
回送中の自社レンタカーが、相手方の車に追突された。あるいは貸出中の車が事故で入庫し、修理が終わるまで貸し出せない。予約は他クラスへ振り替えるか、断るしかありません。このとき事故相手に対して請求を検討するのが休車損害です。
ただし、相手方の保険会社へ「料金表で1日◯円の車が◯日止まった」と伝えるだけでは、損害の説明として足りません。事故がなければその車または同等クラスで実際に貸渡収入を得られたのか、他の車で吸収できなかったのか、止まっていた期間は相当か、金額はどの記録から出したのか。この4点を、同じ対象期間・同じ粒度の資料で示すことが求められます。
必要な資料の多くは事故後に作るものではなく、予約システム、貸渡契約、車両の日次ステータス、料金実績、修理工程の記録として日常運用の中にあります。この記事では、保有台数が数十台規模の中小レンタカー事業者を想定し、請求経路の切り分け、4つの争点、稼働率の作り方、相手方へ出す資料の順番を整理します。
この記事の前提
本記事は、証拠の考え方と日常記録の使い方を整理する一般的な情報です。個別の事故で誰にいくら請求できるか、NOC条項の効力、過失割合、損害項目の重複、相当因果関係の判断は事案ごとに異なります。法的評価や相手方との示談交渉は弁護士へご確認ください。那由他保険テクノロジーズは法律事務や示談交渉の代行を行いません。
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まず、レンタカーの休車損害で「誰に・何を」請求するかを3つに分ける
レンタカー事故では、請求先の異なる話が同時に進みます。相手方の保険会社との交渉、借受人への契約上の請求、自社保険への請求は、それぞれ根拠が別です。資料を作り始める前に、この3つを1枚の表に分けておくと、二重回収や説明の食い違いを防ぎやすくなります。
| 経路 | 相手 | 根拠 | 主な費目 |
|---|---|---|---|
| 経路1 | 事故相手 | 不法行為に基づく損害賠償 | 車両損害、休車損害、レッカー・回送費用等 |
| 経路2 | 借受人 | 貸渡契約・約款 | NOC、免責額、修理費、契約上の負担 |
| 経路3 | 自社の保険会社 | 自社の保険契約(証券・特約・約款) | 車両損害、代車・レンタカー費用、休業・利益損害等の対象可否 |
経路1|事故相手への損害賠償請求(回送中・貸出中)
回送中に第三者から衝突された場合など、相手方の不法行為によって自社に休車損害が生じたと主張するのがこの経路です。民法709条は、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者に、これによって生じた損害を賠償する責任を定めています。
ここで重要なのは、相手方に過失があれば請求額が全額そのまま認められる、という関係ではないことです。損害が発生したこと、事故との因果関係、金額、相当な期間、代替できなかったことは、請求する側が資料で説明します。また、自社側にも過失がある場合は、民法722条2項の過失相殺が問題になり得ます。
経路2|借受人への貸渡契約上の請求(NOC・免責額・修理費)
貸出中の事故では、借受人に対して、貸渡約款に基づくノンオペレーションチャージ(NOC)、免責額、修理費等の契約上の請求が別に存在し得ます。これは事故相手に対する不法行為責任とは根拠が違い、金額の決まり方も違います。
NOCは、貸渡約款、補償制度への加入の有無、事故状況、借受人の義務違反の有無によって扱いが変わります。裁判例を紹介する記事の中には、NOCを借受人との契約上の損害賠償額の予定と整理したものがあると説明されています。いずれにせよ、自社の約款でNOCがどの範囲の何を対象にしているかを、事故ごとに確認してください。
経路3|自社の自動車保険に基づく請求(車両損害・代車・休業)
車両損害、代車・レンタカー費用、休業や利益の損害が自社の保険で対象になるかどうかは、証券、特約、約款、対象事故、免責、限度額、支払条件で決まります。相手方の保険会社と話していることと、自社に保険金が支払われることは同じではありません。とくに、貸渡目的の車両がどの契約でどう扱われるか、回送中と貸出中で条件が変わらないかは、事故の前に確認しておく論点です。
3つの経路は同時並行で動くため、費目別の回収管理表を1枚作り、「どの損害を、どこから、いくら回収したか」を同じ表で管理します。同じ損害を複数の経路で重ねて計上しないための土台になります。
NOCと第三者への休車損害請求は同一ではない
実務でずれが起きやすいのが、借受人から受け取ったNOCと、事故相手へ請求する休車損害を同じものとして扱ってしまう場面です。NOCは契約で定めた金額であり、第三者に対して請求する実際の損害額の証明ではありません。
この点について、弁護士事務所の解説記事では、借受人が支払ったNOCについて、レンタカー会社に休車損害が発生したことの立証がなく、事故相手への請求との因果関係が否定された裁判例(札幌地裁令和5年1月18日判決)が紹介されています。本記事では裁判所公開の原文を確認できていないため判決内容には立ち入りませんが、実務上の注意としては明快です。NOCの定額をそのまま相手方への請求根拠にせず、自社に生じた休車損害は別に立証する。この整理を最初に置いてください。
休車損害が認められるかを決める4つの争点
休車損害が認められるかどうかは、最終的には個別の事案ごとに、事実関係や提出された資料をもとに判断されます。決まった4つの法的要件があるわけではありませんが、実務で相手方や裁判所から説明を求められやすい点を整理すると、本記事では次の4つに分けて考えると準備しやすくなります。争点ごとに「何を示すか」と「どの記録を使うか」を先に決めておくと、資料の不足に早く気づけます。
| 争点 | 示すこと | 主な原資料 |
|---|---|---|
| 1 使用必要性 | 事故がなければ事故車で貸渡収入を得られた蓋然性 | 予約台帳、貸渡契約、車両別貸渡実績、料金実績 |
| 2 代替不能 | 同等クラスの他車では吸収できなかったこと | 全車両の日次ステータス、同等クラスの予約・貸渡実績 |
| 3 相当な期間 | 修理・買替えに合理的に必要だった期間 | 見積、入出庫、部品納期回答、営業復帰記録 |
| 4 金額 | 逸失した実収入と、支出を免れた費用の差 | 実収入明細、費用明細、比較期間の算定表 |
押さえておきたいのは、損害が発生したことの証拠と、損害額の証拠は別だという点です。予約実績が十分でも、控除すべき費用の説明が弱ければ、金額の段階で争われます。
争点1|事故車を貸し出す必要性があったか
最初に示すのは、事故がなければその車が実際に貸し出され、収入を生む予定だったことです。次の記録を、車両IDと日付でひもづけて取り出せるようにします。
- 割当済みの予約:予約番号、貸渡期間、予定料金、顧客区分。
- 直前の実績:事故車の直前3か月や前年同期の貸渡日数、貸渡売上。
- 変動要因:曜日、連休、季節イベント、地域行事による需要の波。
- 事故後の結果:取り消した予約、他クラスへ変更した予約、他店へ送客した予約、断った申込みと顧客連絡のログ。
回送中の事故でも同じです。回送目的、配車先の営業所、その車に予定されていた予約、店舗間移動の指示を残します。「回送中だった」という事実だけでは、営業上の損失は説明できません。
争点2|同等クラスで代替できなかったか
ここは、保有台数の少なさを主張する場面ではありません。全保有台数の平均稼働率ではなく、事故車と同等のクラス・用途・定員・装備・営業所・貸渡条件で、当該期間に実際に空いていた車があったかを見ます。
そのため、空いて見える車両について、日付別の理由を残す必要があります。予約済み、返却待ち、清掃・点検中、車検、修理、回送中、冬タイヤ等の仕様差、他店舗専用の配置──理由と裏づけを1台ずつ対応させます。あわせて、上位クラスへの無償アップグレード、営業所間の回送、外部からの調達を検討した記録と、実施できなかった理由や費用も残します。
注意したいのは、事故後に「遊休車ゼロ」に見えるようデータを整えることではないという点です。通常運用の中で車両ステータスの履歴が保存されていることが、そのまま説明力になります。
争点3|休車期間は相当だったか
実際に貸し出せなかった期間のすべてが自動的に認められるわけではありません。修理または同等車への買替えに合理的に必要だった期間を、工程ごとの日付で示します。
- 修理の場合:事故日、入庫日、損害確認日、見積提示日、修理承認日、部品発注日、部品入荷日、修理完了日、清掃・安全確認日、営業復帰日。
- 全損・買替えの場合:同等車の探索履歴、見積、発注日、登録日、架装・用品取付け、納車日、営業所への配備日。
修理工場や販売店からの納期回答、遅延理由、代替案の検討記録を保存しておけば、期間が自社の都合だけで決まったのではないことを示しやすくなります。自社の判断待ちで空いた日数、事故前にはなかった高仕様化のために延びた日数、事故と無関係の整備を同時に行った日数は、区別できるようにしておきます。
争点4|金額をどう組み立てるか
出発点の考え方は、事故がなければ得られたと見込まれる貸渡収入等から、休車によって現実に支出を免れた費用を控除し、相当な休車期間に対応させることです。
基本的な考え方
1日当たりの損害 = 事故がなければ得られたと見込まれる貸渡収入等 − 休車により実際に支出を免れた費用
休車損害 = 1日当たりの損害 × 相当な休車日数
収入側は、公示料金や料金表の額をそのまま使うのではなく、割引、会員料金、繁閑差、長期貸し、免責補償料、オプションの実績を反映した事故車または同等クラスの実収入を示します。比較期間も事故前3か月に固定する必要はありません。繁忙期・閑散期、曜日、連休、降雪、地域イベントの影響が大きい場合は、前年同期や複数期間を併記し、その期間を採用した理由を書き添えます。
費用側は、勘定科目の名称だけで固定費・変動費と決めつけないことが重要です。その車が止まったことで実際に支出を免れたかどうかを、洗車・清掃、決済手数料、送迎・回送、消耗品等の項目ごとに確認します。代替車を用意して売上を維持した場合は、逸失した利益と、代替調達費・追加回送費を分けて記載し、同じ損害を二重に計上しないようにします。
稼働率の作り方と、その限界
休車損害の請求で稼働率を提出する場面は多いのですが、休車損害の算定のために法令で定められた単一の算式があるわけではありません。だからこそ、自社がどう数えたかを明示する必要があります。
貸渡日数 ÷ 貸渡可能日数(分母・分子の定義)
例として示せる算式は「貸渡日数 ÷ 貸渡可能日数」です。ここで分母・分子に何を入れ、何を除外したかを、提出資料に必ず書きます。
- 分母の候補:登録済みで、当該営業所・クラスに配置され、法令上・整備上・契約上、貸渡可能だった車両日数。
- 分子の候補:実際に貸し渡した車両日数。
- 別コードで保持:予約済みだが未貸渡、回送、清掃、点検、修理、他店舗専用等の状態は、分子に混ぜず個別コードで残す。
集計単位は車両・クラス・営業所・日次にする
全社月次の稼働率だけでは、争点2に答えられません。事故期間中の特定の日に、事故車と同等クラスの車が、当該営業所で空いていたかどうかが問われるためです。集計は車両別・クラス別・営業所別・日次の4軸で持ち、必要に応じて上位へ集約する形にします。
月平均だけでは足りない|日次明細と併記すべき指標
稼働率と同じ対象期間・同じ粒度で、次の指標を併記すると、需要と代替可能性の説明が具体的になります。
- 予約充足率、予約の拒否・取消件数
- 無償アップグレードの実施件数
- 他店舗への送客件数、営業所間移送の可否
- 事故車および同等クラスの平均実収入
提出時は、日次明細(生データに近い一覧)と集計表(要約)の両方をそろえます。集計表だけでは検証できず、明細だけでは読み手が結論にたどり着けません。
立証事項ごとに保存する資料一覧(平時/事故後)
ここまでの争点を、保存すべき資料に置き換えます。左が立証事項、中央が平時から残しておく資料、右が事故後に追加する資料です。
車両の存在・使用必要性・代替不能を示す資料
| 立証事項 | 平時から保存する資料 | 事故後に追加する資料 |
|---|---|---|
| 車両の存在・仕様 | 車検証、固定資産明細、車両マスター、クラス・装備・配置店舗 | 事故車の写真、損傷調査、事故時の走行目的 |
| 使用必要性 | 予約台帳、貸渡契約、車両別貸渡実績、料金実績 | 割当済み予約、取消・失注・振替の記録、顧客連絡 |
| 代替不能 | 全車両の日次ステータス、同等クラスの予約・貸渡実績、点検・車検・修理予定 | 代替候補ごとの利用不能理由、他店回送・外部調達の照会記録 |
休車期間・逸失収入・回避費用を示す資料
| 立証事項 | 平時から保存する資料 | 事故後に追加する資料 |
|---|---|---|
| 休車期間 | 修理・代替調達の社内手順 | 見積、入出庫記録、修理承認、部品納期回答、完了・営業復帰記録 |
| 逸失収入 | 事故車・同等クラスの実収入、季節別・曜日別実績、料金表 | 事故期間と比較期間の算定表、失注・振替の結果 |
| 回避費用 | 車両単位・貸渡単位の費用明細 | 事故期間中に減少した費用と、その根拠資料 |
損害軽減・回収経路の管理資料
| 立証事項 | 平時から保存する資料 | 事故後に追加する資料 |
|---|---|---|
| 損害軽減 | 店舗間融通・アップグレード・外部調達の通常手順 | 実施結果、追加費用、実施できなかった理由 |
| 回収経路 | 貸渡約款、自社の保険証券・特約 | 借受人請求・相手方請求・自社保険の費目別回収管理表 |
事故ごとに事故IDを発番し、車両ID、相手方、保険会社の受付番号、修理工程、算定資料をひもづけておくと、予約・店舗・整備・経理と担当が分かれていても資料の所在を追えます。
相手方へ出す「請求パック」の順番
資料は集めただけでは伝わりません。読み手が「発生 → 期間 → 必要性 → 代替不能 → 金額 → 重複調整」の順にたどれるよう並べます。
事故概要・責任関係/休車期間表/利用必要性
- 事故概要と責任関係:事故証明、事故状況、事故車ID、回送中か貸出中かの区別。
- 休車期間表:各工程の日付、遅延理由、営業復帰日を1行ずつ。
- 事故車の利用必要性:既存予約、直前実績、同等クラスの需要。
代替不能表/損害額計算/重複調整表/資料索引
- 代替不能表:同等クラス全車の、事故期間中の日次ステータスと利用不能理由。
- 損害額計算:比較期間、実収入、回避費用、代替で維持した売上、追加費用。
- 重複調整表:NOC、借受人負担、自社保険、相手方からの既払額を費目別に整理。
- 添付資料索引:元データ、契約、修理、会計資料を番号で対応させる。
とくに6の重複調整表は、すでに回収した分と今回請求する分の関係を、相手方に対して自ら説明するための資料です。ただしNOC、自社の保険金、相手方への賠償請求は、対象となる損害の費目も、対象期間も、誰の権利として支払われたのかも異なる場合があります。金額をそのまま差し引くのではなく、費目・対象期間・補償や請求の対象範囲を突き合わせ、実際に重なっている範囲がどこまでかを確認したうえで整理してください。判断に迷う場合は、保険会社の担当者や弁護士に確認することをおすすめします。ここを先に出しておくと、二重請求ではないかという指摘に対して説明の起点を持てます。
判例・公的情報から読み取る実務上の注意
以下は他業種の事案を含みますが、レンタカー事業者が資料を作る際の判断材料になります。いずれも当該事案の判断であり、一般的な基準や日額の目安を示すものではありません。
高い稼働率でも非稼働車の理由が説明できず否定された例
東京簡裁平成25年6月25日判決は、タクシー会社の事案です。営業車両47台、実働率96.2%という高い水準でしたが、少なくとも1台の非稼働車両が存在しました。会社は点検整備、修理、乗務予定者の欠勤等により稼働できなかったと説明したものの、それを裏づける証拠がなく、遊休車両を事故車の代わりに利用できたとして休車損害は認められませんでした。
レンタカー事業への示唆は明確です。平均稼働率の高さではなく、事故期間中の同等クラス各車について、動いていなかった理由を客観資料で示せるかが問われます。96.2%という数字自体が基準になったわけではない点にも注意してください。
過失割合9対1でも休車損害が認定された例
名古屋簡裁平成18年4月11日判決は、運送会社の事案です。相手方9割・被害側1割の過失割合を前提に、使用必要性と代替困難性は認められました。一方で控除経費の裏づけが不足していたため請求額どおりの算定は認められず、裁判所は1日1万3,000円、15日分の休車損19万5,000円を認定したうえで、被害側の過失1割を控除しています。
ここから読み取れるのは、損害が発生した証拠と、金額の証拠は別にそろえる必要があるということです。予約実績が十分でも、回避費用の説明が弱ければ金額の段階で争われます。
NOC受領は第三者への実損請求の立証ではない
前述のとおり、借受人からNOCを受け取ったことは、自社に休車損害が生じたことの証明にはなりません。相手方へ請求する際は、NOCとは別に、予約実績・代替不能・相当な期間・金額の資料を組み立てます。そのうえで、重複調整表で回収済み額を明示します。
「10対0でなければ一切出ない」という説明への注意
相手方の保険会社が、被害側にも過失がある事案で代車費用の先行手配や直接払いに慎重な運用をすることはあり得ます。ただし、それを「10対0以外は法的に代車費用も休車損害も一切請求できない」と一般化はできません。上記の名古屋簡裁平成18年4月11日判決は、9対1の事故で休車損害を認定し、被害側の過失分を控除しています。
実務的には、代車費用と休車損害は別の損害項目であること、いずれも必要性・相当性・期間・金額・代替可能性を資料で示すこと、自社側に過失があれば過失相殺等が問題になることを分けて整理します。相手方保険会社と見解が割れた場合の法的評価、示談交渉、訴訟対応は弁護士へ戻してください。
保険料削減・補償適正化を含む保険プログラムの見直し支援
ここまでの資料づくりは、事故が起きてから始めると間に合わない部分があります。事故前に整理できる領域を先に片づけておくほど、休車損害の請求も、次年度の保険調達も動かしやすくなります。那由他保険テクノロジーズは、その事前整理を保険の側から支援します。
証券・特約・補償条件の照合と適正化
車両一覧、営業所別の配置、事故履歴、貸渡約款、自社の自動車保険証券を並べ、回送中の事故と貸出中の事故、車両損害、代車・休車、借受人の負担が、どの契約でどこまで手当てされているかを一枚に照合します。重複して掛かっている補償、クラス構成や稼働実態に対して過大・過小になっている条件、免責金額の設定が実際の事故頻度と噛み合っていない箇所を洗い出し、補償を厚くすべき領域と、絞ってよい領域を分けて提示します。
保険料の削減余地の分析
台数、車種構成、営業所別の事故率、過去の支払実績をもとに、現在の保険料がどの要素で決まっているかを分解します。免責金額の設定、フリート契約への集約、車両クラスごとの付保条件、ノンフリート等級の運用といった、保険料に影響する要素ごとに削減余地を試算し、補償水準への影響を確認しながら、見直せる部分から順に整理します。
契約条件の比較と保険プログラムの設計・調達支援
現行契約の条件を基準に、複数の引受条件を同じ土俵で比較できる形に整えます。補償範囲、免責金額、特約構成、保険料をクラス別・営業所別に並べ、レンタカー事業の実態に合った保険プログラムを設計したうえで、更改・切替に向けた調達手続きまで伴走します。事故時に必要となる記録の取り方も、この設計の一部として運用ルールに落とし込みます。
まだ何も整理できていない段階でも、ご相談は始められます。現在の運用と困っている点をうかがったうえで、車両一覧、貸渡約款、自社の自動車保険証券・特約、直近の事故履歴、クラス別の稼働率・予約実績は、相談を進めながら那由他保険テクノロジーズと一緒に整えていきます。まだ残っていない記録についても、その過程で「次の事故までに整える項目」として一覧化しますので、気になる段階でお気軽にお声がけください。
よくある質問
保有台数が少なければ、休車損害は認められやすくなりますか?
台数が少ないことだけで認められるわけではありません。問われるのは、事故車がなければ実際に貸し出せた蓋然性と、同等クラスの他車で代替できなかったことを資料で示せるかどうかです。数十台規模でも、事故期間中に同等クラスの車が空いていた事実が残っていれば代替可能と判断され得ます。逆に台数が多くても、非稼働車それぞれの理由を日付別に説明できれば主張の土台になります。台数ではなく、日次の車両ステータスと予約実績で説明してください。
稼働率が何%以上あれば、休車損害は認められますか?
一律の基準となる数値はありません。東京簡裁平成25年6月25日判決の事案では実働率96.2%でも、非稼働車が代替に使えなかった理由の裏づけがないとして休車損害が認められませんでした。稼働率は、分母・分子の定義、集計単位、非稼働理由とセットで初めて意味を持ちます。月平均だけでなく、事故期間中の同等クラス・当該営業所の日次明細を併せて提出してください。
借受人から受け取ったNOCを、そのまま事故相手へ請求できますか?
同じものとして扱わないでください。NOCは貸渡契約に基づく借受人への請求であり、第三者に対して請求する実際の損害額の証明ではありません。事故相手へ請求する場合は、予約実績、代替不能、相当な休車期間、金額の根拠を別に立証します。あわせて、NOC、借受人負担、自社保険、相手方からの既払額を費目別に整理した重複調整表を作り、同じ損害を二重に計上していないことを示します。
過失割合が10対0でなければ、休車損害は請求できないのでしょうか?
「10対0以外は法的に一切請求できない」とは言えません。名古屋簡裁平成18年4月11日判決の事案では、相手方9割・被害側1割の過失割合を前提に休車損害が認定され、被害側の過失分が控除されています。ただし、相手方の保険会社が代車費用の先行手配等に慎重な運用をすることはあり得ます。代車費用と休車損害は別の損害項目です。見解が割れた場合の法的評価と交渉は弁護士へご確認ください。
休車期間は、修理が終わるまでの全期間が認められますか?
実際に貸し出せなかった期間がそのまま認められるとは限りません。修理または同等車への買替えに合理的に必要だった期間かどうかが検討されます。事故日、入庫、見積、修理承認、部品発注・入荷、完了、営業復帰までの日付を工程ごとに分け、遅延があればその理由と外部からの納期回答を残してください。自社の判断待ちで空いた日数や、事故前にはなかった高仕様化のために延びた日数は、区別できるようにしておきます。
参考一次情報・公的資料
- e-Gov法令検索「民法」(709条・722条2項)
- 国土交通省「レンタカー事業」
- 東京簡裁平成25年6月25日判決(裁判所公開PDF)
- 名古屋簡裁平成18年4月11日判決(裁判所公開PDF)
- 日本損害保険協会「そんぽ相談ガイド 自動車保険Q&A」
- 交通事故紛争処理センター「ご用意いただく主な資料等」
情報確認日:2026年8月1日
執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年8月1日
本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。掲載した裁判例の認定額・日数・稼働率は各事案固有のもので、一般的な基準を示すものではありません。補償、引受、保険料、保険金の支払、損害賠償請求の可否・金額は、商品・約款・契約条件・事故状況・個別事情により変わります。休車損害の請求可否や示談交渉は弁護士へ、会計・税務処理は税理士等へご確認ください。