
米国系企業の日本法人で管理部門を担当していると、本社のリスクマネジャーから英語の要求が届きます。「COIを今週中に送ってほしい」「貸主をadditional insuredにしてwaiver of subrogationを付けて」「CGLの限度額は本社基準で」「日本の従業員は本社のworkers' compでカバー済み」「このリスクはsurplus linesで手当てする」。どれも米国では日常の言葉ですが、日本の保険の仕組みに一対一で対応するものはほとんどありません。日本では労災は買う保険ではなく公的制度で、CGLに当たる単一の様式は無く、サープラス・ラインズは存在せず、保険を売るのは通常は保険会社のために動く代理店で、地震は火災保険の標準では免責です。追加被保険者や求償権放棄や英文証明書は、一部の約款で、確認のうえで、しか出せません。
この記事は、米国系日本法人の管理部長・総務・経理担当者、米国企業と取引して米国流の保険条項を求められる日本企業の法務、進出支援の士業のために、本社の要求を日本の制度に翻訳し、何ができて何ができないか、本社にどう説明するかを整理します。本社のリスクマネジャーには、同じ内容を本社の視点で書いた英語版を送れば足ります。日本進出全体の保険は基幹記事、海外本社の保険で日本をカバーできるかは海外直接付保規制の記事、本社プログラムとの接続はグローバル保険プログラムの記事をご覧ください。内容は2026年10月28日時点で末尾の資料に照らして確認しています。
本記事は一般的な解説です。特定の保険会社、保険商品、保険契約や特約の内容を説明するものではなく、法律・税務の助言でもありません。本文の「対応する日本の保険」は一般名称で、実際の条件は保険会社と約款によって異なります。
Summaryこの記事のポイント
- 本社から来る典型的な要求は5つ(証明書、追加被保険者と求償権放棄、CGL基準の限度額、本社のworkers' compでカバー済み、サープラス・ラインズ)。それぞれに「日本でできること」「できないこと」「代替案」がある。
- 日本の労災保険は公的制度で、労働者を1人でも雇う事業に事業開始日から適用され、事業主が保険料を負担する。本社のworkers' compの代わりにはならず、雇用主の民事責任は残るので任意の上乗せを別に手配する。
- 日本にISO様式のCGLは無く、賠償責任は施設・請負・生産物の原因別に書かれる。本社用語の対応表で翻訳し、不足はローカルで埋めるか本社マスターのDICで受ける。
- サープラス・ラインズは無く、保険業法186条が無免許の外国保険会社による日本の財産・居住者の引受を原則として制限する。日本のリスクの経路は日本のローカル証券(必要ならフロンティング)。
- 地震は企業向け火災保険の標準では免責で、特約で限度額付きで付ける。国の地震保険は住宅のみ。本社は「日本には国の地震保険がある」と誤解しやすい。
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本社から来る5つの要求と、日本でできる答え
| 本社の要求 | 日本でできること | できない・確認が要ること | 本社への説明 |
|---|---|---|---|
| COI(certificate of insurance)を出せ | 付保証明書は保険会社が通常は代理店を通じて発行する。 | 英文の証明書が特定の企業向け契約で出せるかは保険会社ごとの確認事項。米国のACORD様式のような標準書式は無い。 | 日本の保険会社の証明書(日本語、場合により英文)を出す。様式は米国と異なる。 |
| 貸主・顧客をadditional insuredに、waiver of subrogationを付けろ | 追加被保険者特約(例: 生産物賠償用)と求償権不行使の条項は一部の日本の約款にある。 | すべての種目の標準ではなく、米国のAI endorsementと範囲も同じではない。契約に書く前に保険会社に種目ごとに確認。 | 日本では「できる場合がある」であって当然ではない。契約書の保険条項を先に送ってもらい、確認してから署名する。 |
| CGLの限度額は本社基準(例: 数百万ドル)で | 日本の賠償責任保険は原因別で、主契約で高い限度額を取るか同じ保険会社の上乗せで対応。 | 米国型のumbrella市場は無い。日本の訴訟環境は懲罰的賠償を含まない。 | 日本のローカルは補償的な賠償と争訟費用に見合う限度額にし、本社基準との差はマスターのDILで受ける設計が一般的。 |
| 日本の従業員は本社のworkers' compでカバー済み | 日本の労災保険は法定の公的制度で、本社の保険の有無にかかわらず適用され、成立届と保険料納付が必要。 | 本社の保険は日本の労災の代わりにならない。雇用主の民事責任は残る。 | 労災は「買う保険」ではなく「法定の制度」で、日本法人が届け出る。上乗せは日本で手配する。出向者も日本に居住すれば対象。 |
| このリスクはsurplus linesで手当てする | — | 日本にサープラス・ラインズは無い。無免許の外国保険会社による日本の財産・居住者の引受は保険業法186条で原則制限。許可制度はあるが日本で同等の契約が買えれば不許可。 | 経路は日本のローカル証券。本社の保険会社に日本のリスクを負わせたいなら、日本の保険会社によるフロンティング。 |
本社が前提にしている米国の仕組み
本社の要求を理解するには、米国側の前提を知っておくと早くなります。米国の保険規制は1945年のマッカラン・ファーガソン法により州が一次的な権限を持ち、全米保険監督官協会(NAIC)は州監督官の調整機関で規制当局ではありません。プロデューサー(代理店・ブローカー)の免許、料率と約款の届出、認可の有無、サープラス・ラインズの規則はすべて州の事項で、2010年の連邦法(非認可保険・再保険改革法)が一部を統一しています。労災補償(workers' compensation)はNAICによればテキサス州を除く各州で大半の雇用主に義務付けられ、民間保険会社・州基金・一部の州では州営独占基金から購入します。企業賠償責任の中核はISO(Insurance Services Office)の標準様式に基づくCGLで、Coverage A(対人・対物)、B(人格権侵害・広告侵害)、C(医療費)の3層構成です。中小企業向けにはBOP(Business Owners Policy)という財物・賠償・休業の包括様式があり、賠償の上にはumbrella/excessの層を積みます。認可市場が断ったリスクはサープラス・ラインズ・ブローカーを通じて非認可保険会社に付保でき、NAICによれば2024年のサープラス・ラインズ保険料は米国損保市場の約12%です。契約によるリスク移転(追加被保険者、求償権放棄、証明書、補償条項)は反射的で、保険はブローカーを通じて買うものです。
この前提を持つ本社から見ると、日本の代理店は「保険会社側の人」に映ります。ここが最初の説明点です。
日本で保険を売るのは誰か
保険業法上、損害保険代理店は損害保険会社の委託を受けて、その保険会社のために保険契約の締結の代理または媒介を行う者で(2条21項)、代理店が募集について契約者に与えた損害は所属保険会社が賠償責任を負います(283条)。代理店には1社専属と複数社乗合があり、監督指針は取り扱える保険会社の範囲を顧客に説明することを求めています。保険仲立人は別の類型で、金融庁に登録し(286条)、保証金を供託し(291条)、顧客のために誠実に媒介する義務を負い(299条)、2026年9月1日現在64者が登録されています。国際的な大手グループの日本のブローカー法人もそこに含まれ、同じグループが代理店の法人を持っている例もあります。日本の企業向け保険の多くは代理店を通じて契約されます。本社に伝えるべきことは、「代理店は避けるべき相手」という米国の直感は日本にはそのまま当てはまらず、代理店は通常の経路で保険会社がその募集行為に責任を負うこと、確認すべきは「代理店かブローカーか」という抽象論ではなく「この案件でどちらの立場で動き、代理店ならどの保険会社を扱うか」だということです。
本社用語と日本の対応する保険
| 米国の用語 | 最も近い日本の保険 | 違い | 日本の保険会社に聞くこと |
|---|---|---|---|
| Workers' compensation | 労災保険(公的制度)+任意の上乗せ(業務災害補償保険・使用者賠償責任保険) | 法定で購入する保険ではない。労働者を使用する事業に適用。給付は法定。雇用主の民事責任は残る。 | 労働保険の成立届は済んでいるか。上乗せは法定給付の上に何を払い、雇用主の民事責任を含むか。 |
| CGL | 施設所有(管理)者賠償責任保険、請負業者賠償責任保険、生産物賠償責任保険(個別または包括) | ISO標準様式は無い。原因別。Coverage Bと医療費は標準でない。事故発生ベースが一般的だが要確認。 | どの原因、どの施設・製品が対象か。契約上の責任は免責か。保険会社は示談交渉するか。 |
| BOP | 中小企業向けの火災・賠償・休業の包括型 | 包括型はあるが保険会社独自の商品で、構成と内訳限度額が異なる。 | 包括の中身は何で、価格に合わせて何が縮小されているか。 |
| Commercial property | 企業向け火災保険+風災・水災・盗難等の拡張 | 地震・噴火・津波は標準で免責。水災は縮小があり得る。保険金額と支払基準は日本の条件。 | 地震は付いているか、限度額と自己負担額は。水災の条件は。 |
| Products liability | 生産物賠償責任保険(PL) | 施設賠償と分かれることが多い。製造物責任法3条で輸入業者も製造業者と同じ責任を負う。輸出は拡張しない限り対象外。顧客は証明書を求める。 | 日本での販売と日本からの輸出の両方が対象か。顧客を追加被保険者にできるか。 |
| Professional liability / E&O | 専門業務賠償責任保険・IT業務賠償責任保険 | 請求ベースが一般的。職種により提供の有無。遡及日。 | 遡及日を本社プログラムと揃えられるか。対象業務は。 |
| D&O | 会社役員賠償責任保険(日本法人) | 日本法人の取締役は会社法上の義務を負う。本社のD&Oが子会社役員を補償するかは約款次第。 | 日本の取締役はどこかで補償されているか。日本の契約とマスターのどちらが先に対応するか。 |
| Cyber liability | サイバー保険 | 個人情報保護法上の報告義務は日本法人に。一部のIT事業者は利益損害を付けられない。対応は日本語。 | グループのサイバー保険は日本の事故を対象にするか。日本語で対応を回すのは誰か。 |
| Commercial auto | 自賠責保険(法定・対人のみ)+任意の自動車保険 | 自賠責はすべての車両に義務で、法定限度額内の対人のみ。任意保険で対人無制限・対物・車両・搭乗者。フリート料率あり。 | 全車両に自賠責があるか。任意保険の限度額は。フリートか個別か。 |
| Umbrella / excess | 日本の賠償責任保険の上の超過層(利用できる場合) | 米国型の独立した市場は無い。高い限度額は主契約か同じ保険会社の超過で取るのが一般的。 | 主契約で取れる最大限度額は。超過層は利用できるか。 |
労災は「法定の制度」で、出向者も対象
労働者災害補償保険法3条は労働者を使用する事業を適用事業とし、厚生労働省は、労災保険は原則として一人でも労働者を使用する事業に業種や規模を問わず適用されると説明しています。保険関係は事業が開始された日に法律上成立し(労働保険の保険料の徴収等に関する法律3条)、事業主が労働基準監督署に成立届を出して保険料を納めます。選ぶ保険会社も交渉する約款もありません。JETROは、外国企業の日本支店は社会保険で法人扱いとなり、登記をしない駐在員事務所でも代表者以外の労働者には労働保険が適用されると説明しています。本社には、日本の予算の「workers' comp」は保険の購入ではなく法定の負担で、本社のプログラムに移せないこと、法定給付があっても雇用主の民事責任は消えないので、追加の補償と雇用主の法律上の責任を払う任意の上乗せ(業務災害補償保険や使用者賠償責任保険)を日本で手配するのが一般的であること、それが米国のworkers' comp証券の雇用者責任部分に当たることを伝えます。米国からの出向者は日本に居住すれば日本の制度の対象で、保険業法186条上も日本の人です。金融庁が2021年に許可手続を簡素化したのは、本国の団体保険をこうした社員に提供する場面のためで、使うか現地で付保するかは本社の判断です。
日本の賠償責任保険は原因別、懲罰的賠償は無い
日本にはCGLに当たる標準様式が無く、施設・業務・製品に起因する賠償責任は原因別の種目か保険会社の包括型として、日本語の約款で書かれます。人格権侵害・広告侵害は標準の構成要素ではなく、法律上の責任を超える契約上の責任は免責が普通で、争訟費用と保険会社の示談交渉は約款の定めによります。事故発生ベースが一般的ですが、トリガーと補償地域(日本からの輸出や海外での事故は拡張しない限り対象外のことが多い)は確認します。umbrella市場は米国型の独立したものではなく、高い限度額は主契約か同じ保険会社の超過で取ります。
訴訟環境については、「小さい」というより「枠が違う」と説明するのが正確です。最高裁判所は1997年、米国の判決のうち懲罰的損害賠償を命じた部分について日本で執行判決をすることはできないと判断しており、日本の賠償法に懲罰的賠償はありません。日本の賠償請求が小さいという意味ではなく、PL訴訟や高額の認容もあり、製造物責任法は製造業者・輸入業者に過失の立証なしで欠陥による損害の賠償責任を負わせます。日本の賠償責任プログラムは補償的な賠償と争訟費用に見合う限度額にし、本社の高い限度額はDILでその上に乗せる、という設計を本社に説明できます。
日本の相手方が実際に求めるもの
- 貸主。日本の事業用賃貸借は、借主の什器・造作の保険と借家人賠償責任を求め、建物は貸主が付保し、引渡し時に保険会社の証明書を求めるのが一般的。米国流の追加被保険者・求償権放棄の条項は少ないが、米国の雛形で作られた賃貸借に入っていることがあり、署名前に保険会社に確認する。
- 顧客・販売店。大手の日本企業はPL保険の証明を求め、顧客を追加被保険者にするよう求めることもある。グループの製品を輸入する日本法人は製造物責任法上の輸入業者として責任を負う。
- 工事・融資。契約が定める限度額の請負業者の保険、融資先の利益を記載した財物保険。
証明書は保険会社が通常は代理店を通じて発行し、英文の可否は保険会社ごとです。追加被保険者特約は一部の約款(例: 生産物賠償で追加被保険者と記名被保険者を互いに他人とみなす形)にあり、求償権不行使の条項も一部にありますが、全種目の標準ではなく米国のendorsementと同じ範囲でもありません。日本側の実務はPL保険の証明書・追加被保険者の記事で扱っています。
地震は特約、国の地震保険は住宅のみ
米国の財物プログラムは地域と保険会社ごとに災害を免責・縮小・別契約で扱います。日本は単純で、間違えやすい形です。企業向け火災保険は地震・噴火・津波による損害を標準で免責し、地震の補償は特約で、保険価額の一部にとどまることが多い限度額と自己負担額を付けて、交渉と引受余力の範囲で追加します。地震保険に関する法律に基づく政府再保険付きの地震保険は居住用建物と生活用動産だけが対象で(2条2項)、財務省は事務所専用の建物や工場は対象外と説明しています。本社が「日本には国の地震保険がある」と読んで倉庫も補償されていると考える誤りは、証券の明細でしか正せません。台風の風災は火災保険の対象が一般的、水災は縮小があり得て地階・1階の在庫が典型的な損害、休業損失は財物の危険に連動するので地震による休業は両方に地震を付けない限り対象外です。仕組みは企業向け地震補償の記事にあります。
サープラス・ラインズは無い: 186条と選択肢
日本の規制は国単位で、保険業法という一つの法律、金融庁という一つの監督者、57社(2026年10月19日現在、日本支店として営業する外国損害保険会社等21社とロイズを含む)という一つの免許一覧があり、一覧に無い保険会社には一つの規定が当たります。186条1項は、日本に支店等を設けない外国保険業者が日本居住者・日本所在財産・日本籍船舶航空機に係る契約を結ぶことを原則禁止し、再保険・国際輸送中の貨物・海外旅行・一定の船舶航空機は政令と府令で除外され、申込者は申込み前に許可を受けられますが、日本の免許保険会社が同等の契約を容易に提供できる場合は不許可です。許可なく申し込めば日本側の申込者に50万円以下の過料(337条)。詳細は海外直接付保規制の記事にあります。本社に伝えるのは、サープラス・ラインズの反射には日本の出口が無く、日本の財物・賠償のリスクの経路は日本のローカル証券で、本社の保険会社にリスクを負わせたいなら日本の保険会社によるフロンティング(再保険が除外なので構造として適法)になるということです。
本社マスターと日本のローカルの整合
本社のマスターは日本について引き続き3つのことをします。日本のローカルが満たすべき基準を定めること、ローカルが有効であることを前提にDIC/DILで差に対応すること、財務利益条項で本社自身の日本法人に対する利益を付保すること(支払は本社宛てで、日本法人には証券も証明書も日本での保険金も生じません)。どれも日本の財産・人についての186条を単独で解決するものではなく、各層で誰が被保険者で、誰に・どこで・どの通貨で払われるかという同じ問いを生みます。グローバル保険プログラムの記事で、日本法人側の確認10項目と仮想ケースを扱っています。米国プログラムに固有の整合点は2つで、請求ベースの種目(D&O・E&O・サイバー)の遡及日を本社でカバーされていた期間と揃えること、本社の満期と日本の1年契約のずれを揃えるか記録することです。
日本の保険会社が求める情報
- 日本法人・支店の登記事項証明書と会社情報(名称、住所、資本金、役員、設立日)。
- 日本の事業内容と計画。売上高と拠点別・販売地域別の内訳。
- 米国からの出向者を含む区分別の従業員数。
- 拠点別の建物・設備・在庫の明細(評価額、構造、用途)。
- 主要な賃貸借・顧客・仕入先・工事契約の保険条項(米国流の要求を含む)。
- 日本に関係する本社プログラムの資料(マスターの明細、DIC/DILと財務利益条項の文言)と既存の日本の証券。
- 日本の事業と、関係する範囲でグループの事故歴。
- 希望する補償、円建ての保険金額と自己負担額、事業開始日に合わせた保険開始日。
本社に説明するときの要点
- 日本では保険会社のために募集する代理店が通常の経路で、保険会社が代理店の募集行為に責任を負う。相手にどの立場かを聞けばよい。
- 労災は法定の制度で日本法人が届け出る。本社のworkers' compでは代替できない。上乗せは日本で。
- CGLは無く原因別。限度額は補償的賠償に見合わせ、差はマスターのDILで。
- 追加被保険者・求償権放棄・英文証明書は「確認のうえ可能な場合がある」。契約に書く前に確認。
- 地震は特約、国の地震保険は住宅のみ。限度額を本社と決める。
- サープラス・ラインズは無い。経路はローカル証券かフロンティング。
- 本社向けの英語の説明は英語版記事を送れば足りる。
那由他保険テクノロジーズが米国系企業の日本法人の損害保険でご支援できること
那由他保険テクノロジーズは東京の保険代理店で、法人向けの法人リスクコンサルティング(Risk & Benefits)では外資系企業の日本側の保険を扱っています。米国系の日本法人については、本社のプログラム資料、日本法人の賃貸借・契約、進出計画を預かり、日本のリスクを列挙し、本社の要求を日本の保険会社が見積りできる条件書に翻訳し(地震の保険金額、原因別の賠償責任、日本の相手方が受け入れる特約を含む)、当社が取り扱える日本の保険契約を手配し、更新のたびに日本の台帳を本社のマスターと照合します。保険証券診断はこの最初の工程を定型化したものです。本社との英語でのやり取りはメールベースでご支援できます。
立場を明確にしておきます。那由他保険テクノロジーズは、損害保険については特定の保険会社の代理店として募集を行い、複数の保険会社の商品を比較して推奨する販売は行わず、保険仲立人でもなく、本社のマスターポリシー・フロンティング契約・財務利益補償の手配は行いません。プログラムが特定の保険会社の日本の関連会社からのローカル証券を前提にしている場合でも、棚卸し・条件書・照合はご支援でき、契約の手配そのものが当社の範囲外になる場合はその旨をはっきりお伝えします。詳細は比較推奨販売方針をご覧ください。
よくある質問
本社に「日本にはブローカーがいないのか」と聞かれました。代理店で問題ありませんか?
どちらも規制の下にあり、どちらでも手配できます。日本の企業向け保険の多くは、保険会社のために募集し、1社専属か複数社乗合で、扱える保険会社の範囲を説明する義務のある代理店を通じて契約され、保険会社が代理店の募集行為に責任を負います。保険仲立人は別に登録され、顧客に対する法律上の誠実義務を負います。相手にこの案件でどちらの立場か、代理店ならどの保険会社を扱うかを確認してください。
本社のworkers' compensationで日本の従業員はカバーされていますか?
日本の労災保険は、日本で労働者を雇うすべての事業に事業開始日から法律上適用される公的制度で、労働基準監督署を通じて運営され、本社の保険では代替できません。法定給付があっても雇用主の民事責任は残るので、日本の雇用主は任意の上乗せを日本で手配するのが一般的です。米国からの出向者は日本に居住すれば保険業法186条上も日本の人です。
日本にISO様式のCGLに当たる保険はありますか?
ありません。日本の賠償責任保険は原因別(施設・請負・生産物)か保険会社の包括型で、日本語の約款です。人格権侵害・広告侵害と医療費は標準の構成要素ではなく、法律上の責任を超える契約上の責任は免責が普通です。日本の各証券が何を補償するかを本社のCGLが補償したであろう範囲と比べ、不足はローカルで埋めるか本社マスターのDICで受けます。
貸主を追加被保険者にして求償権放棄を付けることはできますか?
追加被保険者と求償権不行使の条項は一部の日本の約款にありますが、全種目の標準ではなく、米国のendorsementと範囲も異なります。それらを約束する賃貸借に署名する前に、種目ごとに保険会社に確認し、英文証明書の可否も確認してください。
認可市場が引き受けない日本のリスクにサープラス・ラインズは使えますか?
日本にサープラス・ラインズの仕組みはありません。保険業法186条は、日本に支店のない外国保険業者による日本の財産・居住者の付保を原則として制限し、許可制度はあるものの日本の免許保険会社が同等の契約を容易に提供できる場合は不許可です。実務の経路は日本のローカル証券か、米国の保険会社に再保険するフロンティング付きのローカル証券です。
日本の火災保険でオフィスと倉庫の地震損害は補償されますか?
標準では補償されません。地震・噴火・津波は企業向け火災保険の標準で免責で、特約で限度額と自己負担額を付けて追加します。政府再保険付きの地震保険は住宅のみです。財物保険の手配時に地震の限度額を明示的に決め、本社のマスターがその上の日本の地震損失をどう扱うかを確認してください。
参考一次情報
- NAIC, McCarran-Ferguson Act(英語)
- NAIC, Surplus Lines(英語)
- NAIC, Workers' Compensation Insurance(英語)
- 15 U.S.C. Chapter 108, Nonadmitted and Reinsurance Reform Act(英語)
- Insurance Information Institute, Commercial General Liability Insurance(英語)
- Insurance Information Institute, Small Business Insurance Basics(BOP、英語)
- 保険業法(平成7年法律第105号)2条、186条、283条、286条、291条、299条、337条(e-Gov法令検索)
- 製造物責任法(平成6年法律第85号)3条
- 最高裁判所第二小法廷 平成9年7月11日判決(平成5年(オ)第1762号)外国裁判所が懲罰的損害賠償を命じた判決について執行判決をすることの可否(民集51巻6号2573頁。裁判例検索で事件番号から参照)
- 労働者災害補償保険法 3条
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 3条
- 厚生労働省 労災補償(適用の範囲)
- JETRO 日本での拠点設立 4.9 日本の社会保障制度
- 金融庁「『保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)』の公表について」2021年2月15日
- 自動車損害賠償保障法 5条
- 地震保険に関する法律 2条
- 財務省 地震保険制度の説明資料
- 金融庁 免許・許可・登録等を受けている業者一覧
- English version of this article: Business Insurance in Japan for US Companies
- 外資系企業の日本進出に必要な損害保険(那由他保険テクノロジーズ)
- 海外直接付保規制(保険業法186条)の記事(那由他保険テクノロジーズ)
- グローバル保険プログラムの日本ローカルポリシー(那由他保険テクノロジーズ)
本記事は、米国に本社を置く企業の日本法人の損害保険についての一般的な解説です。法律・税務・規制に関する助言ではなく、特定の保険会社、保険商品、保険契約や特約の内容を説明または推奨するものではありません。本文の対応関係は一般名称による翻訳の手引きで、実際の条件は保険会社と約款によります。個別の保険金請求の可否は、ご契約の約款と事実関係に基づいて保険会社が判断します。那由他保険テクノロジーズは、損害保険については特定の保険会社の代理店として募集を行っています(比較推奨販売方針をご参照ください)。