があります。判断に迷うときの基準はシンプルで、対象確認と復旧資金の二点を自社だけで詰めきれるかどうかです。この二点が自力で埋まるなら自社作成で十分進みます。相談先ごとの見極め方は事業継続力強化計画の無料支援|相談先の選び方、有料代行との線引きはジギョケイ作成代行の費用と支援範囲|無料支援との違いで整理しています。
申請手順とスケジュールの逆算
進め方が決まったら、手続きです。事業継続力強化計画の申請は原則として電子申請で、事業継続力強化計画電子申請システムから提出します。電子申請にはgBizIDプライムが前提となるため、まずここから着手します。
gBizIDは取得経路で日数が変わる
GビズID公式の案内では、マイナンバーカードを使うオンライン申請は最短で即日、印鑑証明書を郵送する書類申請は申請から審査・アカウント発行まで最大1か月とされています(書類申請の期間は2026年7月に改められました)。どちらの経路で取るかを先に決めないと逆算そのものが定まらないため、着手の最初にここを決めます。急ぐ場合はオンライン申請が有利です。また、gBizIDプライムには発行日から2年3か月の有効期限が設けられているため、すでに取得済みの場合も、期限切れになっていないかを申請前に確認してください。
| 段階 | 目安 | この段階ですること |
|---|---|---|
| gBizIDプライム取得 | オンライン申請は最短即日/書類申請は最大1か月 | 電子申請の前提。取得経路を先に決め、最初に着手する |
| 社内ヒアリング | 数日〜数週間 | 重要業務・想定リスク・初動の役割を関係部署から聞き取り、優先順位を決める |
| 保険証券の確認 | 数日 | 加入中の証券・補償範囲・免責を洗い出し、復旧資金の回収見込みと突き合わせる |
| 計画の作成・申請 | 社内状況による | 整理した中身を様式へ落とし込み、社内承認を経て電子申請する |
| 審査(標準処理期間) | 約45日 | 認定希望時期から逆算して申請日を確定する |
| 認定後の実行 | 最大3年 | 実施期間は最長3年。備えを実行し、継続時は新たな計画として再申請する |
時系列で見ると、まずgBizIDプライムの取得を先頭に置き、その待ち時間に社内ヒアリングと保険証券の確認を並行させると、全体が詰まりません。ヒアリングで重要業務とリスクを固め、証券の確認で復旧資金の回収見込みを押さえてから様式へ落とし込むと、記述が一般論に流れず自社の実態に沿います。もう一つ、逆算で忘れやすいのが差し戻し(修正依頼)の時間です。記載内容に確認が必要な場合、修正の依頼が入ることがあり、その分だけ全体の所要時間が延びます。標準処理期間の約45日は目安であり短縮できるものではないため、余裕を持たせるとすれば、この修正対応と社内承認の部分です。入力の流れは事業継続力強化計画の申請方法|GビズIDと手順、日数の逆算は事業継続力強化計画の期間|認定45日と逆算手順で詳しく扱っています。
認定後に使える措置と、認定後の運用
認定を受けると、いくつかの支援措置の入口に立てます。ただし、いずれも認定さえあれば自動で受けられるものではなく、それぞれの制度要件を満たすことが前提です。期待を保証としてではなく、確認すべき論点として押さえてください。
税制:時期の前後関係が要件になる
中小企業防災・減災投資促進税制では、特別償却16%の措置が示されています。実務で効いてくるのは時期の前後関係です。対象設備は計画の認定後に取得することが要件で、認定を受けた日から1年を経過する日までの取得等が対象になります。また適用期間は令和9年(2027年)3月31日までとされ、この期間内に対象設備を取得または製作もしくは建設し、事業の用に供する必要があります。設備投資を起点に逆算する場合は、この二つの期限が実質的な締切になります。適用の可否は個別事情で変わるため、税務上の取り扱いは税理士など専門家にご確認ください。
金融支援・補助金加点は各制度の要件と公募回次次第
金融面では、日本政策金融公庫の融資や信用保証などの措置が用意される場合があります。補助金では、ものづくり補助金などで認定が加点対象となる場合があります。いずれも制度側の要件と募集回次で扱いが変わるため、ねらう制度の最新の公募要領で、加点区分と締切、自社の認定時期が間に合うかを先に突き合わせておくと、認定後に慌てずに済みます。
実施期間は最大3年、満了後は新たな計画として申請
計画の実施期間は最大3年です。満了後も取り組みを続ける場合は、新たな計画として申請し直します。2回目以降は、前の期間に何をどこまで実施したかを示す実施状況報告書の内容も論点になるため、初回から実施の記録を残しておくと更新がスムーズです。更新と再申請の実務は事業継続力強化計画の更新|再申請と実施報告で整理しています。認定を目的化せず、ねらう措置ごとに要件を先に確認する——この姿勢が、認定後の運用まで含めた成果を分けます。
相談のなかで一緒に確認していく観点
ここまでの論点が整理できていない段階でも、相談を始めていただいてかまいません。むしろ、何から手をつけるか決まっていない状態からご相談いただくほうが、順序を含めて一緒に組み立てられます。那由他保険テクノロジーズでは、次の観点をお話をうかがいながら一つずつ埋めていきます。
- 対象該当(業種区分と規模の基準に照らした自社の位置)
- 単独型か連携型か(相互依存が事業停止の要因になり得るか)
- 認定を受けて達成したい主目的(補助金加点・税制・社内BCP・取引先説明)
- 止まると困る重要業務と、立地・業種から現実的に想定するリスク
- 復旧資金の概算(設備の再取得+休業中の固定費×月数)と、保険・融資・自己資金の内訳
- 現在加入している損害保険の証券・補償範囲・免責の条件
- gBizIDプライムの取得状況と、オンライン申請・書類申請どちらの経路で取るか
- 認定を目指したい時期と、そこから逆算した申請目標日
この整理を終えると、相談後には三つのことが決まります。第一に、認定希望時期から逆算した申請着手日。第二に、復旧資金の三層——保険で回収が見込める部分、融資でつなぐ部分、自己資金で持つ部分——のおおまかな内訳。第三に、いまの契約のままで足りる箇所と、証券側で手当ての検討が要る箇所の切り分けです。この三つが手元にあれば、様式の記述も、社内での説明も、格段に進めやすくなります。
那由他保険テクノロジーズが復旧資金と保険証券の照合でご支援できること
対象要件の確認、重要業務と想定リスクの棚卸し、gBizIDの取得から認定希望時期の逆算までは、様式と一次情報をたどれば自社で進められます。無料の公的窓口を使う手もあります。そのうえで残りやすいのは、契約の中身を見ないと決まらない二点です。第一に、見込んだ復旧資金のうち、現在加入している損害保険でどこまで回収が見込めるのか。第二に、計画に書く重要業務と想定リスクが、証券の「保険の対象」・補償条項・免責事由と噛み合っているのか。この二点は、認定の様式を丁寧に埋めても埋まりません。
那由他保険テクノロジーズは、法人のリスク診断と保険プログラムの見直しを行っています。事業継続力強化計画の検討では、様式の作成や電子申請そのものではなく、その前提になる保険契約側の確認を担当し、財物と事業中断(休業損害)を軸に、現契約と事業実態のずれを整理します。具体的には、次の手順で資料を並べ、計画の復旧資金欄に書く金額の根拠と、契約側で手当てが要る箇所を分けてお示しします。
- 計画に書く重要業務と、保険証券の「保険の対象」の記載(建物・設備・什器・在庫・データなど)を並べ、対象に含まれていない資産を特定する
- 想定リスク(地震・水害・停電・設備故障・供給停止)ごとに、補償条項・免責事由・除外・水災や地震の担保有無・支払限度額・免責金額(自己負担額)を確認する
- 休業損害は、約定復旧期間(てん補期間)・給付の算定基礎・対象となる固定費の範囲を、月次の固定費と粗利益が分かる資料と照らし、休業何か月分が回収見込みかを概算する
- 回収見込みを差し引いた残額を、融資枠と自己資金でどの順に充てるかを書き出す
- 有事の説明材料(対象資産の写真、取得価額の分かる書類、被害直後の日付入り記録、売上と月次固定費が分かる資料)について、保管場所と担当部署を決める
証券や設計書だけでは読み取れない特約の適用範囲や引受条件は、保険会社への照会事項として文言のまま書き出し、回答を待って判断します。この照合を経ると、計画のカネの欄に書く金額に根拠が生まれ、同時に「いまの契約で足りている箇所」と「更改月までに確認したい箇所」が分かれます。照合の結果、現状の補償で足りると分かれば、契約を変更しない判断もそのまま整理してお伝えします。見直し=増額とは限らず、重複や過剰が見つかれば組み替えで総額を抑えられることもあります。
なお、実際の保険金の支払可否と金額は事故発生後の保険会社の確認によるため事前に結論を保証するものではなく、保険料の削減余地や補償の適正化も、分析・比較・設計の支援として行うものです。税制の適用可否は税理士、認定の可否は中小企業庁の審査によります。所管の違いは最初にはっきりさせたうえで、保険側で決められることに集中します。何も整理できていない段階からで結構です。どこから手をつけるかを一緒に確かめるところから始めますので、お気軽にご相談ください。
無料策定支援に含むもの:対象確認・申請目的・重要業務・想定リスク・復旧資金(保険/融資/自己資金)の整理と、現在加入している保険証券との照合。
含まないもの:計画様式の記入代行と、電子申請システムの操作。申請の主体はお客様自身で、認定の可否を保証するものではありません。
よくある質問
事業継続力強化計画は何のための制度ですか?
中小企業庁は、事業継続力強化計画を、中小企業者等が策定する防災・減災の事前対策計画として認定する制度と説明しています。自然災害・感染症・設備故障などのリスクを洗い出し、平時の備えと発災直後の初動対応を計画書にまとめて電子申請し、認定を受ける仕組みです。認定は税制・金融支援・補助金加点の入口になり得ます。
自社が対象になるかは、どの基準で判定しますか?
業種区分ごとの「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する従業員の数」で判定し、いずれか一方を満たせば中小企業者に当たります。目安は、製造業・建設業・運輸業その他が3億円以下または300人以下、卸売業が1億円以下または100人以下、サービス業が5,000万円以下または100人以下、小売業が5,000万円以下または50人以下です。ソフトウェア業・情報処理サービス業、旅館業、ゴム製品製造業(一部を除く)のように政令で基準が広げられている業種もあります。法令改正で変わり得るため、申請時は中小企業庁の最新の公表内容でご確認ください。
認定を受けている企業はどのくらいありますか?
中小企業庁「地域別認定件数一覧」(2026年7月17日更新)では、2026年6月末時点の累計認定件数は100,864件とされています。年々積み上がっており、幅広い中小企業に広がっている状況がうかがえます。ただし件数の多さと自社の該当性は別で、業種ごとの基準で確認する必要があります。
申請から認定までどのくらいかかりますか?
申請から認定までの標準処理期間は約45日とされています。加えて電子申請にはgBizIDプライムが必要で、GビズID公式の案内では、マイナンバーカードを使うオンライン申請は最短で即日、郵送の書類申請は最大1か月とされています。取得経路によって起点が大きく変わるため、認定希望時期から逆算し、修正依頼への対応時間も見込んで着手日を決めてください。
認定で期待できる効果は何ですか?
認定計画に基づく設備投資について、中小企業防災・減災投資促進税制の特別償却16%が示されているほか、金融支援や補助金の加点の入口となる場合があります。税制は、対象設備を認定後に取得すること、認定日から1年を経過する日までの取得等であること、適用期間が令和9年3月31日までであることなどの要件確認が前提です。適用可否は個別事情で変わるため、税務の取り扱いは税理士へご確認ください。
保険に入っていれば計画は不要ではないですか?
保険契約があっても、保険金は自動では支払われません。対象となる事故・損害・金額・因果関係・発生時期・免責事由に当たらないことを示す資料の提出が求められ、保険会社がそれと約款に照らして判断します。計画づくりで重要業務と資産、復旧資金を棚卸しする作業は、この説明材料をそろえる作業と重なるため、保険加入と計画は代替関係ではありません。
実施期間と更新はどうなりますか?
計画の実施期間は最大3年です。満了後も取り組みを続ける場合は、新たな計画として申請し直します。2回目以降は実施状況報告書の内容も論点になるため、初回から実施の記録を残しておくと更新がスムーズです。作って終わりではなく、期間中に備えを実行し、必要に応じて見直す前提の制度です。
自社で進めるか、支援に相談するか迷っています。
対象確認と記述の要点を把握でき、社内に担当時間を確保できるなら自社作成で進められます。制度の概要をつかみたい段階なら、商工会議所・商工会・よろず支援拠点や中小機構「BCPはじめの一歩」といった無料の公的窓口が使えます。社内で着手する時間がどうしても取れない場合は有料の作成代行が選択肢になります。復旧資金や保険証券まで含めて確認したい場合は、那由他の無料策定支援でその部分を補う、という組み合わせ方が現実的です。
那由他の無料策定支援は、どこまでが範囲ですか?
含むのは、対象確認・申請目的・重要業務・想定リスク・復旧資金の整理と、現在加入している保険証券との照合です。含まないのは、計画様式の記入代行と電子申請システムの操作で、申請の主体はお客様自身です。認定の可否は中小企業庁の審査、税制の適用可否は税理士の判断によるため、支援の範囲でこれらを保証するものではありません。
参考一次情報・公的資料
- 中小企業庁「事業継続力強化計画」
- 中小企業庁「事業継続力強化計画の申請方法等について」
- 中小企業庁「地域別認定件数一覧」
- 中小企業庁「事業継続力強化計画認定制度の概要」
- 事業継続力強化計画電子申請システム
- GビズID
- 中小機構「BCPはじめの一歩」
- 関東経済産業局「リスクファイナンス判断シート」
- 日本損害保険協会「中小企業を取り巻くリスクに対する意識・対策実態調査」
制度・税制・件数・処理期間・中小企業者の規模区分などの数値は各一次情報の更新や法令改正により変わり得ます。申請時は原則として最新の公的情報をご確認ください。
情報確認日:2026年9月4日
執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年9月4日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。補償範囲、引受可否、保険料、保険金支払は、商品・約款・契約条件・個別事情により変わります。制度要件、補助金、税制、融資の適用可否も最新の公表情報や個別事情によります。法務・税務・労務・会計の判断は、必要に応じて専門家へご確認ください。