Risk Index|D&O

上場企業の法務・経営企画・リスク管理の方へ

そのD&O保険、いまの補償で十分ですか?

Directors & Officers Liability

D&O保険(会社役員賠償責任保険)について、限度額・Side A・海外子会社・開示が最新の実態に合っているかが問われています。那由他は、サイバーやD&Oといった特殊リスクに専門特化し、現契約の見直しから設計・更改までサポートします。

D&O専門の対応体制 限度額を訴訟シナリオから逆算 会社法・開示まで対応
On this page
  1. D&O保険とは?
  2. なぜ今、見直すのか?
  3. 限度額は妥当か?
  4. Side A・B・Cの補償内容
  5. 会社補償契約との違い
  6. 海外子会社のD&O
  7. 会社法・開示の実務
  8. 更新前チェックリスト
  9. なぜ那由他か
  10. よくあるご質問
  11. 関連コラム
  12. 無料相談・セカンドオピニオン
Definition

D&O保険とは?

D&O保険(会社役員賠償責任保険、Directors and Officers Liability Insurance)とは、取締役・監査役・執行役などの役員等が、その職務の遂行に起因して損害賠償を請求された場合に、賠償金や争訟費用(弁護士費用等)を補償する保険です。

株主代表訴訟などでは、会社だけでなく役員“個人”が被告になります。個人資産では到底受け止めきれない規模の賠償が問題になるケースも少なくありません。D&O保険は、その賠償と防御費用を引き受け、役員と会社の経営を守るための保険です。

被保険者は役員“個人” 会社法430条の3で明文化 賠償金+争訟費用を補償
Why Review

加入済みのD&O保険にも、点検すべき穴があります

すでにD&O保険に加入している場合でも、問題は、その中身が「いまのリスク」に合っているかです。更新ごとの取締役会決議と開示は正しく回っているか、海外子会社の役員は本当に被保険者に入っているか。加入していても、点検すべき穴は少なくありません。

約13兆円

株主代表訴訟の一審判決で旧経営陣に命じられた賠償額(認容額)。判決の帰趨にかかわらず、役員個人が10年を超えて訴訟対応を続けている事実は変わりません。

出典:東京地裁令和4年7月13日判決。東京高裁令和7年6月6日判決で一審判決は取り消されました。

15,500円

株主が代表訴訟を起こす際の手数料(書面申立て。電子申立ては14,400円。請求額によらず一定)。訴訟のハードルは、決して高くありません。

出典:会社法第847条の4第1項、民事訴訟費用等に関する法律第4条第2項(訴額を160万円とみなす)。手数料は同法別表第一および別表第二(郵便費用相当額)により、書面申立て15,500円・電子申立て14,400円(2026年5月21日以後の提起)です。
Cases賠償は「個人では払えない」規模に
’00

大阪地裁 平成12年9月20日判決

役員11名に総額7億7,500万ドル(判決当時の換算で約829億円)の賠償命令(認容額)

社員による巨額損失をめぐる株主代表訴訟で、大阪地裁が役員11名に総額7億7,500万ドル(判決当時の換算で約829億円)の賠償を命令(認容額)。のちに控訴審で、計2.5億円を会社へ支払う和解で決着したと報じられています※。命令額がそのまま最終負担になるとは限りません。しかし判決の内容にかかわらず、防御のための弁護士費用と、決着までの長い年月は必ず発生します。この防御費用をまかなえることが、D&O保険の実務上の価値です。

’08

最高裁 平成18年4月10日判決/差戻控訴審 東京高裁 平成20年4月23日判決

旧経営陣に約583億円の賠償(認容額)

仕手筋への不当な資金提供等が争点。最高裁の判断を経た差戻控訴審で、旧経営陣(役員5名)に約583億6,000万円の賠償が命じられました(認容額)。

’22

東京地裁 令和4年7月13日判決/東京高裁 令和7年6月6日判決

旧経営陣4名に約13兆円の賠償命令(一審認容額)

株主代表訴訟で、東京地裁が旧経営陣4名に計約13兆3,210億円の賠償を命令(認容額)。東京高裁令和7年6月6日判決で一審判決は取り消されましたが、一審で認定された賠償規模は個人資産で受け止められる水準をはるかに超えています。

※ 上記は公刊の判例等にもとづく代表的な事例です(金額は概数・係争中のものを含む。判決の金額は認容額)。出典:大阪地裁平成12年9月20日判決(判例タイムズ1047号86頁)、最高裁平成18年4月10日判決(民集60巻4号1273頁)および差戻控訴審・東京高裁平成20年4月23日判決、東京地裁令和4年7月13日判決・東京高裁令和7年6月6日判決。※和解の金額は法令情報総合オンラインサービス(Westlaw Japan)によるものであり、判決による認容額ではありません。実際の補償の可否・範囲は、ご契約の内容や事案により異なります。

Limit Design

支払限度額の妥当性を判断する4つの視点

D&O保険が実際に役員を守れるかどうかは、支払限度額の設計で決まります。しかし限度額は、役員1人ごとに用意されるわけではありません。次の4点から逆算して、はじめて妥当性を判断できます。

観点1

想定される訴訟の類型

株主代表訴訟・証券訴訟・第三者からの賠償請求・当局対応など、自社が直面しうる訴訟の種類と規模を見立てます。

観点2

被告となりうる役員の人数

限度額は通常、役員1人ごとではなく全役員・全請求で共有します。同時に複数名が訴えられれば、1人あたりの実質的な備えは薄まります。

観点3

防御費用(弁護士費用等)の枠

防御費用も支払限度額に含まれる契約では、防御費用の支払いにより、賠償金に充当可能な残りの支払限度額が減少します。特に訴訟が長期化した場合には、防御費用が高額となる可能性があります。

観点4

判例の賠償規模

株主代表訴訟では、数百億円〜兆円規模の判決例もあります(出典:大阪地裁平成12年9月20日判決・東京地裁令和4年7月13日判決)。「起こりにくいが、起きれば桁違い」という性質をふまえて設計します。

※ 適正な限度額に唯一の正解はありません。業種・規模・海外展開・ガバナンス体制によって異なります。那由他は、貴社のリスク構造から限度額の妥当性を検討します。

Coverage Structure

D&O保険の補償内容(Side A・B・C)

D&O保険の補償は、「誰の・どの損害を」補償するかで Side A・B・C に分かれます。

Side A役員個人への補償役員が損害賠償請求を受け、役員個人が負担する損害(損害賠償金・争訟費用)を補償。会社が補償できない場面(責任限定契約等)でも機能する、役員個人の資産を守る補償。
Side B会社による役員補償のてん補
会社補償に伴う、会社の金銭的負担を補償
会社が役員に対して補償(会社補償契約等にもとづく補償)を行った場合に、それに伴う会社の金銭的負担を補償します。
Side C会社自身の損害
主に証券訴訟
会社そのものが被告となる証券訴訟などの損害を補償します(対象は商品・契約により異なります)。

※ Side A の上乗せ補償(いわゆる DIC)など、Side A・B・C の呼称や補償の範囲、上乗せ補償の有無・内容は、商品やご契約の内容により異なります。実際の補償の可否は、普通保険約款・特約集および重要事項のご説明等でご確認ください。

Comparison

会社補償契約・責任限定契約との違い

令和元年改正会社法で、会社補償契約(430条の2)と役員等賠償責任保険契約(430条の3)が明文化されました。役割が異なる3つの仕組みを整理します。

守る相手・支払者役員等。保険会社が賠償金・防御費用を支払う役員等。会社が防御費用等を補償する役員(非業務執行役員等)。責任の上限を定める
主な対象賠償金・争訟費用(防御費用)防御費用・一部の賠償等善意・無重過失の場合の責任額の上限
根拠(会社法)第430条の3第430条の2第427条

会社補償契約とD&O保険は、二重払いの調整や「会社費用担保特約」の設計を含めて、組み合わせて検討するものです。那由他は、既存の契約・規程と整合させて全体を設計します。

Global Program

親会社の契約だけでは、海外子会社の役員に補償が届かないことがあります

海外展開する上場企業では、現地の規制と限度額の共有が論点になります。海外子会社を含む保険設計(グローバルプログラム)の可否や内容は、引受保険会社やご契約の内容により異なり、個別の検討が必要です。

Master

マスターポリシー

親会社が世界全体をカバーする基本契約。ただし、保険を現地で付保することが必要な国(non-admitted規制国)では、これだけでは足りない場合があります。

Local

ローカルポリシー

現地付保が求められる国で、現地に合わせて締結する契約。マスターとの限度額・条件の関係を整理する必要があります。

Gap

条件差・限度差の補完

ローカル契約とマスター契約のあいだで、補償の条件や限度額に差が生じる場合があります。その差をどう扱うかも検討の対象になります。

※ 海外子会社を含む保険設計(グローバルプログラム)の可否や内容は、引受保険会社やご契約の内容により異なり、個別の検討が必要です。現地法制・付保規制をふまえ、海外子会社の範囲や限度額の共有状況を含めて、ご相談のうえ個別に検討します。

Law & Disclosure

会社法430条の3の手続きと開示の実務

D&O保険は、契約内容の決定と開示について、会社法上の手続きが定められています。法務・総務・開示の担当者が押さえるべき要点です。

01

Procedure

取締役会の決議(更新ごと)

役員等賠償責任保険契約の内容を決定するには、取締役会設置会社では取締役会の決議が必要です(会社法430条の3)。更新の都度、決議が求められます。

02

Conflict

利益相反規制の適用除外

被保険者となる取締役についても、当該契約に関しては利益相反取引規制の規定が適用除外とされています。決議への参加可否を含め、手続きを正しく整えます。

03

Disclosure

事業報告・参考書類での開示

被保険者の範囲や契約内容の概要などを、事業報告(会社法施行規則 第121条の2)等で開示します。役員選任議案がある場合は、株主総会参考書類でも契約の概要を開示します。記載の粒度は、保険設計と整合させて整理します。

Checklist

更新前セルフチェック10項目

次回の更新を迎える前にご確認ください。ひとつでも即答できない項目があれば、見直しの余地があります。

即答できた項目:0 / 10

当てはまる項目にチェックを入れると、点検の目安が表示されます。

Why Nayuta

D&O保険の設計は、一般の損保代理店では対応しきれない専門領域です

限度額の逆算、Side A・B・Cの整理、海外子会社の論点、会社法と開示。D&Oは、火災や自動車保険の補償では扱えない専門領域です。那由他は、法務の論点と保険実務の両方に通じた立場から、補償全体を設計します。

01

POINT 01

D&O・特殊リスク専門の対応体制

サイバー・D&Oなど、従来型保険では扱いきれない特殊リスクに専門特化。高度な論点まで踏み込んで設計します。

02

POINT 02

リスク構造分析(AI活用)

AIを活用して、貴社の事業構造・ガバナンス・海外展開からリスクを分析。限度額や補償範囲を、データにもとづいて見極めます。

03

POINT 03

法務 × 保険実務の橋渡し

会社法430条の3・開示・会社補償契約といった法務の論点と、限度額・特約・海外子会社の扱いといった保険実務を、ひとつの設計に整理します。

04

POINT 04

更改・開示・事故対応まで一貫対応

契約して終わりではありません。毎年の更改決議、事業報告での開示、万一の事故対応まで、同じ担当者が継続して対応します。

まずは現在の保険証券をお送りください。D&O専門の視点で無料診断し、結果をご報告します。

FAQ

よくあるご質問

すでに加入していても、D&O保険を見直す必要はありますか。
はい。すでにD&O保険に加入している場合でも、株主代表訴訟の高額化、保険料の上昇、海外子会社の拡大、会社法改正にともなう開示の論点など、前提は年々変化しています。限度額の妥当性、Side A(役員個人への補償)の内容、会社費用担保特約や海外子会社の被保険者範囲などは、更新のたびに点検する価値があります。
D&O保険の支払限度額は、いくらが目安ですか。
一律の正解はありません。限度額は通常、役員1人ごとではなく全役員・全請求で共有され、さらに防御費用も支払限度額に含まれる契約では、防御費用の支払いにより、賠償金に充当可能な残りの支払限度額が減少します。特に訴訟が長期化した場合には、防御費用が高額となる可能性があります。そのため、想定される訴訟類型、被告となりうる役員の人数、判例の賠償規模(株主代表訴訟では数百億円〜兆円規模の判決例もあります。出典:大阪地裁平成12年9月20日判決・東京地裁令和4年7月13日判決)から逆算して設計する必要があります。那由他は、貴社のリスク構造から限度額の妥当性を検討します。
D&O保険の加入・更新には、毎年取締役会の決議が必要ですか。
令和元年改正会社法(第430条の3)により、役員等賠償責任保険契約の内容を決定するには、取締役会設置会社では取締役会の決議が必要とされています。更新の都度この手続きが求められ、被保険者となる取締役の利益相反取引規制は適用除外とされています。あわせて、保険契約の概要は事業報告(会社法施行規則第121条の2)等で開示します(役員選任議案がある場合は、株主総会参考書類でも契約の概要を開示します)。
社外取締役にもD&O保険は必要ですか。
社外取締役も、職務に起因する損害賠償請求の対象となりえます。優秀な人材に社外役員を引き受けてもらうための前提として、D&O保険の整備は重要です。なお、責任限定契約は善意・無重過失の場合に責任の上限を定めるもので、現実の賠償・防御費用を補償するD&O保険とは役割が異なります。
会社補償契約があれば、D&O保険は不要ですか。
いいえ。会社補償契約(会社法430条の2)は会社が役員の防御費用等を補償する仕組みで、補償の範囲は会社法および会社の規程・契約で定められた範囲に限られます。D&O保険(430条の3)は、Side A(役員個人への補償)として、役員個人が負担する損害(損害賠償金・争訟費用)を補償します。両者は二重払いの調整や会社費用担保特約の設計を含めて、組み合わせて検討します。
D&O保険の保険料が上がったのはなぜですか。
株主代表訴訟や証券訴訟の高額化、海外(特に米国)の訴訟リスク、引受の厳格化などを背景に、D&O保険は世界的に保険料が上昇する局面がありました。増額の妥当性は、補償の中身(限度額・Side A・特約・海外子会社の範囲)と一体で評価する必要があります。那由他は、コスト最適化の観点も含めて現契約を診断します。
海外子会社の役員も補償されますか。
海外子会社の役員を補償の対象とするには、親会社の契約に加え、現地で保険を付保する必要がある国(non-admitted規制国)ではローカルポリシーを組み合わせるなどの検討が必要になる場合があります。海外子会社を含む保険設計(グローバルプログラム)の可否や内容は、引受保険会社やご契約の内容により異なり、個別の検討が必要です。
IPO準備中・未上場でもD&O保険は必要ですか。
はい。上場準備の過程で証券会社や出資者から付保を求められるケースが増えているほか、上場時には開示書類をめぐる役員責任も生じます。新規のご加入も、IPOを見据えた初回の設計からご支援します。

そのほかのご質問も、お気軽にお寄せください。

Related Columns

関連コラム

限度額の決め方、Side A・B・Cの補償内容、海外子会社の論点、開示の記載例など、個別テーマはコラムで詳しく取り上げます。公開され次第、ここからご覧いただけます。

D&O保険に関する関連コラムは、順次公開予定です。お急ぎの場合は、お気軽に無料相談をご利用ください。

Risk Index

D&O以外の経営リスクも、まとめて診断できます

那由他は、財物・事業中断・賠償・サイバー・雇用・信用など、9つのリスク領域を横断して備えを設計します。自社全体のリスク構造から見直したい場合は、リスクインデックスへお戻りください。

Contact

D&O保険の見直し・セカンドオピニオンの
ご依頼はこちらから

「いまの限度額で十分か分からない」「Side Aや海外子会社が不安」。その段階で構いません。現契約の診断・セカンドオピニオン、補償設計の見直しは無料です。D&O専門の視点で、役員と会社を守る備えをご提案します。新規のご加入・IPOを見据えた初回設計のご相談も承ります。

現契約の診断・セカンドオピニオンは無料です。

受付時間:平日9:00〜19:00/電話 050-1725-4773

ご確認事項

引受保険会社:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社/取扱代理店:那由他保険テクノロジーズ株式会社

本ページはD&O保険(会社役員賠償責任保険)の概要をご紹介したものであり、契約内容のすべてを記載したものではありません。ご契約にあたっては必ず「パンフレット」および「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」をご確認ください。ご不明な点は取扱代理店または引受保険会社までお問合わせください。

本ページの記載は、特定の商品の補償内容や保険金のお支払いをお約束するものではありません。補償の範囲・支払限度額・免責金額・保険料などは、ご契約の内容により異なります。会社法・会社法施行規則等の制度内容は改正される場合があり、適用は個別の事情により異なります。手続き・開示の詳細は、貴社の顧問弁護士等の専門家にもご確認ください。

当社は、保険業法等の法令にもとづき、勧誘方針に従って募集を行う保険代理店です。

執筆:中村 祐太朗(当社執行役員・損害保険募集人/生命保険募集人)/最終更新:2026年10月8日

承認番号:(2026年10月承認)B26-101845