海外直接付保規制(保険業法186条)の判断の流れ: 日本所在のリスクか、政令・府令の除外か、許可の対象か、日本のローカルポリシーが必要か

外資系の日本法人で総務や経理を担当していると、本社からこう言われることがあります。「日本の保険は本社のグローバルプログラムでカバーしている。現地で別に入る必要はない」。一方で日本の貸主や取引先からは、日本の保険会社の付保証明を求められます。どちらが正しいのかを決めるのが、保険業法186条、いわゆる海外直接付保規制です。日本に支店等を設けない外国の保険会社は、日本に所在する財産や日本に居住する人を対象とする保険契約を原則として結べず、どうしても結ぶなら申込者側が事前に金融庁の許可を受ける必要があり、許可なく申し込むと過料の対象になるのは本社ではなく日本側の申込者です。ただし規制には除外があり、海外の保険が一律に違法になるわけでもありません。

この記事は、日本法人の担当者と、進出支援に携わる弁護士・会計士・行政書士、そして海外子会社を持つ日系企業の担当者(逆方向の確認にも同じ条文が使えます)のために、2026年10月28日時点の条文に沿って海外直接付保規制を整理します。185条・186条・337条の内容、規制の対象、政令と府令の除外、許可の手続と不許可事由、混同されやすい3つの問い、実務でローカルポリシーが必要になる場面、本社に説明するときの要点、チェックリストの順です。本社の担当者向けには、同じ内容を本社の視点で書いた英語版を用意しています。日本進出全体の保険の整理は外資系企業の日本進出に必要な損害保険を、本社プログラムとローカル証券の設計はグローバル保険プログラムの日本ローカルポリシーをご覧ください。

本記事は保険規制の一般的な解説であり、法的助言ではありません。特定の保険会社、保険商品、保険契約の内容を説明するものでもありません。個別の契約への保険業法の適用は、金融庁または弁護士にご確認ください。条文はe-Gov法令検索の現行版によります。

Summaryこの記事のポイント

  • 保険業法186条1項は、日本に支店等を設けない外国保険業者が、日本に住所・居所を有する人、日本に所在する財産、日本国籍の船舶・航空機に係る保険契約を締結することを、政令で定める契約を除いて原則禁止している。米国のサープラス・ラインズのような「無免許の保険会社が引き受けられる市場」は日本に無い。
  • 規制の基準はリスクの所在地で、契約者や親会社の国籍ではない。日本法人の什器、支店が借りる建物、日本に居住する従業員は、親会社がどこの国の会社でも対象になる。
  • 再保険、日本籍の外航船舶・商業航空機とその貨物・責任、宇宙関連、日本所在の国際輸送中貨物、海外旅行者の傷害・疾病・手荷物は除外。再保険が除外されているので、日本の保険会社が引き受けて海外に再保険するフロンティングは構造として適法になる。
  • 許可(186条2項)は申込者が申込み前に受ける。日本の保険会社で同等以上の契約が容易に結べる場合は不許可(3項)。標準処理期間60日、英語の書類は訳文不要、保険仲立人の意見書を添付できる。
  • 許可なく申し込んだ者には50万円以下の過料(337条)。過料の対象は日本側の申込者で、海外の保険会社ではない。実務上は、日本の財物・賠償のリスクは日本で免許を受けた保険会社の契約で付保するのが通常の形になる。

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本社から「グローバル保険でカバー済み」と言われたときに確認すること

本社の言い分が正しいかどうかは、次の3つを分けて確認すると決まります。第一に、本社の保険会社は日本に免許(支店)を持っているか。持っていなければ、その保険会社が日本のリスクを直接引き受けること自体が186条の問題になります。第二に、本社の契約は日本法人を被保険者に含めているか。含めていても、対象が日本の財産や人であれば186条の問題は消えません。第三に、本社の契約が補償しているのは本社自身の経済的な利益(子会社の価値の毀損)ではないか。それは本社の保険であって、日本法人の保険ではありません。この3つは後の節で詳しく扱います。先に言えるのは、「本社の保険に日本法人の名前がある」ことは、日本法人が適切に付保されていることの十分条件ではない、ということです。

条文: 185条・186条・337条

用語の定義と185条

保険業法(平成7年法律第105号)2条6項は「外国保険業者」を、外国の法令に準拠して外国において保険業を行う者(日本の保険会社を除く)と定義し、2条7項は「外国保険会社等」を、そのうち185条1項の内閣総理大臣の免許を受けた者と定義しています。185条1項は、外国保険業者が日本で保険業を行えるのは、日本に支店等を設けて免許を受けた場合に、その支店等においてのみだと定め、同条6項は、免許を受けた外国保険会社等であっても、日本に住所・居所を有する人、日本に所在する財産、日本国籍の船舶・航空機に係る保険契約は、内閣府令で定める場合を除き日本国内で締結しなければならないとしています。金融庁の免許一覧(2026年10月19日現在)では、この免許で日本支店として営業する外国損害保険会社等は21社、損害保険会社(外資系の日本法人を含む)は35社、免許特定法人(ロイズ)が1社で、合計57社です。

186条: 日本に支店等を設けない外国保険業者

186条1項は、日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所もしくは居所を有する人、日本に所在する財産、または日本国籍を有する船舶もしくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く)を締結してはならないと定め、ただし書きで2項の許可に係る契約を除いています。2項は、そのような契約の申込みをしようとする者は、申込みを行う時までに内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣の許可を受けなければならない、と申込者側に義務を置いています。3項は不許可事由を列挙しています。金融庁は2024年10月17日、免許を持たない外国保険業者による勧誘への注意喚起を公表し、この仕組みを「海外直接付保の禁止」(原則)と許可による例外として説明しました。

337条: 過料は誰に

337条は、186条2項の規定に違反して許可を受けないで同項に規定する保険契約の申込みをした者を、50万円以下の過料に処すると定めています。禁止の名宛人は1項の外国保険業者ですが、過料の対象は申込者です。本社が海外から日本法人のために契約を手配した場合、申込者が日本法人であれば、法令上の制裁を受けるのは日本法人です。本社に説明するときに最も伝わりやすい点の一つです。

規制の対象: 人・財産・船舶・航空機

対象は3つの連結点で決まります。進出プロジェクトで実際に出てくる場面を当てはめると次のようになります。

表1: よくある場面と186条の対象となるか(条文の一般的な読み方。個別には要確認)
場面連結点対象か備考
日本法人のオフィス・倉庫の什器・設備・在庫日本に所在する財産対象親会社の国籍は関係ない。
外国会社の日本支店が借りる建物日本に所在する財産対象支店は別法人ではないが、財産は日本にある。
日本法人の従業員(本社からの出向者で日本に居住する者を含む)日本に住所・居所を有する人対象金融庁が2021年に許可手続を簡素化したのは、この転勤者向け団体保険の場面。
日本法人が日本で負う賠償責任日本の人・財産一般に対象賠償責任保険は対象となる人・財産との関係で判断される。個別の文言は要確認。
国際輸送中の貨物(日本に所在する間を含む)日本に所在する財産除外施行規則116条(国際輸送中の貨物)。
本社の社員が本国の旅行保険で日本に出張一時的に日本にいる人海外旅行の補償については除外規則116条(海外旅行者の傷害・疾病・手荷物)。日本に居住するようになった社員には及ばない。
日本の保険会社が海外の再保険者に再保険—除外施行令19条。フロンティングの根拠。
本社が自らの日本子会社に対する財務上の利益を本国で付保本社の海外の利益文言ごとの法的な検討事項後述「3つの問い」の第三。

除外: 政令と府令

表2: 186条の規制から除外される契約(保険業法施行令19条、施行規則116条。2026年10月28日時点)
除外される契約根拠実務上の意味
再保険施行令19条日本の免許保険会社がローカル証券を発行し海外に再保険できる。フロンティングはこの除外の上に成り立つ。
日本籍の外航船舶・商業航空機、その貨物、それらから生じる責任施行令19条船舶・航空のプログラムを海外で手配できる。
宇宙関連施行規則116条衛星・打上げの保険。
日本に所在する国際輸送中の貨物施行規則116条グループの貨物プログラムが日本向け・日本発の輸送をそのままカバーする例が多い。国内輸送は別の問題。
海外旅行中の旅行者の傷害・疾病・手荷物施行規則116条日本を訪れる社員の本国の旅行保険。日本に居住する社員には及ばない。

注意点が2つあります。除外は契約ごとに判断されるので、除外される貨物リスクと除外されない日本の倉庫内の財物を1本の証券にまとめても、全体が除外になるわけではありません。また、グループのプログラムの構造が除外のどれかに当たり得る場合(日本の層が日本の保険会社の再保険として組まれている場合など)は、保険会社の法務と日本の専門家に確認する事項で、前提にしてよいものではありません。

許可(186条2項): 誰が・いつ・どの基準で・どう申請するか

誰が・いつ。申請者は契約の申込みをしようとする者で、申込みの前に許可を受けます。許可は契約ごとです。金融庁は2021年の意見募集文書で、契約の更新時にも許可が必要となることがあると注記しています。

不許可事由。186条3項は、(1)契約の内容が法令に違反し、または不公正であること、(2)その契約の締結に代えて、保険会社または外国保険会社等との間で同等または有利な条件で契約を締結することが容易であること、(3)契約の条件が通常付されるべき条件に比して著しく権衡を失すること、(4)被保険者その他の関係者の利益が不当に侵害されるおそれがあること、(5)日本における保険業の健全な発展に悪影響を及ぼし、または公益を害するおそれがあること、のいずれかに該当すれば許可してはならないと定めています。多国籍企業のプログラムで効いてくるのは(2)です。日本の市場で同等の契約が調達できるなら、許可は通る道ではありません。

手続。施行規則117条により、損害保険の申請は別紙様式第十号で金融庁長官に提出し、約款(特約を含む)、申込書、保険の目的の図面・写真等、その他参考事項、長官が必要と認める場合は概要の訳文を添付します。書類が英語であれば訳文は不要です。保険仲立人の意見書を添付できます。規則246条の標準処理期間は60日です。金融庁は2021年2月に意見募集、同年4月に公布した改正で、本国から日本に転勤した従業員に本国の保険会社の団体保険を提供したい法人向けに、訳文の範囲と被保険者の記載を簡素化しました(英語の公表文書もあります)。

許可の設計を読めば含意が分かります。日本の市場で同等の契約が本当に調達できない場合のための手続で、仲立人の意見書はその立証手段、60日という時計付きです。本社のプログラムを日本で使うために日常的に取る承認ではありません。

混同されやすい3つの問い

186条をめぐる混乱の多くは、別々の3つの問いを一つとして扱うことから生じます。法令の条文と契約の条項のどこに関わるかが違うので、答えも違います。

1. 外国の保険会社は日本所在のリスクを直接引き受けられるか

これが186条そのものの問いです。日本に居住する人と日本に所在する財産については、除外契約か許可を受けた契約でない限り、原則として引き受けられません。契約者が誰であっても答えは変わりません。本社が海外で結んだ契約でも、日本法人の倉庫を対象にしていれば「日本に所在する財産に係る契約」です。

2. 海外の保険契約で日本法人を被保険者にできるか

被保険者の記載は契約の問題で、海外の証券に日本法人を記載することはできます。しかし記載しても第一の問いの答えは変わりません。対象が日本の財産や人なら、被保険者欄の書き方にかかわらず186条の対象です。また、事故の後に続く実務の問いにも答えません。海外の保険会社が日本で損害調査をするのか、日本法人への支払が想定されているのか、日本の貸主・顧客・金融機関が海外の証券を契約上の付保条件を満たすものとして受け入れるのか。日本の賃貸借や取引契約の相手方は、日本の免許保険会社の証明書を一般に期待します。「マスターに記名されている」ことは、マスターが対応する必要条件ではあっても、日本法人が適切に付保されている十分条件ではありません。

3. 本社自身の経済的損失を対象とする補償はどう扱われるか

財務利益補償(FINC)は、日本での損失によって本社が子会社に対して持つ利益の価値が下がることを、本社自身を被保険者として本国で付保する仕組みです。被保険者は本社、対象は本社の利益、支払先は本国の本社です。国際的な保険会社は、非認可保険を制限する国への標準的な対応として説明しています。特定の文言が日本法の引く線を守っているか、本社が受け取った保険金で日本法人をどう手当てし、それが日本の税務でどう扱われるかは、その文言についての法的・税務的な問いで、金融庁は指針を公表しておらず、本記事も見解を示しません。言えるのは、財務利益補償は日本法人自身の証券を生まず、日本の相手方が受け入れる証明書も出せず、日本で保険金を支払うものでもない、ということです。本社の貸借対照表のための補償であって、ローカルポリシーの代わりではありません。

実務でローカルポリシーが必要になる場面

条文を離れても、日本の財物・賠償のリスクを日本の免許保険会社の契約で付保するのが通常の形になる理由は4つあり、本社に説明する材料になります。

  • 186条の検討そのもの。日本の財産と人について、許可も法的な議論も要らない構造がローカルポリシーです。
  • 契約。日本の賃貸借契約、顧客契約、工事契約、融資契約は付保の証明を日常的に求めます。証明書は保険会社が通常は代理店を通じて発行し、相手方は日本の保険会社の書面を想定しています。
  • 事故対応。日本での事故は日本語で調査され、日本の被害者と示談し、賠償責任では約款により保険会社が交渉します。日本に拠点のない外国の保険会社はこれを行えません。
  • グローバルプログラムの設計。国際プログラムは日本を「ローカルポリシー必要国」として扱います。日本で特定損害保険業免許を持つロイズは、日本のページで、日本に所在し国外で管理されるリスクにはロイズ・ジャパンを通じてJapan Multinational Modelによるローカルポリシーの発行が必要であり、同モデルは契約者が日本で登記・居住していないこと、購入決定が国外で行われることを条件とすると説明しています。同ページがローカル要件の免除として挙げる航空機・外航船・海上/航空貨物・海外旅行は、上の法令の除外と重なります。

法定の制度はこの議論の外にあります。労災保険と雇用保険は日本で労働者を雇うすべての事業に、自賠責保険はすべての自動車に適用される公的制度で、海外のどの保険も代わりになりません。基幹記事で整理しています。

違反のリスクと実務上の備え

法令上の制裁は337条の申込者に対する過料です。それ以外のリスクは刑罰ではなく実務上のものです。結んではいけなかった契約は保険金請求の時点で争いになり得る、外国の保険会社の日本での立場は不確かである、日本法人が海外の証券に頼っていると知った相手方は契約上の付保条件が満たされていないと扱い得る。金融庁の2024年の注意喚起は、無免許の保険業者の消費者保護体制を金融庁が確認できないことも述べ、免許・登録業者の一覧で確認するよう促しています。

備えは単純です。日本のリスクについて提案された保険会社が金融庁の免許一覧にあるかを確認する。グループの保険会社に、プログラムのどの部分が日本の財産・人・責任に対応する想定で、法的根拠は何かを書面で確認する。許可を求めた場合はその記録を保管する。更新のたびに、日本の各リスクがローカルポリシー、除外契約、本社の自己の利益の補償のどれに乗っているかを記録する。

本社に説明するときの要点

  1. 日本には米国型のサープラス・ラインズが無く、無免許の外国保険会社が日本の財産・居住者を引き受けることは原則禁止(186条)。
  2. 過料は日本側の申込者に掛かる(337条)。
  3. 再保険・国際輸送貨物・海外旅行などは除外で、本社の貨物・出張者のプログラムはそのまま使えることが多い。
  4. 許可制度はあるが、日本で同等の契約が買えるなら不許可(3項2号)。日常の承認手続ではない。
  5. 日本の貸主・顧客は日本の保険会社の証明書を求め、事故対応は日本語で行われる。
  6. 本社向けの英語の説明は英語版記事をそのまま送れば足りる。

契約締結前のチェックリスト

  1. 日本のリスクを連結点ごとに一覧にする: 日本居住者、日本所在財産、日本籍船舶・航空機、日本での賠償責任。
  2. 提案された各契約について、保険会社が日本の免許を持つか(金融庁一覧)、日本に支店のない外国保険業者かを確認する。
  3. 外国保険業者との契約は、プログラム単位ではなく契約単位で、表2の除外に当たるかを確認する。
  4. 対象で除外でないリスクは、ローカルポリシーか許可申請かを決める。許可は日本で同等の契約が買えれば不許可になる。
  5. 3つの問い(直接引受の可否/日本法人の記名/本社の自己の利益の補償)を分け、答えを記録する。
  6. 各契約の申込者が誰かを確認する。337条の過料は申込者に掛かる。
  7. 賃貸借・顧客・工事・融資の各契約の保険条項と証明書の文言を確認し、相手方がどの保険会社の証明書を受け入れるかを確かめる。
  8. 契約ごとに日本での事故対応の経路(調査・交渉・支払先・通貨)を確認する。
  9. 許可を受けた契約の更新日を管理する。許可は契約ごと。
  10. 免許確認・除外の検討・許可の記録・相手方の確認を証券台帳とともに保管する。

本国の制度と用語を前提にした国別の整理は、米国系企業、中国系企業、欧州系企業の日本法人の損害保険の記事をご覧ください。

那由他保険テクノロジーズが海外直接付保規制の実務でご支援できること

那由他保険テクノロジーズは東京の保険代理店で、法人向けの法人リスクコンサルティング(Risk & Benefits)では外資系企業の日本側の保険を扱っています。保険業法についての法的助言はできず、本社のグローバルプログラムの手配も行いません。行うのは、この記事が示すとおり結局は必要になる部分です。本社のプログラム資料と日本法人の賃貸借・取引契約を預かり、日本の証券が必要なリスクを特定し、日本の保険会社が引受に必要とする形で補償を条件書にし、当社が取り扱える日本の保険契約を手配し、更新のたびにローカルの台帳を本社のプログラムと照合します。保険証券診断はこの最初の工程を定型化したものです。本社との英語でのやり取りはメールベースでご支援できます。

立場を明確にしておきます。那由他保険テクノロジーズは、損害保険については特定の保険会社の代理店として募集を行い、複数の保険会社の商品を比較して推奨する販売は行わず、保険仲立人でもありません。許可申請に仲立人の意見書が必要な場合、それは登録された保険仲立人の業務であって当社の業務ではありません。詳細は比較推奨販売方針をご覧ください。

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よくある質問

海外の保険会社の契約で日本法人をカバーすることは違法ですか?

一律に違法ではありません。保険業法186条は、日本に支店等を設けない外国保険業者が日本居住者・日本所在財産・日本籍船舶航空機に係る契約を結ぶことを原則として禁じていますが、再保険、国際輸送中の貨物、海外旅行の補償、一定の船舶・航空機は除外され、申込者が事前に許可を受けた契約も可能です。日本に無いのは、米国型のサープラス・ラインズの仕組みです。

許可を受けずに本社が日本法人の保険を海外で手配した場合、誰が罰せられますか?

337条は、186条2項に違反して許可を受けずに申込みをした者に50万円以下の過料を定めています。対象は日本側の申込者で、外国の保険会社ではありません。過料のほかに、保険金請求時の不確実性や、相手方が海外の証券を付保の証明として受け入れないという実務上のリスクがあります。

本社のグローバル保険に日本法人が被保険者として記載されていれば問題ないですか?

いいえ。記載は契約の被保険者欄の問題で、契約が日本の財産や人を対象にしているかは対象の問題です。対象にしていれば、記載にかかわらず186条の対象です。記載だけでは、日本の証明書も、日本での事故対応も、日本法人への支払も得られません。通常の答えは日本のローカルポリシーで、本社の契約は重複と空白を確認する対象として扱います。

本社の保険会社が日本法人をカバーするための許可は取れますか?

186条2項の許可は、申込者が契約締結前に申請し、標準処理期間は60日、英語の書類は訳文不要、保険仲立人の意見書を添付できます。ただし、日本の免許保険会社から同等以上の契約が容易に得られる場合は不許可とされるため、日本の市場が供給できない契約のための制度で、契約ごと(更新時を含む)に判断されます。

財務利益補償(FINC)があれば186条の問題は解決しますか?

財務利益補償は本社自身の子会社に対する利益を付保し、本国の本社に支払うものです。特定の文言が日本法の引く線を守っているか、本社の受領と日本法人への手当てが税務上どう扱われるかは、保険会社の法務と日本の専門家に確認する事項です。日本法人の証券・証明書・日本での保険金支払は得られないので、ローカルポリシーの代わりにはなりません。

グローバルプログラムのうち海外からそのまま日本をカバーできるのはどの部分ですか?

除外に当たる部分です。日本の保険会社の再保険(フロンティング)、日本籍の外航船舶・商業航空機とその貨物・責任、宇宙関連、日本所在の国際輸送中貨物、旅行者の海外旅行の補償です。日本所在の財産、日本居住者、日本での賠償責任は規制の対象です。

参考一次情報

本記事は、海外直接付保規制の一般的な解説であり、法律・税務・規制に関する助言ではありません。特定の保険会社、保険商品、保険契約や特約の内容を説明または推奨するものではありません。保険業法、施行令、施行規則の個別の契約への適用は、金融庁または弁護士にご確認ください。那由他保険テクノロジーズは、損害保険については特定の保険会社の代理店として募集を行っています(比較推奨販売方針をご参照ください)。