弔慰金規程と生命保険の保険金額の合わせ方|業務上・業務外の支給基準と受給者順位

弔慰金規程と生命保険の保険金額は、規程で「誰に・どの事由で・いくら払うか」を先に決め、その支給額の範囲内で保険金額を決める順序で合わせます。総合福祉団体定期保険のような全員加入の団体定期保険では、主契約の保険金額は規程の支給額が上限で、規程に書いていない事由には保険金が出ません。業務上と業務外で支給額に差を付けるかどうかで、規程の金額基準と保険金額の置き方が変わります。この記事は人事・総務・経営者向けに、規程に書く項目ごとに保険側でどう対応するかを整理します。

Summaryこの記事のポイント

  • 弔慰金規程が先、保険金額が後です。主契約の保険金額は規程の支給額が上限で、規程に支給の定めがない事由には保険金が支払われません。
  • 弔慰金が相続税の対象外となる目安は、業務上の死亡で普通給与3年分、業務外で半年分(相続税法基本通達3-20)。超える部分は退職手当金等として扱われます。
  • 受給者の順位を規程に書いておくと、相続税法上の受給者は規程で定まり、保険の受取人指定や企業経由の支払いとも一致させやすくなります。
  • 高度障害時の支給を規程に明記していないと、高度障害保険金が支払われない商品があります。死亡と高度障害の両方を規程に書きます。
  • 死亡退職金と弔慰金は規程で名目と金額を分け、保険金額は両方の合計支給額の範囲で、規程の金額の決め方にそろえて設定します。

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弔慰金規程と生命保険はどちらを先に決めるか

弔慰金規程とは、役員・従業員が在職中に死亡したとき(所定の高度障害状態を含める場合もある)に、会社が遺族などへ支給する弔慰金の対象者・支給事由・金額・受給者・手続きを定めた社内規程です。生命保険はその支給財源を外部に持つ手段で、規程が先、保険が後の順序になります。

順序が決まっている理由は、保険側のルールにあります。金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」II-4-2-4は、全員加入団体定期保険について、弔慰金等の支払財源を保障する部分を「主契約」、企業の経済的損失を保障する部分を「特約」と区分し、主契約の保険金額は「災害・遺族補償規定等に基づく支給金額を上限」とする考え方を示しています。これは保険会社に対する監督上の着眼点で、企業に直接義務を課すものではありませんが、各社の商品はこの考え方に沿って作られています。東京海上日動あんしん生命「総合福祉団体定期保険」は、主契約の保険金額を福利厚生規程に定める支給金額の範囲内で設定し、死亡・高度障害の支給がいずれも規程に明記されていることが必要と説明しています。

規程を持たずに保険だけを契約すると、保険金額の上限を決める基準がなく、支給の場面で金額と相手を個別に判断することになります。総合福祉団体定期保険の全体像(団体定期保険との違い、従業員の同意、導入手順)は総合福祉団体定期保険とは何かを整理した記事にまとめているので、この記事では規程の項目と保険金額の対応だけを扱います。

生命保険協会『2025年版 生命保険の動向』によると、2024年度の団体保険の保有契約高に占める総合福祉団体定期保険の割合は22.0%です(2026年11月時点の公表資料)。弔慰金・死亡退職金規程の財源として広く使われている分、規程と保険金額のずれは特殊な会社だけの問題ではなく、規程を改定した会社や昇給の多い会社なら起こりうるものとして読んでください。

弔慰金規程に書く項目と、保険側に写す項目

弔慰金規程の記載項目は法令で定められていません。以下は、規程の支給ルールを保険金額に写すときに確認が要る項目で、当社が相談実務で見る順に並べています。条文の書き方そのものは社会保険労務士と詰める前提で、ここでは項目と保険側の対応だけを示します。

この表は、弔慰金規程に書く項目ごとに、規程で決めることと、保険側(総合福祉団体定期保険など)でどう対応するかを並べたものです。

規程の項目規程で決めること保険側での対応
対象者役員・正社員・契約社員・パートのどこまでを対象にするか。入社直後・休職中・出向中の扱い対象者がそのまま加入者名簿になる。対象外の雇用区分は保険にも入れない
支給事由死亡のみか、所定の高度障害も含めるか規程に無い事由には保険金が支払われない。高度障害を入れるなら規程に明記する
業務上・業務外の区分業務上の死亡に上乗せするか。差をどう付けるか保険金額は規程の支給額が上限。差のある規程では、どちらの額に合わせるかを保険会社と決める
金額の基準一律か、役職・勤続・基準給与の区分か。死亡退職金との合計額規程の金額の決め方に保険金額の設定をそろえる
受給者と順位配偶者を第1順位にするか。以下の順位、同順位が複数いる場合の按分受取人を遺族とするなら規程の受給者と一致させる。企業受取なら受給者の了知確認が要る
手続きと支給時期申請書類、決裁者、支給期限保険金請求の書類・時期と、社内支給の時期のずれを決裁フローで吸収する
改廃改定の手続き、周知方法1年更新の契約なら更新時に保険金額を見直す

7項目のうち保険金額に直接影響するのは、業務上・業務外の区分、受給者と順位、支給事由(高度障害)、金額の基準(死亡退職金との合計)の4つです。次からこの4つを順に見ます。

業務上と業務外で支給額をどう分けるか

弔慰金規程の金額基準は、業務上の死亡と業務外の死亡で分けて決めます。目安になるのは相続税の扱いです。国税庁 相続税法基本通達3-20は、雇用主から受ける弔慰金等のうち、業務上の死亡では死亡当時の賞与以外の普通給与の3年分、業務外の死亡では半年分に相当する金額を弔慰金等として扱い、これを超える部分は退職手当金等(相続税の課税対象)として扱うとしています。この基準は、名目が弔慰金でも実質的に退職手当金等に当たるもの(同3-18・3-19)を除いたうえで適用されます。普通給与は俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当等の合計額で、賞与は含みません。規程の金額がこの範囲に収まっていれば、遺族側で弔慰金が相続税の対象になる場面を避けやすくなります。

「業務上の死亡」の範囲も同じ通達群が定めています。3-22は、業務を「当該被相続人に遂行すべきものとして割り当てられた仕事」、業務上の死亡を「直接業務に起因する死亡又は業務と相当因果関係があると認められる死亡」としています。規程で業務上・業務外を分けるなら、この判定を誰が、どの資料(労災保険の支給決定など)で行うかを規程か運用細則に書いておきます。

業務上の死亡では、社内の弔慰金より先に法定の補償があります。労働基準法79条は使用者に平均賃金の1,000日分の遺族補償、80条は60日分の葬祭料を義務づけ、84条により労災保険から相当する給付が行われる場合は使用者が補償の責めを免れます。労災保険の遺族補償給付・葬祭料や労基法上の遺族補償・葬祭料は、相続税法基本通達3-23により退職手当金等に該当しません。同じ3-23の(13)は、従業員(役員を除く)の業務上の死亡に伴い、就業規則等に基づいて退職手当金等とは別に支給される災害補償金・遺族見舞金等で法定給付に準ずるものも、退職手当金等に該当しないとしています(退職手当金等に代えて支給する部分を除く)。社内の業務上弔慰金がこれに当たるかは規程の書き方と実態で決まるため、金額を決める段階で税理士に確認します。

業務上の上乗せを置く会社は、調査対象の企業では多数派です。人事院「令和6年 民間企業の勤務条件制度等調査」結果概要(常勤従業員50人以上の企業が対象、回答3,998社、2025年9月公表)によると、業務災害による死亡に対する法定外給付の制度がある企業の割合は64.3%、通勤災害による死亡では56.6%で、制度がある企業のうち支給方法を「一律かつ定額」とする企業が61.3%と最も多くなっています。業務上死亡の上乗せを置くか、置くなら定額にするか給与連動にするかは、この分布を一つの参考に自社で決める論点です。従業員50人未満の会社は調査対象に入っていない点は踏まえてください。

一方、厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況」では、令和7年の労働災害による死亡者数は700人(前年比46人減、2026年5月公表)です。業務上の死亡はこの規模でどの会社にも起こりえますが、在職中の病気などによる業務外の死亡は労災統計には表れません。業務上の基準だけを決めて業務外の基準を空けたままにすると、保険金額をどの額に合わせるかが決まらず、規程と保険金額の照合ができません。

保険側では、総合福祉団体定期保険の主契約の支払事由は病気・ケガによる死亡(と約款所定の高度障害状態)で、業務上・業務外の区別は支払事由に置かれていません(免責事由などは約款によります)。保険金額は規程の支給額が上限なので、業務上と業務外で支給額が違う規程では、保険金額をどちらの額に合わせるかを保険会社と決めます。業務外の額に合わせれば、業務上の死亡の上乗せ部分は会社の自己資金か、業務災害に備える別の保険で用意することになります。業務上の額に合わせれば、業務外の死亡では規程の支給額までしか保険金は支払われません。東京海上日動あんしん生命は、主契約の保険金を規程に基づく支給額を上回らない範囲かつ加入保険金額を上限として支払うと説明しています。

受給者の順位を規程に書く理由

弔慰金・死亡退職金を誰に支給するかは、規程に順位を書いて決めておきます。相続税法基本通達3-25は、退職手当金等の支給を受けた者について、退職給与規程等で受給者が具体的に定められている場合はその者とし、定められていない場合は、現実に取得した者、相続人全員の協議で定めた者、それ以外は相続人全員(各人均等)としています。規程に受給者が書かれていないと、誰が受け取るかを遺族の協議に委ねることになり、会社は支給の相手を確定できません。

順位の決め方の参考になるのは、労働基準法施行規則42条・43条の遺族補償の順位です。第1順位は配偶者(事実上婚姻と同様の関係にある者を含む)、配偶者がいない場合は死亡当時その収入で生計を維持していた、または生計を一にしていた子・父母・孫・祖父母の順、該当者がいなければ、それ以外の子・父母・孫・祖父母と兄弟姉妹が子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順(43条)で、同順位が2人以上いれば人数で等分します(44条)。これは労基法上の遺族補償の順位で、社内弔慰金の順位をこの通りにする義務はありません。ただ、金融庁の監督指針も「労働基準法施行規則第42条等に定める遺族補償を受けるべき者」を「受給者」と呼んで了知確認の相手に挙げており、東京海上日動あんしん生命は保険金請求時に規程に定められた受給者の了知が必要と説明しています。

保険側との対応は二つです。死亡保険金の受取人を被保険者の遺族(規程に基づく支給金の受取人)とする契約形態では、規程の受給者順位と保険会社が支払う相手が一致していないと、会社が想定した相手に保険金が届きません。企業が受取人となる契約形態では、監督指針上、主契約部分は全額を遺族に支払うこととし、企業が一旦受け取って遺族に支払う場合は遺族の了知を確認することとされています。了知を確認する書類には保険金受取人や保険金額が記載されるため、規程の受給者が確定していることが請求手続きの前提です。保険法45条により死亡保険金受取人の変更には被保険者の同意が要るので、規程改定で受給者を変えるときは、保険側の受取人変更と同意の手続きが一組になります。契約者・被保険者・受取人の役割分担は保険契約者・被保険者・受取人の違いを整理した記事で扱っています。

高度障害を規程に入れるかで保険金が変わる

規程に高度障害時の支給を書くかどうかは、保険金が出るかどうかに直結します。総合福祉団体定期保険の主契約は死亡保険金と高度障害保険金を支払う設計ですが、日本生命は「対象規程上、高度障がい状態に対する補償がないときは、高度障がい保険金はお支払いしません」と説明し、東京海上日動あんしん生命も死亡・高度障害の支給がいずれも規程に明記されていることを求めています。弔慰金規程が死亡しか想定していなければ、被保険者が約款所定の高度障害状態になっても保険金は支払われません。

高度障害の支給を入れる場合、規程側で決めるのは支給事由の書き方、支給額、受給者です。支給事由は保険会社の約款所定の高度障害状態に連動させる書き方と、社内で独立に定義する書き方があり、保険金の支払条件と規程の支給条件をずらさないなら前者のほうが照合しやすくなります。支給額は死亡時と同額にするか別に定めるかを決めます。受給者は本人です。MSA生命の商品説明では、死亡保険金受取人が遺族の場合、高度障害保険金の受取人は被保険者本人とされ、東京海上日動あんしん生命では被保険者本人または法人(死亡保険金受取人が契約者の場合)とされています。規程上の名目は「高度障害見舞金」など死亡弔慰金と区別できるものにし、支給後に在職を続けるか退職扱いにするかも人事上の扱いとして決めておきます。

税務面では、被保険者本人が受け取る高度障害保険金は、所得税法施行令30条1号の「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとして非課税で(所得税基本通達9-21)、心身に加えられた損害につき受ける相当の見舞金も同条3号で非課税とされる区分です。会社が保険金を受け取って本人に見舞金として支給する経路では、金額や名目で「相当の見舞金」に当たるかの扱いが変わるため、規程の金額を決める段階で税理士に確認します。

保険金額は規程の支給額を上限に決める

保険金額の決め方は一つです。規程の支給額(弔慰金と死亡退職金の合計)を上限に、規程の金額の決め方にそろえて設定します。監督指針は、主契約部分を災害・遺族補償規定等に基づく支給金額を上限とし、特約部分(従業員の死亡に伴う代替雇用者の採用・育成費用など企業の経済的損失を保障する部分)は主契約の保険金額を上限、かつ2,000万円を上限とする措置を保険会社に求めています。規程が一律額なら保険金額も一律、役職や勤続年数で区分しているなら区分ごとに設定し、規程に無い区分を保険側だけに作りません。

この表は、規程の支給額と保険金額がずれた場合に、保険金がどこまで支払われ、会社に何が残るかを3パターンで比べたものです。

規程の支給額と保険金額の関係保険会社から支払われる額会社の対応
規程の支給額=保険金額規程の支給額(加入保険金額まで)保険金で支給額をまかなえる
規程の支給額>保険金額加入保険金額まで差額は会社の自己資金で支給する
規程の支給額<保険金額規程の支給額まで超過分の保険金は支払われない。保険金額の減額を保険会社に相談する

東京海上日動あんしん生命は、主契約の保険金を規程に基づく支給額を上回らない範囲かつ加入保険金額を上限として支払うと説明しており、表の2行目と3行目はこの支払ルールから導けます。保険金額を規程より多く置いても支払額は増えず、少なく置けば差額は会社が払うので、規程と保険金額は加入者ごとに一致させます。

規程を改定したら保険金額も動かします。総合福祉団体定期保険は1年更新で、三井住友海上あいおい生命(MSA生命)「総合福祉団体定期保険」は毎年の更新時に対象規程の改定等による保障額の見直しができると説明しています。基準給与連動の規程なら昇給で支給額が上がるため、更新時に名簿と金額を提出し直します。役職や勤続で金額に差を付ける場合、所得税基本通達36-31の(注)2は、加入資格や保険金額の格差が職種・年齢・勤続年数等に応ずる合理的な基準により普遍的に設けられたものなら、役員や特定の使用人のみを被保険者とする場合に保険料相当額を給与とする但書を適用しないとしており、定期保険についての同36-31の2(注)2がこの取扱いを準用しています。特定の人だけを厚くする設計が給与課税につながらないかは、この基準に照らして税理士に確認してください。

死亡退職金と弔慰金を規程でどう分けるか

弔慰金と死亡退職金は、規程で名目と金額を分けて書きます。国税庁「No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金」では、死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は相続税の課税対象で、非課税限度額は500万円×法定相続人の数、相続人以外が取得した分に非課税の適用はありません。同「No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い」では、弔慰金は通常は相続税の対象になりませんが、実質上退職手当金等に当たる部分と、3年分・半年分を超える部分は退職手当金等として扱われます。退職手当金等かどうかは名義にかかわらず実質で判定され(相続税法基本通達3-18)、退職給与規程等の定めに基づいて受ける場合はその規程により判定されます(3-19)。規程で弔慰金と死亡退職金が別条・別金額になっていれば、遺族側の課税区分を規程で説明できます。

就業規則との関係も確認します。労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、退職手当の定めをする場合はその適用範囲、決定・計算・支払の方法、支払時期を就業規則に記載して届け出ることを求めています。死亡退職金規程はこの退職手当の定めに当たります。弔慰金規程は、退職手当の定めに当たるか、同条8号の「災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定め」として記載が要るかが支給の性質で変わるため、社会保険労務士と確認します。退職金規程そのものの作り方は退職金規程の作り方を整理した記事に委ねます。

法人側の税務は、役員と従業員で確認の厚さが違います。役員の退職給与は株主総会の決議等で額が確定した日の属する事業年度に損金算入し(法人税基本通達9-2-28)、不相当に高額な部分は損金に算入されません(法人税法34条2項、同施行令70条2号)。従業員への弔慰金・死亡退職金は、規程に基づく支給で不相当に高額でなければ通常の費用として扱われますが、これを直接定めた通達があるわけではないので、規程の金額水準と合わせて税理士に確認します。この記事の税務の記述は2026年11月時点の法令・通達によるもので、個別の取扱いは税理士に確認してください。

保険側では、主契約の保険金額は弔慰金と死亡退職金を合わせた規程の支給額の範囲で決めます。監督指針が「弔慰金・死亡退職金等」をまとめて主契約の対象としているためです。死亡退職金を退職金制度から支給し、弔慰金だけを保険で持つ会社もあり、その場合の保険金額の上限は弔慰金規程の支給額になります。全員共通の基本保障と役職・勤続に応じた上乗せをどう組むかという制度設計の考え方は福利厚生としての死亡保険の制度設計を扱った記事に整理しています。

那由他保険テクノロジーズが弔慰金規程と保険金額の設計でご支援できること

ここまでの項目を自社に当てはめると、会社ごとに残る論点は三つです。業務上と業務外の支給額の差を保険金額にどう写すか。規程の受給者順位と、保険の受取人・了知確認の手続きが一致しているか。規程改定や昇給で動いた支給額が、更新時の保険金額と名簿に反映されているか。この三つは規程だけ、商品資料だけを読んでも決まらず、両方を並べて初めて判断できます。

那由他保険テクノロジーズでは、福利厚生制度設計と保険プログラム設計の支援として、弔慰金規程・死亡退職金規程・役員退職慰労金規程と従業員名簿を同じ表に並べ、支給事由(死亡・高度障害・業務上/業務外)、金額の基準、受給者の順位ごとに、保険金額と受取人の設定がどこでずれているかを行単位で確認します。保険会社の商品資料と「ご契約のしおり・約款」からは、高度障害の支払条件、受給者の了知確認の方法、特約の要否、更新時の見直し手順を同じ項目でそろえ、規程の改定案と保険金額の設定案を一組で提示します。規程の条文の確定は社会保険労務士、課税の判断は税理士の確認事項として、確認してもらう論点を文面にして渡します。

規程がまだ無い、古い規程と保険金額が合っているか分からない、という段階でも、分かっていることから一緒に整理します。保険金額の設定や引受条件が資料どおりに通ることをお約束するものではありませんが、規程と保険金額のどこから直すかの順番は、相談の中で決められます。

弔慰金規程と保険金額

規程の支給額・受給者・高度障害に保険金額が合っているかを一枚の表で確かめる

規程が未整備でも、分かっている支給ルールから規程案と保険金額案を一組で整理します。

業務上・業務外の金額基準 受給者順位と受取人の一致 更新時の保険金額見直し

NEXT STEP

規程と保険金額のずれを確認する

よくある質問

弔慰金規程がなくても総合福祉団体定期保険に加入できますか?

保険会社の商品説明では、主契約の保険金額は弔慰金・死亡退職金規程等の支給金額の範囲内で設定し、規程に支給の定めがない事由(高度障害など)には保険金が支払われないとされています。規程がないと保険金額の上限が決まらず、支給の根拠もないため、先に規程を作るか、少なくとも支給事由・金額・受給者を決めてから保険金額を設定します。

業務上と業務外で弔慰金の額を変えなければなりませんか?

法令上の義務はありません。相続税法基本通達3-20が、業務上の死亡は普通給与3年分、業務外は半年分を弔慰金等として扱う基準を示しているため、この範囲を意識して差を付ける規程が多く、人事院の令和6年調査でも業務災害による死亡に法定外給付の制度がある企業は64.3%です。差を付ける場合は、保険金額をどちらの額に合わせるかを保険会社と決め、残る部分を自己資金か別の保険で用意するかを決めます。

弔慰金の受給者は誰にすればよいですか?

規程で順位を具体的に定めます。相続税法基本通達3-25では、規程で受給者が定められていればその者が受給者となり、定められていなければ相続人の協議や相続人全員の均等取得になります。順位の参考には労働基準法施行規則42条の遺族補償の順位(配偶者、次いで生計維持関係のある子・父母・孫・祖父母)があり、保険の受取人指定や、保険金請求時に保険会社が行う了知確認も、規程に定めた受給者を相手に進みます。

高度障害になったときも弔慰金規程で支給する必要がありますか?

義務ではありませんが、規程に高度障害時の支給がないと高度障害保険金を支払わないと説明している保険会社があります。高度障害の保障を持ちたいなら、支給事由(約款所定の高度障害状態)、支給額、受給者(本人)を規程に書き、名目は死亡弔慰金と区別します。

規程の支給額より保険金額が多い、または少ない場合はどうなりますか?

保険会社の商品説明では、主契約の保険金は規程の支給額を上回らない範囲で、加入保険金額を上限に支払われます。保険金額が規程より多くても支払額は規程の額までで、少なければ差額は会社の自己資金で支給します。規程改定や昇給で支給額が動いたら、更新時に保険金額を合わせ直します。

弔慰金と死亡退職金は一つの規程にまとめてもよいですか?

一つの規程に置くこと自体は可能ですが、条と金額は分けます。死亡退職金は相続税の課税対象(非課税限度額は500万円×法定相続人の数)、弔慰金は通達3-20の範囲内なら通常は相続税の対象外と扱いが異なり、退職手当金等かどうかは規程の定めで判定されるためです。保険金額は両方の合計支給額の範囲で設定します。

参考一次情報・公的資料

情報確認日:2026年11月2日

執筆:中村 祐太朗(那由他保険テクノロジーズ株式会社 Risk & Benefits事業 執行役員/損害保険・生命保険募集人)|編集:那由他保険テクノロジーズ株式会社 編集部|最終更新日:2026年11月2日