
総合福祉団体定期保険は、会社が契約者となって従業員を被保険者にする死亡保険なので、同意しない従業員についてはその契約の効力が生じません(保険法38条)。1人が同意しなくても契約全体が止まるわけではなく、同意した人だけで契約し、不同意者の名簿を残す確認方法が金融庁の監督指針に例示されています。ただし、不同意者を除いた人数が保険会社の定める最低被保険者数を下回る場合は、契約が組めるかどうかの確認が先になります。この記事は人事・総務の方向けに、同意書の取り方、不同意者の扱い、本人への説明の順番を整理し、従業員側の疑問にも答えます。
Summaryこの記事のポイント
- 同意しない従業員は、その契約の被保険者になりません。保険法38条は、契約当事者以外の人を被保険者とする死亡保険契約は本人の同意がなければ効力を生じないと定めています。
- 金融庁の監督指針は、全員加入団体定期保険の同意確認として「全員の同意記録」か「全員への通知確認の記録と、同意しなかった者の名簿」のどちらかを例示しています。
- 同意書を渡すときは、契約者と被保険者、保険金の受取人、保険金額の決まり方、保険料は会社負担で本人の負担がないことを、本人が確認できる書面で説明します。
- 同意しない従業員の弔慰金・死亡退職金は、保険ではなく社内規程の支給義務の問題です。規程が支給を定めていれば、保険金という財源がない分は会社の自己資金になります。
- 不同意を理由とする人事上の扱いは労働法の論点で、この記事では結論を断定しません。社会保険労務士と確認したうえで、規程と運用を決めます。
福利厚生制度のご相談を受け付けています
初回のご相談は無料です
総合福祉団体定期保険で従業員が同意しない場合はどうなる?
総合福祉団体定期保険で従業員が同意しない場合とは、会社を契約者、従業員を被保険者とする死亡保険について、その従業員が被保険者になることを承諾しない状態をいい、同意のない従業員についてはその契約の効力が生じません。保険法38条は、生命保険契約の当事者以外の者を被保険者とする死亡保険契約は「当該被保険者の同意がなければ、その効力を生じない」と定めています。会社がどれだけ福利厚生として用意したくても、本人の同意を飛ばして加入者に入れることはできません。
では、同意しない人が出たら契約そのものが組めないのかというと、そうではありません。金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」IV-1-17は、全員加入団体定期保険の被保険者同意の確認方法として、全員の同意記録による方法と並べて、契約者が被保険者全員に契約内容を通知した確認の記録と「被保険者となることに同意しなかった者の名簿」を組み合わせる方法を挙げています。同意しなかった人を名簿で特定し、その人を除いて契約する運用が、監督上あらかじめ想定されているということです。保険会社の公表資料でも、東京海上日動あんしん生命は総合福祉団体定期保険について「ご加入に同意いただいた方に全員加入していただきます」と説明しています。
ただし、不同意者を除いた人数で契約が成立するかは別の確認が要ります。監督指針IV-1-15は、一契約の最低被保険者数や最低加入率などの団体要件を定める必要がある場合に、保険会社が全員加入団体・任意加入団体の区分に応じて明確に定めているかを審査上の着眼点としており、人数は法令で一律に決まっているわけではなく保険会社ごとに異なります。たとえば東京海上日動あんしん生命は、企業単独の団体では新規契約時と更新時に10名以上の被保険者が必要としています。少人数の会社で不同意者が出て人数を下回りそうなときは、契約が組めるかどうかを保険会社に確認してから社内の説明を進めます。
もう一つ切り分けておくのは、保険と規程の関係です。総合福祉団体定期保険は弔慰金・死亡退職金規程の支給財源を用意する保険であって、支給するかどうかを決めているのは規程です。同意しない従業員が支給対象に含まれている規程なら、その人に万一のことがあったとき会社は規程どおりに支給し、保険金がない分を自己資金でまかなうことになります。規程と保険のこの役割分担を含め、受取人の置き方、団体定期保険との違い、税務、規程・名簿・保険の順で進める導入手順は総合福祉団体定期保険とは(団体定期保険との違いと導入手順)で整理しています。
なぜ本人の同意が必要なのか
同意が必要な理由は、本人以外が契約し、本人以外が保険金を受け取る「他人の生命の保険」だからです。保険法38条は、被保険者の生命を本人の知らないところで保険の対象にすることを認めていません。この同意は契約時だけの話ではなく、保険法45条により、死亡保険金の受取人を変更するときも被保険者の同意がなければ効力を生じません。遺族受取から企業受取へ変えるような設計変更は、改めて本人の同意が要る場面です。契約者・被保険者・受取人という三つの立場が法人契約でどう分かれ、受取人が会社か個人かで何が変わるかは保険契約者・被保険者・受取人の違いで説明しています。
特約の扱いは主契約と整理が少し違います。災害総合保障特約のように障害や入院に対して給付金を支払う部分には傷害疾病定額保険の規定が関わり、保険法67条1項ただし書は、被保険者本人(死亡に関する給付では本人またはその相続人)が受取人である場合に同意を要しない例外を置いています。一方、給付事由が傷害疾病による死亡だけのものにはこの例外がありません(同条2項)。保険会社の同意確認書類がどの保障まで対象にしているかは商品ごとに違うため、書類の対象範囲をそのまま本人への説明範囲として使います。
同意の「取り方」にも監督上の着眼点があります。監督指針II-4-2-4は、被保険者となる人の同意を取得するときに、被保険者が保険金受取人や保険金額などの契約内容を確実に認識できる措置として、契約内容を記載した書面を保険会社から交付すること、被保険者がどのように契約内容を認識できるかを保険会社が契約者に確認し、その結果を検証可能な記録として残すことを例に挙げています。保険会社に対する監督上の着眼点で企業に直接義務を課すものではありませんが、会社が配る書面と残す記録の形はこれに沿って保険会社から求められるのが通常です。署名をもらうだけでなく、何を見せて同意を取ったかが記録に残る前提で手続きを組みます。
同意書はどう取る?監督指針が示す2つの確認方法
同意確認の方法は、全員から同意記録を取る方法と、全員に契約内容を通知した記録を残して不同意者の名簿を作る方法の2つが監督指針に例示されています。ヒューマン・ヴァリュー特約を付ける契約では不同意者名簿による方法は挙げられておらず、被保険者ごとの個別の同意記録か全員の同意記録が必要です。この保険は広く使われていて、生命保険協会「2025年版 生命保険の動向」によると、2024年度の総合福祉団体定期保険の保有契約高は92兆7,057億円で団体保険全体の22.0%を占めます。多くの会社が毎年この同意手続きを回しているということで、保険会社側の書式と流れは整っているのが通常です。自社がどの方式で確認するかは、保険会社の所定書類で決まります。
この表は、金融庁監督指針IV-1-17が全員加入団体定期保険について例示する同意確認の方法を、保険会社に出す記録と向く場面で比べるものです。
| 確認方法 | 保険会社へ提出する記録 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 全員の同意記録 | 保険契約の目的となる遺族補償規程等の書類と、被保険者となる者全員の同意の記録 | 人数が少なく、入社手続の中で一人ずつ同意書を回収できる会社 |
| 通知確認の記録と不同意者名簿 | 規程等の書類、契約者が被保険者全員に契約内容を通知した旨の確認の記録(契約者本人と被保険者の代表者本人による確認の記録があるもの)、同意しなかった者の名簿 | 人数が多く、全員の書面回収より周知と不同意の申し出を記録するほうが現実的な会社 |
| 個別の同意記録(ヒューマン・ヴァリュー特約付き) | 被保険者による個別の同意の記録、または上記「全員の同意記録」の方法(規程等の書類と全員の同意の記録)。通知確認と不同意者名簿による方法は挙げられていない | 会社の経済的損失を保障する特約を付けるため、全員分の同意記録が求められる契約 |
どの方法を採るかは保険会社の手続きで決まるため、人事側は「自社の契約はどの記録を出す方式か」を保険会社に確認し、その記録を名簿と一緒に保管します。
同意確認が必要になる場面は、新規契約のときだけではありません。日本生命は2025年2月のプレスリリースで、総合福祉団体定期保険は新規契約の締結、契約内容の変更、被保険者の中途加入の申し込みなどの場合に被保険者の同意を確認する必要があると説明し、紙の同意確認書類では企業の事務担当者が配布・回収・点検・郵送を行い、従業員が記入・押印する作業負荷と書類の紛失リスクが課題だとしています。同社は同じリリースで、2025年7月から被保険者がWebで同意できる仕組みの提供を始めると発表しており、新契約の締結時は対象外とされています。紙かWebか、どの場面で必要かは保険会社ごとに違うので、契約している保険会社の案内で確認します。
実務では、入社手続の書類一式に同意確認書類を入れて、加入者名簿への追加と同意記録の保管を一組にしておくと、更新時の抜けが減ります。1年更新の保険なので、同意記録は契約期間ごとに「誰が同意済みか、誰が不同意か」を名簿で追える状態にしておきます。
同意書を渡すときに本人へ説明する項目
同意書を渡すときに説明するのは、「会社が自分を被保険者にして死亡保険に入る」という事実と、その契約の中身です。監督指針が同意取得時に求めている「保険金受取人や保険金額等の契約の内容を確実に認識できる」状態を、会社の言葉で作ることになります。
このチェックリストは、同意確認書類を渡すときに本人へ伝える項目を、契約の要素ごとに並べたものです。
- 契約者は会社、被保険者は本人であること。保険料は会社が負担し、本人の給与から差し引かれるものはないこと
- 主契約の死亡保険金の受取人が遺族か会社か。会社が受け取る場合は、弔慰金・死亡退職金規程に基づいて遺族へ支給すること
- 保険金額は弔慰金・死亡退職金規程の支給額の範囲内で決まり、金額の根拠は規程にあること
- 高度障害保険金や特約の給付金がある場合、それぞれの受取人が誰か
- 告知の方法が会社の一括告知か本人の告知書か。告知内容を会社が見るのか、保険会社へ直接渡るのか
- 同意しない場合は加入者にならないこと、規程上の支給はどうなるか、後から同意して加入できるか
6項目のうち受取人と保険金額は、保険会社が交付する契約内容の書面にも載る項目です。会社の説明文と書面の記載がずれていないかを配布前に見比べます。
保険料を会社が負担することが本人の所得にならない点は、説明の中で聞かれやすい箇所です。国税庁の所得税基本通達36-31の2は、使用者が役員・使用人を被保険者とする定期保険の保険料を支払った場合、死亡保険金の受取人が遺族であっても使用者であっても、役員・使用人が受ける経済的利益はないものとしています。ただし、受取人が遺族の場合に役員や特定の使用人だけを被保険者にしていると、保険料相当額はその人の給与とされるので、全員加入が前提の制度で対象者を絞るときは税理士に確認します(2026年11月時点。個別の取扱いは税理士に確認してください)。
会社が保険金を受け取る設計では、受け取った後の流れまで説明します。監督指針II-4-2-4は、全員加入団体定期保険の主契約部分は全額を従業員の遺族に支払うこととし、企業がいったん受け取ってから遺族に支払う場合は遺族の了知を確認したうえで支払うこと、その了知を確認する書類に受取人や保険金額などの契約内容が記載されていることを着眼点としています。同意書の段階で「会社が受け取っても規程に基づいて遺族へ支給する」「遺族にも契約内容を示したうえで支払う」と伝えておけば、支給時に遺族へ示す説明と食い違いません。監督指針が事業保険一般について触れている、被保険者が家族に加入を説明することを促す文言も、同意書の案内文に入れておくと後の手続きが楽になります。
同意しない従業員が出たときの社内の扱い
不同意者が出たときに会社が決めるのは、名簿、規程、人事上の扱いの3つです。保険の手続きとして必要なのは名簿、支給の根拠として必要なのは規程、残る一つは労働法の論点として外部の専門家に確認します。
名簿については、同意しなかった人を保険会社の求める形式で名簿にし、加入者名簿と対で保管します。更新のたびに「不同意のままか、同意に変わったか」を確認し、同意に変わった人は中途加入の手続きに乗せます。中途加入の申し込みも保険会社の案内で同意確認が必要な場面に挙げられているので、後から同意した人を名簿に足すだけで終わらせず、保険会社の同意・告知の手続きが済んだ日を記録します。退職者が加入者名簿に残っていないかの確認と同じ頻度で、不同意者名簿も見直します。
規程については、保険は財源、規程は支給根拠という役割の違いをそのまま当てはめます。弔慰金規程・死亡退職金規程がその人を支給対象に含めていれば、会社は規程どおりに支給します。保険に加入した人だけを支給対象にするよう規程を変えることも考えられますが、退職手当の定めは、常時10人以上の労働者を使用する会社では、適用される労働者の範囲を含めて就業規則に記載し届け出る事項で、変更した場合も届出が必要です(労働基準法89条3号の2)。死亡退職金規程がこれにあたるなら、対象者の範囲を変えるには就業規則の変更手続きが要ります。弔慰金規程が同じ扱いになるかは規程の性質によるため、変更の要否と文言は社会保険労務士に確認します。
人事上の扱いについて、この記事は結論を出しません。同意しないことを理由に評価や処遇で不利に扱えるかどうかは労働法の論点で、一次資料で確認できる一律の答えがないためです。会社側でできるのは、同意を強いないこと、同意しない理由(受取人に会社が入ることへの疑問、健康情報を会社に知られることへの不安など)を聞いて記録に残し、契約内容の書面で答え直すこと、後から同意できる時期を伝えることです。それでも同意が得られなければ、不同意者名簿に載せて契約を進めます。規程の支給額と保険金額をどう合わせるかという設計の話は、福利厚生としての死亡保険の制度設計で扱っています。
従業員側の疑問に答える:同意しないとどうなる・書き方・告知
ここからは、会社から同意書を渡された従業員の側に立って答えます。人事・総務の方は、本人から聞かれたときの説明の下書きとして使ってください。
同意しないと、自分に不利になりますか?
保険の面では、同意しなければその契約の加入者になりません。保険料は会社が全額負担する制度なので、同意してもしなくても手取りは変わりません。亡くなったときに遺族が受け取る弔慰金・死亡退職金は会社の規程で決まるもので、保険に入っているかどうかで支給の有無が決まるものではありませんが、規程が「加入者に限る」と定めている会社もあり得るため、同意しない場合の規程上の扱いを会社に確認してください。同意しないことを理由に人事上どう扱われるかは労働法の論点で、この記事では断定しません。
同意書の書き方は?何を確認して書けばよいですか
同意書に法律で決まった様式はなく、保険会社所定の同意確認書類に記入します。確認するのは、自分の氏名・生年月日などの本人情報が正しいか、保険金の受取人欄に誰(遺族か会社か)が書かれているか、保険金額が会社の規程のどの区分にあたるか、同意する保障の範囲(主契約だけか、特約も含むか)です。受取人欄に遺族の氏名を書く書式の場合、会社の規程が受給者の順位を定めていればそれに従います。空欄の意味が分からないまま署名せず、会社の担当者に聞いてください。Webで同意する仕組みを使う保険会社もあります。
告知書には何を書きますか?会社に病歴を知られますか
告知は、保険会社が求めた健康状態などの事項について事実を伝えるものです(保険法37条)。総合福祉団体定期保険には契約者である会社が加入者の状況をまとめて申告する一括告知を基本とする商品があり、たとえば東京海上日動あんしん生命は法人による一括告知を基本にしつつ、被保険者本人から個別に告知してもらう場合があるとしています。どちらの方式でも、故意または重大な過失で事実を告知しなかったり事実と違う告知をしたりすると、保険会社は契約を解除できます(保険法55条)。会社に伝えた内容が事実と違えば同じ問題が起きるので、聞かれた事項には正確に答えます。病歴などの健康情報は個人情報保護法で「要配慮個人情報」にあたる情報を含み、会社が取得するには、法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意が必要です(同法2条3項・20条2項)。告知書を会社の担当者が見るのか、封をして保険会社へ直接渡るのかは、同意書を渡されたときに聞いてよい事項です。
いくらもらえますか?受取人は誰ですか
金額は会社の弔慰金・死亡退職金規程で決まります。総合福祉団体定期保険の主契約の保険金額は規程の支給額の範囲内で設定され、東京海上日動あんしん生命の説明では、支払われる保険金は規程の支給額を超えず、加入保険金額が上限になります。したがって「いくらもらえるか」は保険証券ではなく規程を見れば分かります。受取人が遺族なら保険会社から規程上の受取人へ、会社なら会社から規程に基づいて遺族へ支給されます。ヒューマン・ヴァリュー特約は従業員の死亡で会社に生じる費用を保障する部分で受取人は会社なので、遺族の受取額には含まれません。
入るべきですか?退職したらどうなりますか
本人の保険料負担がなく、在職中の死亡・高度障害に対する遺族への支給財源を会社が用意する制度です。加入するかどうかは、受取人が誰か、会社が受け取る設計なら規程どおり遺族へ支給されるか、健康情報の扱いに納得できるかで判断します。一方で、1年更新で保険金額は会社の規程の範囲に限られ、個人で入っている生命保険の代わりになるものではありません。保障は加入者である期間の事由に対して働くので、退職後の扱いや、退職後に個人契約へ切り替えられる仕組みがあるかは、会社と保険会社に確認してください。
那由他保険テクノロジーズが同意書・名簿と規程の整合でご支援できること
ここまでの整理をしても、会社ごとに残るのは次の点です。自社の契約がどの同意確認方式で、不同意者が出たときに団体要件を満たし続けられるか。規程の支給対象と保険の加入者名簿がずれていないか。本人に渡す説明文が、保険会社の交付する契約内容の書面と食い違っていないか。これらは保険会社の書式と自社の規程・名簿を並べて初めて判断できます。
那由他保険テクノロジーズは、福利厚生制度設計の支援として、弔慰金規程・死亡退職金規程と加入者名簿・不同意者名簿を同じ表に並べ、支給対象と加入者の範囲のずれ、受取人の指定と規程の受給者順位の一致、同意記録の保管状況を確認します。同意確認方式や中途加入の受付時期、告知書の取扱い(会社が内容を見るのか、保険会社へ直接渡るのか)など保険会社に確認が必要な点は、照会事項として文面にして残し、本人向けの説明文の下書きもご一緒に整えます。生命保険の募集では媒介の立場で、契約締結の代理権や告知の受領権はありませんので、同意書・告知書そのものは保険会社の手続きとして受け付けられます。当社が行うのは、その前段の整理と確認です。
規程の文言や不同意者の処遇は社会保険労務士、税務は税理士の確認に戻す前提で進めます。同意書をまだ配っていない段階でも、不同意者が出てから困っている段階でも、分かっていることから一緒に整理しますので、まずはお問い合わせください。
総合福祉団体定期保険の同意手続き
同意書の配り方と不同意者の扱いを、規程・名簿と並べて整理します
自社の契約がどの同意確認方式か、不同意者が出たときに団体要件と規程の支給対象がどうなるかを、保険会社への照会事項まで含めて確認します。
よくある質問
同意書は毎年の更新のたびに取り直す必要がありますか?
保険会社の取扱いによります。同意確認が必要になる場面として、新規契約の締結、契約内容の変更、被保険者の中途加入が保険会社の公表資料に挙げられています。保険金受取人の変更には保険法45条により被保険者の同意が必要なので、受取人や保険金額を変える更新では改めて同意の確認が必要になります。内容を変えない更新で全員から取り直すかどうかは、契約している保険会社の手続きを確認してください。
同意しない従業員の弔慰金・死亡退職金はどうなりますか?
保険に加入しているかどうかと、会社が規程に基づいて支給するかどうかは別です。弔慰金規程・死亡退職金規程がその人を支給対象に含めていれば、会社は規程どおりに支給し、保険金という財源がない分は会社の自己資金で用意することになります。規程の支給対象から外すかどうかは待遇の差に関わる労務の論点なので、社会保険労務士に確認したうえで規程の文言を決めてください。
告知書の内容を会社の担当者が見てもよいですか?
健康状態や病歴は、個人情報保護法で「要配慮個人情報」にあたる情報を含み、取得には、法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意が必要です(同法20条2項)。会社が告知内容を取りまとめて保険会社に申告する方式か、本人が記入した告知書を会社の担当者が開封せずに保険会社へ渡す方式かは、保険会社の手続きと会社の運用で決まります。会社が中身を確認する運用にするなら、取得について本人の同意を得ることと、保管・閲覧の範囲を決めることが前提になります。
一度同意しなかった従業員が、後から同意して加入できますか?
保険会社の公表資料では、被保険者の中途加入の申し込みも同意確認が必要な場面として挙げられています。中途加入をいつ受け付けるか、告知の方法をどうするかは保険会社の取扱いで異なるため、不同意者の再同意を受け付ける時期(更新時か随時か)をあらかじめ保険会社に確認し、本人にも「後から加入できるか」を同意書を渡す時点で伝えておきます。
ヒューマン・ヴァリュー特約を付ける場合、同意の取り方は変わりますか?
変わる場合があります。金融庁の監督指針は、全員加入団体定期保険のうちヒューマン・ヴァリュー特約を付帯した契約について、被保険者による個別の同意記録か、規程等の書類と被保険者全員の同意記録による確認を挙げており、通知確認と不同意者名簿による方法は挙げていません。この特約は従業員の死亡に伴う会社側の費用(代替雇用者の採用・育成費用など)を保障する部分で受取人が企業になるためです。自社の契約でどの記録を出すかは保険会社の手続きで確認してください。
参考一次情報・公的資料
- e-Gov法令検索「保険法」(第37条・第38条・第45条・第55条・第67条)
- 金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」II-4-2-4 他人の生命の保険契約について
- 金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」IV-1-15 団体保険又は団体契約の取扱い/IV-1-17 他人の生命の保険契約に係る被保険者同意の確認
- 日本生命「被保険者同意Webの提供開始について」(2025年2月3日)
- 東京海上日動あんしん生命「総合福祉団体定期保険」
- 国税庁 所得税基本通達36-31の2(使用者契約の定期保険に係る経済的利益)
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第2条第3項・第20条第2項)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第89条)
- 生命保険協会『2025年版 生命保険の動向』
情報確認日:2026年11月2日
執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年11月2日
本記事は2026年11月時点の一般的な情報です。同意確認の方式、引受条件、保険金の支払いは保険会社・約款・契約条件により異なります。労務・税務の個別判断は社会保険労務士・税理士にご確認ください。